低学年のすごし方で結果が決まる!?中学受験超初心者が知っておくべき事実

ninaru小学生ユーザーの中には、なんとなく「将来、中学受験させたいな」と思っている人も多いと思います。

そこで今回、中学受験ノウハウについてのブログ運営や電子書籍の出版をされているkanaharuさんに話をうかがいました。

2人のお子さんを有名私立中学に進学させた経験を踏まえて、中学受験超初心者が今から知っておくべきことを語っていただきました。ぜひ最後までお読みください!

中学受験は小4の時点で大きな差がつく

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ーー中学受験が気になっている人に向けて、知っておくべきことや覚悟しておくべきことがあれば教えてください。

kanaharuさん:中学受験をするなら、最近は早い人だと小2や小3からお子さんを塾に通わせるようですが、一般的には小4からお子さんを塾に通わせると思います。

その上でお伝えしたいのは、何も準備せずに入塾する人に待っているのは茨の道かもしれないということです。

中学受験というのは、いわゆる「読み書きそろばん」と呼ばれるような基礎力が小学校低学年のうちにきちんと身に付いている子であれば、すぐに優位に立てます。

入塾時点で他の子よりも上のクラスに入れるし、より良い先生にも出会えるので、ますます勉強が楽しくなって、より一層学力が上がるという好循環につなげられるからです。

一方で、塾に入る前に何も準備していない子は基礎力を養えていないので、たいてい一番下のクラスから始めることになります。

すると子供は「自分は他の人よりもできない」と思い、気分も乗らないから勉強する意欲が湧きにくくなる。その結果、悪循環に陥ります。

つまり、中学受験というのは塾に入る時点で大きな差がつきやすい、というのが私の実感です。

一番下のクラスから上に行けるのは1割以下

ーーたとえ入塾時に一番下のクラスだったとしても、上のクラスに這い上がれる子もいますよね?

kanaharuさん:いるにはいますが、それができる子は1割以下だと思います。10人中1人いるかいないかなので、少数派だと考えた方がいいでしょう。

もちろん、私の子供が受験した時もそういう子はいましたよ。どうしても附属校に行きたいと言ってMARCHの有名附属校に合格していました。

ただ、入試までグングン成績を上げていって余裕で合格したという印象で、そもそものポテンシャルが高い子だったと思います。

それに、その子もきちんと準備して基礎を身につけた上で塾に入っていれば、早慶の附属校のようなもっと上の学校も目指せたでしょう。

基礎力の有無でスタート地点が違う

読書
ーー低学年のうちに基礎力を身につけておくことが重要なんですね。

kanaharuさん:漫画でも何でもかまわないので、低学年のうちに本1冊を苦もなく読破できるようにしておく。あるいは計算力を高めておく。そういったことが大きなアドバンテージになります。

私の息子と娘は小さい頃から公文に通い、家では妻が毎日横に付いて勉強に付き合っていました。

子供からすると、親が一緒にいてくれるから嬉しかったようです。そのおかげで、低学年のうちから勉強するクセが身についていましたし、基礎力も養われました。

計算は自然と速くなり、難しくて解くのに時間がかかる問題も計算スピードで遅れを挽回できるようになっていました。

国語では読めない漢字はそれほど多くなく、中学受験独自のテクニックが必要な問題は別として、問題の出題意図がわからないということもほとんどありませんでした。

一方で、基礎力がない子は問題文が読めなかったり、読めても読むスピードや計算スピードが遅かったりするので、基礎力のある子とはスタート地点がまったく異なります。

9割以上の親が後悔することとは?

kanaharuさん:ちなみに中学受験の算数では、問題文を理解する力よりも計算が速いことのほうが圧倒的に重要なんですが、それに親が気づくのってたいてい子供が小5か小6のときなんです。

でも計算スピードを上げるには長い訓練が必要で、すぐには上がりません。低学年のうちからコツコツ鍛える必要がある。

だから、「もっと早くからやらせておけばよかった」と後悔する親は多くて、おそらく中学受験を経験した親の9割以上は同じことを思っているはずです。

ーーそうすると、低学年でのすごし方が中学受験の結果を左右しそうですね。

kanaharuさん:基礎力がないと小4・小5で基礎力を身につけることに時間を費やしてしまい、本来必要な「さらに上を目指すための勉強」に時間を取れなくなります。

反対に、基礎力が小3までにあれば入塾と同時により上位の学校を狙うための良いスタートを切れるわけです。

小学校低学年のうちにどれだけ「読み」「書き」「計算」を鍛えられるか、中学受験の結果はそれで半分決まると言っても過言ではありません。

基礎力アップに難しいことは必要ない

漢字ドリル
ーー基礎力を高めるためにはどうしたらいいのでしょうか?

kanaharuさん:難しいことは必要なくて、普通に本を読んだり、市販の漢字ドリルや計算ドリルを繰り返しやり続ければ十分だと思いますよ。

そういったことを1日10分でもいいし20分でもいいので毎日欠かさずやる。勉強量よりも継続することが大事です。

ーーやはり読書は重要なんですね。

kanaharuさん:文章を読んだり理解したりするのが速いということは、より多くの問題を解けたり、難問に当たったときに他の子よりも時間的余裕を持てたりするということです。

つまり、国語にかぎらず算数・理科・社会でも「読み書き」が重要で、それは本を読み慣れている子の方が長けています。

ーーどういう本を買い与えたらよいのでしょうか?

kanaharuさん:私の場合、子供が興味のない本を買い与えてもどうせ読まないと思ったので、基本的には子供がほしがった本はジャンル問わず買い与えていました。

買った本を置いておく場所は重要で、リビングがおすすめですよ。

本はリラックスしている時に手に取りやすいと思います。だから、リビングに置いておくと自然と子供が手に取って読む機会が増えるんです。

低学年からの塾通いは意味がない?

