最近ニュースで「人食いバクテリア」というインパクトの強い名前で知られる「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」。全国的に感染者数は少ないものの、今年は過去最多のペースで増えています(※1)。
今回は、劇症型溶血性レンサ球菌感染症について解説します。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症とは?

劇症型溶血性レンサ球菌感染症は、子どもの感染症でよく聞くA群溶血性レンサ球菌咽頭炎(以下、溶連菌感染症)と同じ菌によるもので、通常菌が存在しない血液などに菌が侵入した場合ごくまれに引き起こされます(※2)。
突発的に発症するのが特徴で、発症すると急激なスピードで進行し、約30%が死に至る危険な感染症です(※1)。
最近、溶連菌感染症が流行していることから、子どもへの感染が気になりますよね? 溶連菌感染症と劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因菌は同じですが、別物と考えてください。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は子どもより大人がかかりやすく、特に30歳以上の大人の感染者が多い特徴があります(※3)。子どもが溶連菌感染症にかかったからといて、必ず劇症型になるわけではありません。不安に考えすぎないでくださいね。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症と
溶連菌感染症の症状の違いは?

劇症型溶血性レンサ球菌感染症と溶連菌感染症の、主な症状の違いを知っておきましょう。
劇症型溶血性レンサ球菌感染症の主な症状(※1,2)
□ 発熱や悪寒
□ 筋肉痛
□ 血圧の低下
□ まれにめまいや錯乱状態
症状が進行すると…
□ 筋肉や脂肪の炎症(組織の壊死)
□ 呼吸状態の悪化や意識障害
□ 肝不全・腎不全などの多臓器不全
溶連菌感染症の主な症状(※4)
□ のどの痛み
□ 嘔吐
□ 手足や全身に発疹
□ 紅斑やイチゴ舌が現れることも
大きな違いは、「手足の強い痛みや腫れ」。傷口から腫れや赤みが広がる症状も多く報告されています。
劇症症型溶血性レンサ球菌感染症は早期に治療をスタートすることが大切です。少しでも疑いがあれば早めに受診しましょう。
大切なのは基本的な感染対策!

劇症型溶血性レンサ球菌感染症も溶連菌感染症も、基本的な感染対策は同様です。
咳、くしゃみなどでの飛沫感染や、小さな皮膚の傷などから接触感染で感染するので、以下の基本的感染対策を徹底しましょう
● うがい
● 消毒
● マスク
● 小さな傷でも清潔に保つ
手を洗ってもタオルにウイルスや細菌が残ってしまうこともあるので、できればタオルは家族で共用せず、個人用タオルを使うと安心ですよ。
便を介した感染を防ぐために、おむつ替え後はすぐ手洗いと消毒をしてくださいね。
感染症予防は家族全員で意識しよう!
これから本格的な暑さを迎える時期は、ほかの感染症も流行し始めます。
日常の感染対策がほかの感染症の予防につながるので、親子で意識して取り組んでくださいね。