食中毒とは?原因や種類、子供の症状に気づくコツは?

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県大和市の高座渋谷つばさクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギ... 監修記事一覧へ

私たちが日々生活している場所には細菌やウイルスがたくさんいます。普段は上手にそれらの菌と付き合いながら生活しているのですが、なかには命に係わる食中毒症状を引き起こすものも。特に小さい子供は重症化することがあるので注意が必要です。今回は、食中毒とはどういったものか、原因や種類、子供の食中毒に気づくコツなど、予防法も合わせてご紹介します。

食中毒とは?

食中毒とは、細菌やウイルスに含まれる毒素を含む飲食物を食べてしまったときに起こる、下痢や嘔吐、発熱などの中毒症状を指します。ニュースなどを見ると、飲食店での食事が多いと思われがちですが、毎日食べている家庭での食事でも食中毒は発生します。また家庭だと集団で症状が出にくいこともあり、食中毒と気付かず重症化することも。予防法や対処法をぜひ知っておきましょう。

食中毒の原因は?種類はどんなものがある?

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食中毒を発生させる主な原因は、「細菌」と「ウイルス」です。ほかに、フグなどの動物性自然毒、キノコに代表される植物性自然毒、化学物質や寄生虫が原因となるといわれています。

細菌は温度や湿度の条件によって食べ物内で増殖し、食中毒に。ウイルスは食べ物では増殖しないのですが、人の腸内などで増殖することで食中毒を引き起こします。特に家庭での注意が必要な、細菌とウイルスによる食中毒について、詳しく予防法や対処法を紹介します。

細菌性食中毒の予防法は?

細菌性の食中毒は原因菌が増殖して起こります。主に5月から8月に多く、常温で繁殖する性質があります。原因菌には、黄色ぶどう球菌、ボツリヌス菌、病原大腸菌、サルモネラ属菌、キャンピロバクターなど様々な種類があり、それぞれ次のように予防・対処をおすすめします。

予防方法

細菌は中心部が75度以上の状態で、1分以上加熱することで消滅します。夏場は肉類はよく火を通したものを食べましょう。また、細菌を持ち込まない事から普段料理をする人は爪を短く切って清潔にしておきましょう。

子供がいる家庭で注意すること

夏場はミルクを作って常温で置いておくと、あっという間に細菌が繁殖し、細菌性食中毒の原因になります。哺乳瓶を煮沸消毒していても、乳首やビンと乳首の接続部にミルクが残っているとそこで菌が繁殖することも。食中毒の原因菌の中には塩分に弱いものもありますが、塩分が控えめに作ってある離乳食は夏場は細菌が増殖しやすい状態になるので、作ったらすぐに食べさせてあげましょう。

お弁当は常温だと細菌が繁殖しやすいので、冷めるまで蓋はあけておき、細菌繁殖の原因となる水蒸気がこもらないようにして、保冷剤でお弁当の温度が上がるのを防ぎたいところ。夏場は生ものを入れずに水分の少ないおかずにすると、ぐっと食中毒のリスクが減りますよ。

ウイルス性食中毒の予防法は?

ウイルスによるものはノロウイルスが有名ですね。ウイルス性食中毒は、生かきなどの二枚貝の摂取や、感染者の嘔吐物や便などからの二次感染が広がる食中毒です。

子供がウイルスを含んでいる食べ物を食べることは少ないと思いますが、親や周りの人が感染し、その嘔吐物や下痢便から感染することがあります。ウイルス性食中毒の場合はあさりやはまぐりといった二枚貝や生かきなどから発生し、主に冬場に多い食中毒です。

予防法

ウイルスは熱に弱く、85度以上で1分以上加熱すると活性がなくなります。冬場でも加熱して食べるのが望ましいですね。また、子供が小さく抵抗力が低いうちはできる限り生ものは食べさせないようにしましょう。

子供がいる家庭で注意すること

子供がいる家庭で特に注意することは、なってしまったあとの二次感染です。もし家族の誰かが嘔吐してしまったら、まずはすぐにふき取ること。排泄物や嘔吐物を触るとそこからまた感染します。また、渇くと空気中に飛散して感染が広がります。

シーツや衣類など、嘔吐物や排泄物が付着したものはすぐに塩素系漂白剤につけておきましょう。洗うときは容器の中でそっと洗います。嘔吐物や排泄物が目に見えなくても、トイレや洗面台、お風呂は念入り拭き掃除し、消毒しましょう。

感染者の使用後のコップや食器などは85度以上の熱湯で消毒しましょう。塩素系漂白剤と熱湯消毒を組み合わせることでさらに感染のリスクが下がりますよ。

子供の食中毒を防ぐためのおすすめグッズは?

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子供をもつ親としては食中毒はとても気を使いますよね。最近では食器だけでなく包丁やお弁当箱なども抗菌加工してあるものが販売されています。食べ物を作る環境はできるだけ菌が付かないもので作りたいですね。

ほかに、子供の幼稚園や保育園でお弁当が必要な時には、細菌の繁殖を抑えてくれる抗菌シートの利用もおすすめです。デザインも可愛いものが多いので子供も喜んでくれますよ。

子供の食中毒の症状に気づくコツは?

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子供は風邪など病気にもなりやすいですが、急激な経過で下痢・嘔吐・発熱などを併発するときには食中毒にも要注意です。とくに、下痢に血が混じったり、呼吸まで苦しむようですと、単なる風邪とは考えずに早めの内科・小児科を受診してください。食中毒は食べたものだけでなく、普段の生活の中で口に入ってしまうこともありますので油断しないようにしましょうね。

子供が食中毒になってしまったらどうする?

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もし万が一食中毒になってしまったら、次のような対処をしてあげましょう。

嘔吐や下痢は我慢させない

嘔吐や下痢は身体が悪い菌を出そうとしているサインです。薬で止めると長引く傾向にあるため、我慢しないようにしましょう。

できるだけ早く病院に連れていく

食中毒が原因となって他の病気を誘発してしまうことがあるため、症状が重い場合はできるだけ早めに病院に連れていきましょう。食中毒は、最悪の場合死に至ることもあります。状態をこまめに観察し、容体の急変にすぐに気がつけるようにしてください。

脱水症状を起こさないように定期的に水分補給をする

食中毒は嘔吐や下痢で脱水気味になることがあります。特に小さい子供は脱水症状を起こしやすいため、水分補給をこまめにしましょう。また体に水分が入ってくることによって菌を外に排出しやすくもなります。水ばかりだと飲みにくい場合があるので、吸収率の良い子供用のイオン飲料を使うこともおすすめです。

他の家族や兄弟が感染しないように対処する

ノロウイルスは二次感染が非常に多いウイルスです。看病している人が感染すると大変ですので、きちんと処理をして二次感染を防ぎましょう。

子供の食中毒に市販薬は効くの?

まず第一に、症状が重い場合は市販薬に頼ろうとせず、内科等の病院へ受診することがおすすめです。症状がそれほど重くないときには、整腸剤などの市販薬や、経口補水液等での水分補給をしていきましょう。間違っても下痢止めなどは飲まないように。嘔吐や下痢は体の悪いものを外に排出する自然な働きなので、止めずに出るものは出すことが大切です。

食中毒の症状は辛いものが多く、小さな子供にはできるだけ経験させたくはないですよね。食中毒の原因となる細菌やウイルスに気をつけながら、日頃の生活習慣で予防していきましょう。

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