最近子どもが言葉につまったり、喋り出しの言葉を何度も繰り返したりすることはありませんか?幼児期や小学校の低学年ではよくあることですが、話しにくそうにしている場合は、「吃音(きつおん)」と呼ばれるものかもしれません。
今回は子どもの吃音について、症状や原因、親の対応について詳しくご説明します。
子どもが言葉につまる・繰り返す…原因は?
幼児や小学校低学年の子どもが、言いたいことがたくさんあってうまく言葉がでなかったり、慌てていて言葉を繰り返したりすることはよくあります。
小学生になったとはいえ、低学年のうちはまだ言語の発達過程にあります。音読などがスラスラできなくても、心配しすぎる必要はありませんよ。
ただ、以下のような特徴がみられる場合、別の原因があるかもしれません。
● 初めの音や、言葉の一部を何回か繰り返す
● 初めの音を引き伸ばす
● 最初の言葉が出にくく、力を込めて話す
例えば、「僕が」と話したいときに、
「ぼ、ぼ、ぼ、ぼくが」
「ぼーーーーくが」
「・・・・ぼくが」
「ぼ、ぼ、ぼ、・・・・ぼくが」
というような状態のことです。
この場合、「吃音(きつおん)」の可能性が考えられます(※1)。
吃音ってどういうもの?なんで起こるの?
吃音は、以下のような要因が複雑に絡み合って起こるといわれています(※2)。
● 子どもの体質
● 遺伝的な要因
● 脳と言葉の急激な発達
● 環境
誤解されやすいですが、吃音は親の育て方が影響して起こるわけではありません。
吃音のほとんどが4歳までに起こりますが、小学生でも起こることがあります。子ども100人のうち、5〜8人程度に起こると言われていて、男の子の方が起こりやすい傾向にあるようです(※1)。
吃音の75〜85%は自然に治るといわれています。ただ、半年くらいは症状が多く見られ、完全になくなるまで2〜3年ほどかかることもあります(※1)。
吃音が起きやすいのはどんなとき?
特に起きやすいのは、以下のようなときです。
● 友達にからかわれる
● 興奮している
● 否定的な態度をとられた
● たくさんのことを一気に求められた
● 人前などで緊張している
他にも、「引っ越しをした」「弟や妹が生まれた」など大きな環境の変化などで、子どもが心身に負担を感じたときに吃音は出やすくなりますよ。
子どもの吃音に親はどう対応したらいい?
子どもが吃音になったときに、親はどのように対応したらいいのでしょうか。
言葉の話し方に干渉をしない
つい「ゆっくり話そうね」「落ち着いて」など良かれと思って子どもにアドバイスしたくなりますが、子どもが混乱したり、話すのが怖くなってしまったりすることに繋がります。
子どもが話しやすい聞き手になって、話の内容に耳を傾けましょう。途中で遮らずに最後まで聞いてあげてくださいね。
話し方の見本をみせる
話し方に干渉をしない代わりに、大人が「ゆっくり」「ゆったり」と話し、話の間に十分な間をとることで、子どもにお手本を見せましょう。
親子で話す機会を増やし成功体験を積ませる
たくさん会話をして小さな成功体験を積ませることが大切です。会話の最後に「〜だったね」と話の内容を繰り返したり、まとめてあげたりして、伝わったことをあらわしましょう。
子どもが「伝わった!」と嬉しく感じることで、話をすることの楽しさ・自信に繋がります。
吃音についてフランクに話し合う
小学生で吃音が起こった場合は、子ども自身が吃音に気づきやすいです。
気にしている場合は、話題にしないようにするのではなく、「吃音は癖のようなものであって、悪いことやいけないことではない」ことを伝えましょう。
「背が高い子と低い子がいるように、話し方にも色々あるんだよ」と教えることで、子どもは劣等感を感じずに自分自身を認められるようになります。
時間的なプレッシャーを取り除く
兄弟や姉妹がいるとパパやママと話す時間が取り合いになりがちです。毎日短い時間でもいいので、兄弟や姉妹と別々にゆっくりと話す時間を作りましょう。
難しい要求はしない
吃音が出ているときに「どうして?」「どういうふうに?」といった難しい質問や説明をさせるのはやめましょう。子どもからの言葉を大事にしてあげてくださいね。
学校での対応を先生に相談しておこう
吃音は、周りの子が悪気なく指摘することもあります。小学校に通っていて気になる場合は、担任の先生と話してみるのもよいでしょう。
子ども自身が不安を感じていたり、吃音が悪化していたりするようであれば、早めに小児科の先生に相談しましょう。