低用量ピルの一つに「ルナベル」があります。重い生理痛（月経困難症）の症状をやわらげることを目的とした治療薬で、基本的には避妊目的で処方されるものではありません。今回は、ルナベルの効果と副作用、飲み方、飲み忘れたときの対処法などについてご説明します。
ルナベルとは？
「ルナベル」は、女性ホルモンの「エストロゲン（卵胞ホルモン）」と「プロゲステロン（黄体ホルモン）」が含まれるホルモン剤で、いわゆる低用量ピルのひとつです。
低用量ピルというと、避妊目的のものをイメージするかもしれませんが、ルナベルはそうではなく、生理痛や月経困難症を改善するために処方されます（※1）。
「マーベロン」や「ファボワール」、「トリキュラー」などの避妊目的のピルは、健康保険が適用されないため自費で購入することになりますが、ルナベルは病気の治療薬なので、保険が適用されます。
ルナベルには、含まれる卵胞ホルモンの量の違いによって「ルナベル配合錠LD」と「ルナベル配合錠ULD」の2種類があり、症状や治療の目的に合わせて使い分けられています。
ルナベルの効果とは？避妊に使える？
ルナベルの主な効果は、重い生理痛（月経困難症）の改善です（※1）。たとえば、生理に伴う下腹部痛や腰痛、お腹の張り、吐き気、頭痛、脱力感などの症状が緩和されることが期待できます。
前述のとおり、ルナベルには女性ホルモンが配合されており、服用するとホルモンバランスが排卵後とほぼ同じ状態で安定します。これにより、ホルモンバランスの乱れなどが原因で起こる生理痛や月経困難症の症状がやわらぐ、というわけです。
メカニズムとしては、ルナベルを飲むことで脳が「排卵がすでに済んでいる」と認識し、排卵が起こらなくなり、妊娠が成立しないと考えられます。
ただし、ルナベルの販売元は、「この薬を避妊目的で使用しない」よう、患者向けの医薬品ガイドに明記しています（※1）。
ルナベルの飲み方は？飲み忘れたときは？
ルナベルは、生理1～5日目から1日1錠を毎日、決まった時刻に21日間服用し、そのあと7日間は飲むのをやめます（※1）。そのあとも、医師の指示に従い、同じ周期で繰り返し飲むことになります。
前日の飲み忘れに気がついた場合は、その時点ですぐに服用して、当日分の薬もいつもの時間に服用します（※1）。
ただし、飲み忘れに気づいた時点で、いつもの服用時間が来てしまった場合などは、2日分の錠剤を一気に飲まないよう医師から指示されることもあります。迷ったときは自己判断せず、ルナベルを処方した医師に相談してくださいね。
ルナベルの副作用は？不正出血が出やすい？
販売元によると、ルナベルを飲み始めてしばらくは不正性器出血が見られることがあります（※1）。
通常は、ルナベルを飲み続けているうちに出血がなくなるので大きな心配はいりませんが、いつもの生理よりも出血量が多い、長期間にわたって出血が続く、逆にルナベルを飲まない期間に生理がこない、といった場合には、かかりつけの医師に相談しましょう。
また、ルナベルに限った副作用ではなく、ほかの低用量ピルにも共通することですが、飲んでいる間は「血栓症」になる可能性があるので、注意が必要です（※1）。
血栓症は、手足や心臓、脳などの血管に血のかたまりが詰まる病気で、対応が遅れると命に関わるリスクもあります。手足のしびれや突然の息切れ、激しい頭痛などがあった場合は、血栓症の前兆症状である可能性もあるので、すぐにルナベルを飲むのをやめ、病院を受診してください。
なお、ルナベルを長期間使用する場合は、体調に異常がないかをチェックするために、最低でも6ヶ月ごとに病院で検診を受けることが推奨されています（※1）。
ルナベルは副作用に気をつけて飲みましょう
生理痛が重い場合、ひとりで我慢せず、一度婦人科を受診して、ルナベルの服用を検討してみるといいかもしれません。生理がくるたびに痛みが増している場合、子宮内膜症が原因の可能性もあるので（※2）、医師にきちんと診てもらうことが大切ですよ。
なお、2種類あるルナベルのうち、ホルモン量の少ない「ルナベル配合錠ULD」は、血栓症などの重い副作用が現れにくいといわれていますが、飲んでいる期間に体調の異変に気づいたら、すぐに医師に相談してくださいね。
