虫歯になりにくい食生活と間食を考えよう!|乳幼児期のオーラルケア

できることなら子供を虫歯にしないで育てたいと思いますよね。では、どうしたらなるべく虫歯にならないように育てられるのでしょうか。

虫歯になる原因や食事や間食について、小児歯科医の田中英一先生に伺いました。

監修田中英一先生

田中英一先生

田中歯科クリニック小児歯科(東京都中野区)院長。日本小児歯科学会副理事長、日本保育保健協議会理事、保育園や幼稚園の園医をつとめる。子供の歯と心を考えることで定評がある。共著に『子どもの食の育て方』『にこたえるすこやかな口 元気な子ども』(医歯薬出版)ほか。

少しずつ増える虫歯菌。家族みんなでケアを

赤ちゃん 歯磨き 日本人(アイキャッチ)

赤ちゃんは生まれたときは虫歯菌を持っていません。それが少しずつ増えていき、3歳児のほとんどが虫歯菌を持っています。

虫歯菌はお箸やスプーンの共有などでうつります。どんなに気をつけていても、子供が一切虫歯菌を持たずに成長することは難しいため、一緒に暮らすママやパパ自身が、虫歯の治療やケアを心がけることが大切です。

虫歯でなくても歯の定期検査を受けるなど、ママ・パパが気をつかってあげてくださいね。

虫歯ができる理由は、主に以下の4つ。

① そもそも虫歯菌があること
② 歯の強さ
③ 食べもの
④ 虫歯になりやすい危険にさらされている時間

きょうだいでも、虫歯になりやすい子となりにくい子がいますが、それは歯の強さによるもの。生まれ持ったものと、生活によって養われる部分もあります。

この4つが組合わさると虫歯になります。逆に考えるとどれか2つだけでも気をつければ、虫歯を防ぐことができるというわけです。

3食を規則正しく間食も時間を決めよう

miku 転載 虫歯になりにくい食生活と間食

食べ物を食べると、口の中が酸性化し、カルシウムが歯から溶け出す「脱灰」という状況が生じます。この状態が長く続くと前出の「虫歯になりやすい危険にさらされている時間」が増えてしまいます。

おやつを頻繁に食べ続けていると、虫歯になりやすい状態が続くことになるので、食事の時間や間食は規則正しくすることが大切。間食も、午前と午後など時間や内容を考えて与えましょう。

ぐずったときに機嫌を直すためにおやつを特効薬として与えることは、なるべく控えるように心がけ、遊ぶ、音楽をかける、お散歩するなど、気分転換の方法を工夫しましょう。

よく噛むと、唾液が出て虫歯になりにくい

1歳 離乳食 ご飯 エプロン

食べる機能は徐々に発達していきます。乳歯が生えそろい、大人と同じものを食べるようになったら、よく噛んで食べることも身につけていきましょう。

「よく噛む→唾液が出る→口の中の酸性度が回復する」となり、虫歯になりにくい歯を作ることにもつながります。

「よく噛むようにしましょう」というと、「固いおせんべいなどを食べさせた方がいいですか?」と聞かれることがありますが、ガリガリと噛む必要はありません。

離乳食からの流れで、柔らかいもの、細かく刻んだものばかり食べさせていると噛まずに飲み込むようになってしまいます。野菜の煮物など、食材を大きめに切るなど工夫すると、よく噛んで食べるようになります。

唾液にはいろいろな利点がある

唾液は大人の場合、1日に1000~1500ml分泌されます。これは大きなペットボトルと同じくらいの量。子供の唾液は大人より少ないと言われています。唾液には口の中を清潔に保つさまざまな働きがあります。

  • 食べものの消化をよくする
  • 味を感じやすくする
  • 口の中の汚れを洗い流す
  • 酸を中和して、虫歯を防ぐ
  • 細菌の繁殖を抑える
  • 再石灰化によって虫歯を防ぐ

よく噛むための合言葉

あ: あごへの影響

しっかりしたあごの骨を育て、かみ合わせをよくする

い: 胃腸への影響

消化吸収が促進され、満腹中枢も刺激され、ダイエット効果がある

な: 何でも食べる

いろいろなものが食べられて、健康な体ができる

の: 脳への影響

脳へ刺激を与え、記憶力や集中力が高まる

だ: 唾液への影響

唾液の分泌が促され、虫歯や歯周病を予防する

子供の食べる様子をキャッチしよう

6ヵ月 離乳食 赤ちゃん

「よく噛んで食べているか」は、子供の食べる様子をよく見ることがポイント。

食べ物を残す場合、その結果だけを見るのではなく、食べにくいのか、味が嫌いなのか、量が多いのか、食べる時間のタイミング(間食からの時間が短いなど)がよくないのかなど理由を考えてみましょう。

テレビに気を取られているなら食事中は消し、味や歯ごたえを変えることで食欲が出ることもあります。いろいろ工夫しても、食べ方で気になることがあれば、小児科医、歯科医や保健所の健診時などに相談してみましょう。

間食はお菓子を与えるというのではなく、補食=栄養補給と考えましょう。

小さなおにぎりや果物などもおすすめですが、友だちの家やおばあちゃんの家でお菓子をもらうというような場面もあるでしょう。ママは甘いお菓子は与えたくないかも知れませんが、甘いものは心の栄養。

甘いものを食べることで、ほっとしたり、友だちと一緒に食べておいしいとしあわせを感じることも大事なこと。虫歯予防のためだからと、甘いものを一切禁止にする必要はありませんよ。

撮影/福田依子
出典:miku49号 2017年夏号
記事提供:絵本ナビ編集部
※掲載されている情報は、2017年7月25日当時のものです。一部加筆修正しています。

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