現在、感染拡大が懸念されている百日咳(ひゃくにちせき)。5月18日までの1週間あたりの報告数が過去最多を更新し、すでにニュースなどで耳にしている方もいるかもしれません(※1)。
今回は、百日咳がどのような病気か、赤ちゃんが感染したときの影響や予防法などをご説明します。
百日咳はどんな病気?症状は?

百日咳とは、百日咳菌に感染することで起こる感染症です。鼻水などの風邪のような症状から始まり、しだいに激しい咳が連続して出るようになります。
非常に強い感染力を持っているため、大人も子どもも感染しやすく、咳やくしゃみによって菌が拡散されて感染が広がります。
百日咳は、カタル期、痙咳期(けいがいき)、回復期という3つの期間を通して、症状が変化していきます(※2)。
カタル期:約2週間
百日咳は通常7〜10日ほど(最大20日)の潜伏期間を経て発症します。軽い咳や鼻水といった風邪に似た症状からはじまり、次第に咳の回数が増えて、咳込みが激しくなります。
痙咳期(けいがい期):2~3週間
顔が赤くなるまで「コンコンコン」と短く乾いた咳が連続して出るようになります。息を吸い込むときに笛のような「ヒュー」という高い呼吸音が鳴るのが特徴です。顔面を紅潮させることもあります。
呼吸困難が起こって肺炎になることもあります。乳幼児ではこのような咳が見られず、息を止めているような無呼吸発作から、けいれん、呼吸停止などにつながることもあります。
回復期:2~3週間
ときどき発作性の咳が起きますが、基本的に咳は徐々に治まっていきます。完全に咳が出なくなるまで2〜3ヶ月かかります。
赤ちゃんが百日咳になったときのリスクは?

免疫力がない赤ちゃんが百日咳にかかると、さまざまなリスクが生じます。
特に乳児(特に新生児や乳児期早期)は痙咳期(けいがい期)に重症化することがあります。肺炎や脳症などの合併症を併発し、まれに命に関わるケースもあるため注意が必要です(※2,3)。
咳が続くときは、早めに病院を受診しましょう。
百日咳に感染しないための予防法は?

百日咳の感染対策としてもっとも効果が期待できるのはワクチンの接種です。
百日咳が含まれる五種混合ワクチンを4回接種する必要があります。ワクチンは生後2ヶ月から接種できます(※4)。
また、百日咳は飛沫感染が主なので、感染が流行している時期は混雑する場所を避けることも大切です。加えて、手洗いなど菌を体内に取り入れないための対策も行いましょう。
百日咳に感染しないように対策しよう
百日咳は、重症化の可能性もある危険な病気なので、かかる前に予防することが大切です。
住んでいる地域の地方自治体から予防接種の通知が来たら、決められた期日内に必ず受けるようにしてくださいね。