子供の歯磨き粉をみると「フッ素配合」と書かれたものが多いですよね。大人が歯のケアをするときに使うことがありますが、子供や赤ちゃんに使っても害がないのか、心配になるママやパパは多いのではないでしょうか。そこで今回は、フッ素入りの歯磨き粉について、子供や赤ちゃんに使っても良いのか、害があるといわれる理由などをまとめました。
そもそも、フッ素とは?どんな役割があるの?

フッ素とは、人の健康維持に欠かせない元素であり、WHO(世界保健機関)とFAO(食糧農業機関)が、1974年に「ヒトの栄養所要量の手引書」の中で必須栄養素に位置づけています(※1)。フッ素は主に元素名として使われているため、最近は水や食品中、歯磨き粉などに含まれるフッ素のことを「フッ化物」と呼ぶこともあります。
特に歯や骨をつくる石灰化に欠かせないもので、食塩やお茶といった多くの食品の中に含まれているもの。歯磨き粉に含まれるフッ素には、虫歯の原因となる歯垢を作る酸の量を抑えたり、歯を強くするカルシウムの再沈着を促進したりする働きがあります(※2)。
厚生労働省による「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、フッ化物に関する記載がないので、推奨摂取量が定められていません。
しかし、虫歯予防や対策を目的としたフッ化物の使用は、口内の健康を向上させるためには重要な課題であるとされ、厚生労働省は「フッ化物洗口ガイドライン」を定めています(※3)。
フッ素入りの歯磨き粉は子供に使ってもいい?

子供がフッ素入り歯磨き粉を使用する年齢は、うがいができる年齢になってからの方が安心です。口をすすぐことに慣れていない低月齢の赤ちゃんは、口の中にフッ素が残ってしまったり、飲み込んでしまったりすることがあります(※1)。
3歳以上の子供であれば、ペースト状の歯磨き粉を使えるようになりますが、その場合は、以下の用量を基準に、歯磨き後は10~15mlの水でうがいをしましょう(※2)。
● 3~5歳…濃度500ppmを5mm以下(泡状なら1,000ppm)
● 6~14歳…濃度1,000ppmを1cm程度
● 15歳以上…濃度1,000ppmを2cm程度
フッ素入りの歯磨き粉は赤ちゃんにも使える?

フッ素入りの歯磨き粉は、3歳未満の赤ちゃんにも使うことができます。うがいがしっかりできないため、研磨剤を含まないジェル状や泡状、液体(スプレー)など、赤ちゃんにも使える歯磨き粉を使いましょう。
2歳までの赤ちゃんであれば、1日1回就寝前に行えば十分です。ただし、子供が誤って摂取しすぎないように、以下の用量を基準に、パパやママが仕上げ磨きをするときだけ使用してくださいね(※2)。
● 歯の生え始め~2歳…濃度500ppmを赤ちゃんの爪の先程度の量(ジェル状は500ppm、泡状は1,000ppm、スプレー式は100ppmが目安)
フッ素入りの歯磨き粉は危険?害があるってほんと?

子供に対するフッ素の使用について、使用を反対する意見を聞いたことがあるかもしれません。反対する理由には、過剰摂取した場合に「フッ化物急性中毒になる」などがあります。
しかし、あくまでも誤用してしまった場合であり、さらにこのような事故は、主にフッ化物が含まれた水道水を日常的に飲用していたことが原因といわれています(※1)。子供用の歯磨き粉に配合されているフッ素の量は微量で、1日3回使用しても、体内に蓄積される量ではありません(※2)。
どうしてもフッ素が気になるという場合は、フッ素が入っていない歯磨き粉やジェルを選び、虫歯予防のために甘いものを控え、フロスを毎回使用するなど、その他の口腔ケアを徹底的にしてあげてくださいね。
フッ素入りの歯磨き粉は慣れるまでママやパパが管理しよう
フッ素入りの歯磨き粉はもちろんですが、それ以外の歯磨き粉でも用量を守って使いましょう。子供用の歯磨き粉は甘い香りがついているものも多く、子供自身につけさせると、つい多くつけてしまいがち。適切な量が守れるよう、慣れるまではママやパパがしっかり管理してあげてくださいね。
歯磨きは、赤ちゃんから大人まで共通して、口の中の健康を守るためにとても大切です。慣れるまでは抵抗感があるものですが、歯磨きの絵本を活用したり、ママが実践して見せたりするなどして、少しずつ慣らしていきましょう。