子宮筋腫の検査方法と費用は?治療費は保険適用される?

監修医師 産婦人科医 永瀬 絵里
永瀬 絵里 産婦人科専門医。2001年、東海大学医学部卒業。神奈川県内の病院で産婦人科医としての経験を積み、現在は厚木市の塩塚産婦人科勤務。3児の母。「なんでも気軽に相談できる地元の医師」を目指して日々診療を行っ... 監修記事一覧へ

女性特有の病気である「子宮筋腫」は子宮の筋肉にできる良性の腫瘍で、「がん」になることは稀です。しかし、放っておくと不妊の原因になることもあるため、早い段階で子宮筋腫を発見し、対処を検討することが大切です。今回は、子宮筋腫を早期発見するための検査について、方法や費用、保険適用されるのかどうかをご説明します。

子宮筋腫は定期検診で早期発見できる?

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子宮筋腫が小さいうちは、ほとんど自覚症状が見られません。筋腫が大きくなるにしたがって、生理周期が乱れたり、月経異常からくる貧血、それに伴う動悸、筋腫が周りの臓器を圧迫することによる下腹部の張りや痛み、腰痛、月経困難症、便秘、頻尿、排尿痛などが現れたりします(※1)。

子宮筋腫がある程度の大きさになっていた場合、「子宮がん検診」などの定期健診で子宮筋腫が見つかることもありますが、内診のみでは発見できない場合があります。

そのため、特に自覚症状がなくても、年に一度は定期健診に加えて超音波(エコー)による「子宮筋腫検査」も受けておくことが、早期発見には不可欠です。

子宮筋腫の検査方法は?

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子宮筋腫検査には、主に次のような方法があります。自覚症状の有無や、子宮筋腫の大きさや位置によって実施する検査が異なります。

内診

会社の健康診断の一環で受ける定期健診などでは、主に「内診」が行われます。直接、医師が膣の中に指を入れたうえで下腹部を触診しながら、膣内や子宮内にしこりがないかどうかを調べる検査です。

内診では、子宮の大きさ、硬さ、でこぼこの有無などがわかります。大きくなった子宮に硬いしこりができていることから、子宮筋腫が発見されることもあります。

超音波(エコー)検査

超音波を体に当てて、はね返ってくるエコー画像をモニターに映し出し、子宮の状態を調べる検査方法で、内診では見落としてしまう小さな筋腫まで発見できます。

超音波検査には、プローブという機械をお腹の上から当てる「経腹法」と、プローブを直接膣内に入れて調べる「経腟法」の2種類があり、子宮筋腫の位置によって使い分けることがありますが、子宮筋腫が大きい場合や、その数が多い場合などにはできれば両方実施することが望ましいとされています(※2)。

MRI検査

内診や超音波検査で子宮筋腫の疑いが出た場合、MRI検査によって、その大きさや位置、状態を正確に調べるための精密検査が行われます。

MRI検査によって、悪性の「子宮肉腫」や、子宮内膜症の一種である「子宮腺筋症」と見分けることができます。

子宮鏡(ヒステロスコピー)検査

子宮鏡検査とは、子宮の中に細いカメラを入れ、子宮内部の状態を直接観察するものです。

超音波検査などの結果、子宮内膜のすぐ下に腫瘍ができる「粘膜下筋腫」が疑われる場合、子宮鏡検査を勧められることがあります。

子宮筋腫の検査費用はいくら?保険は適用される?

お金 100円

子宮筋腫の検査費用は、病院によっても異なりますが、内診と超音波検査など基本的な検査だけであれば、保険適用で1回あたり3,000円程度のところが多いようです。ただし、定期健診の場合は保険が適用されず、自己負担となります。

MRIなどの精密検査を自主的に受ける場合、自由診療となるため、保険が適用されません。しかし、内診や超音波検査で「子宮筋腫の疑いあり」と診断され、さらにくわしく調べるための検査を受ける場合の費用は保険適用となります。

保険が適用されたうえで、MRIの検査費用は6,000~8,000円程度で、内診や超音波検査に比べると費用がかかります。気になる場合は、各病院に検査費用を問い合わせてみましょう。

子宮筋腫が検査で発見された場合は?

検査の結果、子宮筋腫が発見された場合は、その大きさや位置で治療するかどうかが検討されます。明らかに良性の腫瘍で、日常生活に支障が出るような症状がなく、妊娠を特に希望していない場合、ほとんどが経過観察になり、症状に応じて定期的に検診を受けます。

また、更年期に発見された筋腫は、閉経後に小さくなることもあるため、薬の投与や手術を行わず、様子を見ることも多くあります。

ただし、「腫瘍が握りこぶしぐらいの大きさで、ほかの臓器を圧迫して不快症状が出ている」「筋腫は小さいものの、貧血などの重い症状がある」「筋腫が不妊の原因と考えられ、妊娠の可能性を探りたい」といった場合には、薬物療法や手術療法を行うことになります(※1)。

薬物療法

対症療法として、薬によって生理を半年ほど止めて「偽閉経」状態を作り、貧血や下腹部痛などの症状を軽くしたり、筋腫を縮小させたりすることもあります。

ただし、薬物療法で子宮筋腫を完治することはできないので、根本的な治療には手術が必要です。

手術療法

子宮筋腫の手術には、筋腫だけを切除する「子宮筋腫核出術」と、子宮そのものを取り除く「子宮全摘術」があります。将来妊娠を望む場合は、子宮筋腫核出術を選択し、子宮を残します。

一般的な子宮筋腫の手術は、保険適用の対象となり、大体20万円前後が費用の相場になります。ただし、最先端治療を実施する場合、保険が適用されないこともあります。詳しくは、医師に確認してください。

子宮筋腫の検査は、妊娠の可能性を高めるためにも大切

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子宮筋腫は、ほとんどの場合、命にかかわるものではありませんが、悪化してしまうと不妊の原因になります。30歳代の女性のうち、5人に1人は子宮筋腫が見つかるといわれており、誰もが無関係ではいられない病気です。妊娠を望んでいる人は特に、定期的に検査を受けるようにしましょう。

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