ーー基礎力を身につけさせるために低学年のうちから塾に通わせてしまうというのはダメなんでしょうか?

kanaharuさん:ダメではないと思います。ただ、低学年向けの塾に勉強を期待するのはやめたほうがいいかもしれません。

私が見聞きした限りでは、低学年向けの塾は時間的な制約もあるせいか、それほど効果的な授業内容ではないように思います。

基本的には家庭学習でできることと同じで、特別なことを教えてくれるわけではありません。

一方で、授業形式に慣れることができるので「勉強するクセ」を身につけるには良いと思います。

ただ、塾の場合は集団で勉強するので、勉強してないのに勉強した気になってしまう子もいるはずです。

反対に、家庭学習は親がマンツーマンで見て指摘できるから基礎力が伸びやすい。

だから、最終的には家庭学習で基礎力を身につけた子の方が強いと言われたりします。

実際、低学年から塾に通っていても、後から入塾してきた子に追い抜かされてしまうというのはよく聞く話です。

塾に通わせること自体は反対しませんが、子供自身がしっかり勉強に取り組めないのであれば、低学年から塾に通わせる意味はないのかなと思います。

スポーツが中学受験に役立つ理由

サッカー スポーツ
ーー習い事は中学受験にあまり関係ないでしょうか?

kanaharuさん:個人的には、中学受験って最終的には体力勝負だと思っています。6年生になると1日2回試験を受けたりすることもあるので、体力がない子は集中力が続かなくて厳しくなってしまうんですよ。

だから体力を養えるスポーツ系の習い事は中学受験に有利に働きます。

ーースポーツ以外の習い事はどうでしょうか?

kanaharuさん:「読み書きそろばん」につながるような習い事だったらいいと思います。個人的には、自分の子供たちも通わせていた公文は「読み」「書き」「計算」の3つが鍛えられるのでおすすめですね。

「級」があるからある程度競争意識をかき立てられて、がんばったら褒めてもらえるという仕組みなので、競争が好きな子供は勉強したくなると思います。

ただこれは、「ちゃんとやれば」という話です。復習を子供任せにしているとどんどん宿題が溜まっていってしまうので、公文をやるにしても親が宿題を見てあげたり、進捗を確認してあげる必要があります。

公文に丸投げはあまり意味がなく、親が子供を見てあげるからこそ子供もがんばるんです。

私立中学はなぜかピアノ経験者が多い

kanaharuさん:あと、なぜかはわかりませんが私立中学に進学する子はピアノを習っている子が多いですね。

息子が通っていた中学は男子校ですが、3分の1から2分の1くらいの子がピアノを習っていました。娘の学校は女子校ということもあり、7〜8割の子がピアノを弾けるという世界でした。

そのせいか音楽の授業のレベルが高く、娘は「ピアノを習っていなかったら終わってた」みたいなことを言っていましたよ。

もしかしたら、ピアノで手や指を動かすことで脳が活性化しやすいとか理由があるのかもしれません。

中学受験をしなくても基礎力は大事

小学生 勉強
ーー習い事も「読み書きそろばん」も、いろいろなものに手を出すより一つのことを長く続ける方がいいんでしょうか?

kanaharuさん:そう思います。

私のまわりにも、子供に合わないと思ったらすぐに習い事をやめさせる親御さんがいますが、それは子供にやめグセがついてしまって危ないと思います。

たとえば水泳を習わせるにしても、背泳ぎが身につくまでやらせようとか、平泳ぎが身につくまでやらせようといったように、子供に合わないと思っても一区切りつくまでは続けさせるべきだと私は考えています。

そうでないと子供に努力するクセや勉強するクセが身につきません。基礎力は継続することが重要なんです。

習い事に関しては家庭ごとに考えが違うと思いますが、我が家ではそう考えています。

ーーてっきり中学受験は応用力や難解な問題を解くことこそ重要だと思っていたのですが、基礎力がとても大事なんですね。

kanaharuさん:中学受験をする/しないに関係なく基礎力は大事なんです。身に付いていないと、公立中学校に進学したとしても苦労しますから。

要は、どのタイミングで基礎力を身につけるかの違いでしかないんだと思います。

中学受験を目指して低学年のうちから身につけておくか、それとも中学受験しないから小学校卒業までに身につけておけばいいと考えるか。

でも低学年のうちに基礎力を身につけておけば、中学受験したくなった時にすぐ受験勉強に取りかかれます。中学受験しなくたって公立中学でいい立ち位置に立てる。

だから、低学年のうちから基礎力を養っておくというのはとても重要なことだと思いますよ。


kanaharu

kanaharu

中学受験ブロガー


夫婦共に中学受験の経験がない中、2019年に長男が鉄緑会指定の難関中学に合格、2021年に長女が上位校に合格。その経験をもとに中学受験のノウハウを伝えるブログ「僕らの戦略受験-超中流の逆襲-」を運営中。Twitterでは中学受験や教育関連の話題をつぶやいている。また、Kindleで電子書籍『中学受験を有利に進める低学年での9つの過ごし方』『中学受験で学校選びを失敗しない4つの伝言』『中学受験で後悔しない!ラスト半年を有意義に過ごす5つの黙示録』の3冊を出版した。

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