どこかで大地震が起きた際は、日本中で緊張感が高まります。もし自分や家族の身に災害が降りかかったらどうしよう…と、誰しも不安になりますよね。
こんなときこそ、地震直後の正しい行動や事前の対策を確認し、少しでも不安を減らしておくことが大切です。今、不安な方々へ、地震直後に「生き残る」ためにすべきことをお伝えします。
大地震が起きたとき、
生き残るためにすべきこと
地震が起きている最中・直後に最も優先すべきは、とにかく「生き残る」こと。生き残るには、目に見える情報から判断して身を守ることが大切です。命を守るためにも、怪我をしないよう注意して行動しましょう。
家・建物の中にいる場合
● 転倒する家具や落下物、割れる窓ガラスなどから身を守るため、机の下や玄関などの安全な場所へ移動し、頭を守る(特に子供の頭は、座布団やクッションなどで保護する)
● その際、避難経路を確保するため、余裕があればドアを開けておく
● ガラスや食器の破片で怪我をしないよう注意。怪我をしたら止血する
● 建物に異常がなければその場で待機する
外にいる場合
● まずは落下・転倒物から身を守る(電柱や塀が倒れてきたり、看板やガラスが落ちてきたりなどの被害が考えられる)
● もし地下道などの強度がわからない閉鎖空間にいた場合は、なるべく早く外へ出て、頑丈そうな建物に移動する
揺れが収まってから、
自分と家族が生き残るためにすべきこと

揺れが収まったあとも、最も大切なのは、自分と家族の命を守ること。逆に言うと、「それ以外のことは優先すべきでない」ということです。「優先ではないことはやらない」という意識を強く持ちながら行動することが大切です。
1.家族に無事を伝える
● 伝言ダイヤルで家族に無事を伝える(発災直後は各電話会社が回線を絞り、電話が繋がりにくくなるため、伝言ダイヤルを活用)
● 家族間で連絡ルールを決める(1時間後に電話をつなぐなど)
● 不要なときは携帯電話の電源を切る(目に見える範囲の命に関わる情報に集中し、バッテリーをできるだけ長く持たせるため)
連絡ルールは、地震が起きる前に決めておくのが理想的。「地震が起きてすぐに連絡が取れない状況になったら、毎時0分から5分だけ携帯の電源を入れておこう」などと、事前に相談しておきましょう。
2.自宅を避難所にするか、避難所に移動するかを決めて、行動する
大地震のあとには余震がきますし、次に来る地震の方が大きい場合もあります。次の揺れに備え、生き延びるためにどうするかを決めましょう。
自宅にとどまるか、避難所に移動するかの基準は、「自宅に待機し続けても生き延びられるか」です。
● 事前に自宅の耐震性が高いとわかっており、一度目の地震で自宅が倒壊していない
● 自宅周辺で火災が発生していない
● 自宅に1週間程度生き延びられる食材・飲料水が揃っている
地震の際は、怪我をせずに移動可能な状態を維持できれば生き残ることができます。よって上記の条件が揃っているなら、自宅を避難所として待機する考え方が効果的です。
反対に、これらの条件が揃っていない、もしくは家に残り続けることに大きな不安がある場合は、避難所へ移動しましょう。
□ 割れた食器やガラスを掃除する(怪我しないため)
□ 停電時の灯りの確保(懐中電灯など)
□ 毛布などで暖を取れるようにする(体温を保持するため)
□ 1週間分の水と食料を準備する
□ 自宅の最低限の防犯をする
□ 貴重品を持つ
□ 自分にだけ必要なもの(眼鏡、薬など)を持つ
□ 子供にだけ必要なもの(ミルク、おむつなど)を持つ
□ 事故等に注意しながら避難所へ移動する(停電が起きていると信号が機能しないなど、不測のリスクが高まっているため)
避難生活時に、これだけは気をつけておくべきこと
大地震が起こった直後の避難生活時において大切な心構えは、以下の4点です。
避難所で大切なのは「協調性」
避難所生活で重要なのは、「自助」から「共助」の段階に移ったということです。「生き残る」から「協力して生き続ける」段階への変化を意識しなければ、周囲の避難者と共同生活をすることはできません。
共同生活をするうえで大切なのは、「協調性」です。協調性とは、自分の意見を封じ込めることではなく、必要な相談や悩みを聞いてくれる人に話すこと。合わない人がいる場合は、自分と相手との違いを認めて「少し」譲ってあげることが重要です。
体力の温存・体温の保持が最優先
避難生活時に一番重要なのが、体力の温存と体温の保持です。
避難所でしばらく生活しなければいけない場合や、外での待機を強いられる場合もあります。ブランケットに身を包むなどして、体力・体温を奪われないようにしましょう。
生き延びるために水や食料を調節する
家庭での備蓄品は、水や食料を1週間分用意しておくべきと言われていますが、実際の避難生活がどれくらい続くかはわかりません。
「何日分の用意だから、何日しか生きられない」という考え方をするのではなく、「何日生き延びるために、今ある分を調節しよう」と考えて、可能な範囲で調整しましょう。
大人も子供も、ストレスを溜めすぎない
被災時はある程度ストレスがかかるのは仕方ありません。しかし無理は禁物です。
もし「子供の声が聞きたくない」という状態になったら、それ以上無理をしてはいけないというサイン。家族に相談し、子供と離れるようにしましょう。
一方で子供は、被災時でも「遊ぶのが仕事」です。遊びは、ストレスを緩和するための子供なりの行動でもあるので、受け止めてあげられるといいですね。
今こそ具体的な対策をして、少しでも不安を減らそう
被災直後は、まず命を守り、生き残るための行動が最優先です。
子供といるときにもし被災したら…と考えると不安ですが、緊張が高まっている今だからこそ、事前の準備や家族との話し合いが大切ですよ。
以下では、事前にしておくべき防災対策について、危機管理専門家のアドバイスをまとめています。時間が経てば気持ちは必ず落ち着くので、今のうちに具体的な対策をすることで、少しでも不安を減らせるといいですね。
監修:危機管理コンサルタント浅野 竜一

警察官を退官後、米国にてリスクマネジメントを学ぶ。株式会社ナイキジャパンにてオリンピックなどの危機管理及び警備責任者を務める。2007年に株式会社ZOASを設立し、企業や官公庁への危機管理コンサルティング、自衛隊への演習などを行う。2012年、project72を設立。被災訓練プログラム「CAMP」を設計し、震災時の自助能力普及活動を行っている。