子宮筋腫の大きさや場所で治療方法は異なる?手術の目安は?

監修医師 産婦人科医 永瀬 絵里
永瀬 絵里 産婦人科専門医。2001年、東海大学医学部卒業。神奈川県内の病院で産婦人科医としての経験を積み、現在は厚木市の塩塚産婦人科勤務。3児の母。「なんでも気軽に相談できる地元の医師」を目指して日々診療を行っ... 監修記事一覧へ

子宮にできる良性の腫瘍「子宮筋腫」は、30歳以上の女性の20~30%に見られるといわれます(※1)。命にかかわる病気ではありませんが、腫瘍の大きさやできる場所によっては治療が必要になるケースもあります。そこで今回は、「子宮筋腫の大きさやできる場所によって、治療法がどう違うのか」「手術になる目安はどれくらいなのか」などをご説明します。

子宮筋腫の大きさやできる場所は?

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「子宮筋腫」と一口に言っても、その大きさやできる場所は人によって様々です。

子宮筋腫の大きさ

子宮筋腫の発育の仕方は、ケースによって異なります。ほとんど大きさが変わらないケースもあれば、時間の経過とともに大きくなることもあります。また、閉経後には縮小することが多くあります。

子宮筋腫のできる場所

子宮筋腫は、できる場所と発育する方向によって主に次の3つに分類されます(※2,3)。子宮筋腫のうち60~70%は、2つ以上の筋腫が同時発生する「多発性筋腫」です。

下記3種類のうち、同じ種類の筋腫がいくつかできることもあれば、異なる種類の筋腫が合併するケースもあります。

1. 粘膜下筋腫

子宮の内側を覆う「子宮内膜」という粘膜のすぐ下に発生し、子宮腔内に向けて大きくなっていくのが「粘膜下筋腫」です。

2. 筋層内筋腫

「筋層内筋腫」は、子宮内膜の外側にある「子宮筋層」にでき、そこで大きくなるのが特徴です。

3. 漿膜下筋腫

子宮の外側を覆う「子宮漿膜(子宮外膜)」のすぐ下にできるのが「漿膜下筋腫」です。

子宮筋腫の手術の目安となる大きさは?

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子宮筋腫は大きさによって治療法が変わります。筋腫が小さい場合には、経過観察することもありますが、ある程度大きさがあり、強い症状も伴う場合は、手術することもあります。

一つの目安として、日本産科婦人科内視鏡学会のガイドラインでは「5~8cmを超える筋腫の場合、筋腫核出術を推奨する」とされています(※5)。

筋腫核出術は子宮を温存し、筋腫のみを取り除く手術法です。筋腫核出術のうち腹腔鏡手術は、開腹手術と比べて術後の痛みが軽く、回復も早いため、主流となりつつあります。

「筋腫が8cm以上で、急速に大きくなっており、MRI検査で悪性の疑いがある」と判断された場合、子宮そのものを取り除く「単純子宮全摘術」を行うこともあります(※2)。

そのほか、子宮に超音波を当て、筋腫を熱凝固して壊死させる「集束超音波治療(FUS)」や、子宮筋腫の栄養血管を遮断し、筋腫を壊死・縮小させる「子宮動脈塞栓術(UAE)」などもありますが、再発する可能性が残ること、保険適用外のため高額な費用がかかることなどから、慎重に検討する必要のある手術法です。

なお、手術までに筋腫を縮小させたり、過多月経による貧血症状を軽くしたりするために、「GnRHアゴニスト療法(偽閉経療法)」という薬物療法を行い、一時的に月経・排卵を止めることもあります。

子宮筋腫は大きさだけでなく、場所によって治療法が変わる?

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子宮筋腫によって現れる症状は、その大きさよりもできる場所に影響を受けるため、次のとおり治療法も異なります。ただし、手術をするかどうかは、大きさや場所だけでなく、「発育が急速か」「悪性が疑われるか」「筋腫が不妊症の原因か」などが考慮され、慎重に検討されます(※4)。

粘膜下筋腫の治療法は?

「粘膜下筋腫」は、大きくなるにつれて筋腫が充血したり、子宮内膜が引き伸ばされて薄くなったりすることで出血しやすい状態になり、不正出血や過多月経などを引き起こします。

過多月経による重い貧血が見られたり、周辺の臓器を圧迫したりしている場合、不妊症につながる恐れがあるため、手術療法が検討されます。

一般的に、妊娠を希望する場合は「子宮筋腫核出術」、妊娠を希望しないか、もしくは筋腫の悪性化が疑われる場合には「単純子宮全摘術」が選択されます。

筋層内筋腫の治療法は?

「筋層内筋腫」は、子宮筋腫の中で最も多く見られます。筋腫が大きくなると子宮が大きくなり、変形するため、下腹部痛や腰痛、過長月経などを招きます。

粘膜下筋腫と同じく、圧迫症状が強い場合などは手術療法を検討します。

漿膜下筋腫の治療法は?

「漿膜下筋腫」は、初期はほとんど自覚症状がなく、サイズが小さいうちは気がつかないこともあります。しかし、キノコ状になった茎がねじれて「茎捻転」を起こすと腹痛を伴い、巨大化して周りの臓器を圧迫することもあります。

粘膜下筋腫・筋層内筋腫と比べると過多月経などの症状は少ないため、3~6ヶ月ごとに検診を受けて経過観察するケースが多くなります。ただし、筋腫が大きくなり、圧迫症状が強い場合には手術を検討します。

子宮筋腫の大きさや場所によって治療法は異なる

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今回ご説明したとおり、子宮筋腫の大きさやできる場所によって、現れる症状やリスクが異なるため、治療法も様々です。妊娠を望んでいるかどうかによって、どんな手術を行うべきかの判断が変わることもあります。

子宮筋腫と診断された場合は、「経過観察で済むのか」「薬物療法や手術療法を実施するべきか」「治療に伴う痛みや再発の可能性はあるのか」など、医師の説明をしっかりと聞き、納得のいく治療を受けるようにしましょう。

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