小1の「学校に行きたくない!」はどういう心理?親はどう対処すべき?

子どもから急に「学校に行きたくない!」と言われたとき、親としてどう対応したらいいのかも悩みますよね。

今回は、子どもが登校渋りをする心理や、登校渋りをした際の親の心構えなどについて、人間の心の発達を研究されている渡辺先生に伺いました。

法政大学文学部心理学科教授渡辺 弥生

渡辺 弥生

筑波大学、静岡大学で教鞭をとり、ハーバード大学客員研究員、カリフォルニア大学サンタバーバラ校客員研究員を経て、法政大学文学部心理学科教授。同大学大学院ライフスキル教育研究所所長。教育学博士。専門は発達心理学、学校心理学。社会性や感情、道徳性の発達研究と対人関係の問題行動の予防やソーシャルスキルトレーニングに力を入れている。

子どもが登校したくない心理って?

―子どもからある日突然「学校に行きたくない」と言われると、たいていの親は多少なりとも戸惑ってしまうとも思います。「学校に行きたくない」と言う子どもはどんな心理なのか、教えていただけないでしょうか。

小1の子どもが学校に行きたくない理由としては、「環境の変化」「親と離れる不安」「子どもの内面の発達」といった原因が考えられます。

環境の変化

小学校 机と椅子

小学校ではたくさんの子どもがいる中で45分間座って黙って話を聞くというスタイルに変化します。

子どもは環境の変化に対して敏感です。「どうすればいいんだろう」という戸惑いから、登校したくなくなることがあります。

親と離れる不安

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保育園や幼稚園では、親はすぐに迎えに来てくれたりと身近な存在でした。しかし「小学校」という門をくぐると、親と離れるような感じがして急に不安になり学校に行きたくなくなることもありますね。

子どもの内面の発達

子ども 小学校 運動会

精神の発達に伴い、これまで意識していなかったことが急に嫌になることがあります。

具体的には、小1くらいから「他者との比較」ができるようになります。保育園や幼稚園では運動会で最下位になってもあまり悔しがっていなかったのが、小1になると最下位であることに急に悔しがったり悲しんだりする…ということがあります。

「自分は万能だと思っていたけれど、そうではなかった」といったことに気づき始めるのが、小1の頃です。

このような他者との比較がマイナスに働いて、学校に行きたくなくなることもあります。

親が心がけておきたいことは?

―次に、子どもに「学校に行きたくない!」と言われたときに、親が心がけておきたいことを教えてください。

子どもが学校に行きたくないと言うのは、決して珍しいことではありません。大切なのは、言われたときに焦らないことです。

共感を示してあげる

子ども 親子 なだめる

「大丈夫」「気にしちゃだめ」と根拠のない言葉を押し付けてしまいがちですが、人間は共感してもらえるだけで元気が出るもの。まずは「大変だったね」と声をかけてあげましょう。

不安に思いすぎない

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子どもは親の心持ちを敏感に察知します。これを「情動感染」といいます。親が「このまま不登校になってしまうかも…」と不安になると、子どもにも伝わり悪影響になる可能性があります。

小1の場合は深刻な不登校になるのはごく少数です。おおげさにしすぎずに「学校に行きたくない気分のときもあるよね」と、どっしりと構えておくといいですよ。

プレッシャーをかけない

親子 笑顔 小学生 女の子

親の期待が大きすぎたり、プレッシャーをかけるのは、子どもの不安を助長します。「小学生になるとこんな楽しいことがあるよね」と楽しみに意識が向かせるようにするといいですね。

子どもが行きやすいよう声掛けをする

女の子 ランドセル 笑顔 小学生

子どもに限らず、人間は不安が大きいと躊躇しがちです。「嫌なことがあれば帰ってきていいんだよ」と、子どもが行きやすくなるような声掛けをしてあげましょう。

先生と密に連絡をとっておく

小学校 校舎

「相談すると大事になってしまうんじゃないか」と思わずに、小学校の先生とは細やかにコミュニケーションをとりましょう。学校側としても、情報があった方が対策がとりやすいです。

相談できる場所を知っておく

相談窓口

「学校に行きたくない」と言う回数が増えてきて悩む場合は、文部科学省の推進の元で教育委員会が設置・運営している教育指導センター(適応指導教室)などに行くのがおすすめです。費用もかかりませんよ。

教育支援センターでもどうしても子どもが居場所を見つけられず悩んでいるようであれば、民間のフリースクールなどに相談してみてもいいかもしれません。

子どもは遊びを通して成長する

親子 鬼ごっこ

―では最後に、「学校に行きたくない」と言われて悩むママ・パパにメッセージをお願いします。

何より大切なのは、普段から親が子どもの表情を見たり、声を聞いたりすることです。

子どもは遊びの中で大切なことを学びますが、現代社会ではその絶対時間が減っていますよね。

よく子どもたちが並んでゲームをしている姿を見かけますが、親は横にいるだけになっていることが多いです。

ボードゲームや鬼ごっこなど何でも構いません。お互いの表情を見たり、声を聞いたりできるような遊びをしましょう。

人との関わり合いも大切にできるといいですね。幼児から小学校低学年の間に、多くの人と繋がって、泣き叫んだり、怒りすぎたりしない程度のスキルを獲得しておくと、勉強の成果も出てくるとされていますよ(※1, 2)。

不安に思いすぎずに子どもをサポートしよう

小1になると、子どもは相手と自分が違うということが分かるようになります。成長とともに「学校に行きたくない!」という気持ちを抱くこともあるかもしれません。

いざ言われたときも、不安に思いすぎることなくどっしりと構えて子どもをサポートしてあげられるといいですね。

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