小1プロブレムとは?原因は何?家庭でできる対策はある?

監修専門家 臨床心理士 佐藤 文昭
佐藤 文昭 おやこ心理相談室 室長。カリフォルニア臨床心理大学院臨床心理学研究科 臨床心理学専攻修士課程修了。米国臨床心理学修士(M.A in Clinical Psychology)。精神科病院・心療内科クリニ... 監修記事一覧へ

春になると、たくさんの園児たちが卒園して小学校に通い始めます。通学する我が子を見ていると頼もしく感じることもありますよね。しかし、新しい環境に慣れることは想像以上に大変。近年、この時期に起こる「小1プロブレム」に注目が集まっています。今回は「小1プロブレム」とはどういうものか、原因や家庭でできる対策はあるのかなどをご説明します。

小1プロブレムとは?

女の子 子供 ランドセル 笑顔

小学一年生になったばかりの子供たちは集団行動に馴染めず、椅子に長時間座ることにも慣れていません。授業中に急に立ち上がって走り出したり、先生の話を聞かなかったりして、授業ができなくなることがあります。

従来であればこれらの行動は最初の1ヶ月を過ぎる頃に落ち着き、授業もスムーズにできるようになるのですが、最近では授業にならない状態がずっと続くようなケースが増えてきたことで、少しずつ問題視されるようになってきました。

このような状態がずっと続いてしまうことを小1プロブレムといいます。

東京都教育委員会が都内の公立小学校の校長に行った調査によると、平成24年度に小1プロブレムが発生した割合が21.1%にのぼることがわかっています(※1)。また、都内に限らず、小1プロブレムは全国規模で起こっています。

近年、この小1プロブレムが起こるようになった原因には何があるのでしょうか?

小1プロブレムの原因は?

理由 why

授業中にじっとしていられない、集団行動になじめないという子供に対しては、これまで、家庭のしつけや学校の指導力不足などが原因だといわれることもありました。しかし、小1プロブレムの原因については、そう単純ではないことがわかってきています。

現在では、小1プロブレムについて、家庭や地域、幼稚園、小学校など、社会全体の問題として、以下のような原因があると考えられています。

幼稚園・保育園と小学校との違い

幼稚園や保育園では、主に「遊び」や「体験」が重視されるのに対し、小学校では教員による「座学」での教科学習が中心になります。また、「チャイムに合わせて時間割どおりに動く」というのは幼稚園や保育園にはありません。

小学生になって急に長時間イスに座り、じっと先生の話を聞くことになじめないのは当たり前なのかもしれませんね。

家庭や地域内でのコミュニケーションの減少

小1プロブレムの原因として、学習スタイルの違い以上に問題なのが、人とのコミュニケーションの減少だと考えられています。

核家族化が進んで、家の中でコミュニケーションを取るのはパパとママだけ。そのうえ地域の交流が少なくなって、近所のお兄ちゃんお姉ちゃん、おじさんおばさんなどと接する機会がなくなっています。

かつては、いろいろな人とのコミュニケーションを通じて、人との接し方や基本的な生活習慣を身に付けられていたのに、最近ではそれが学べなくなっているのです。

この結果、集団行動になじめない子供が増えるなどの問題につながり、小1プロブレムを引き起こすと考えられています。

小1プロブレムの子供への影響は?

ノート チェック ペン 付箋

小学1年生は、ノートの書き方や授業の聞き方、教科書や筆記具の整理整頓など、「勉強の学び方を身に付ける時期」です。小1プロブレムが長引いてしまうと、勉強の学び方を習得する機会が短くなり、今後の学習にも支障が出る可能性が指摘されています。

また、小学校において集団のルールに合わせられない子供は、教師から直接指導を受けることが多くなります。自分だけが教師から指摘を受けているという状況が、自分に対するネガティブな気持ちを高め、自己肯定感を失ってしまうことも考えられます。

小1プロブレムの家庭でできる対策は?

女性 女の子 子供 笑顔 家族

小1プロブレムを防ぐために家庭でできる対策として以下のようなものがあります。子供自身のためにも実践してみましょう。

時間割を作って、規則的な生活に慣れる

小学校に入学する前から、家庭でも時間割を作って生活してみましょう。決められた時間に食事をしたり、お風呂に入ったり、外で遊んだり、時間割どおりに過ごすことに慣れさせるのがおすすめです。

子供と一緒にかわいらしい時間割を作ると、楽しく過ごせそうですね。

座学の習い事を始める

子供にとって、長時間座って物事に集中するのはとても難しいことです。自宅で「そこに座っていなさい」と言ってもなかなかできませんよね。

そこで、そろばん教室や書道といった座学の習い事がおすすめです。楽しみながら、じっと座っていることを身につけられます。

知り合いの家族など、色々な人と関わる

大人や同年代の子供たちと関わる機会を増やすために、ママ友や会社の同僚の家族など、知り合い家族と遊びに出かけてみることも一つの方法です。

近隣の人と挨拶をするだけでも子供の意識は変わってきますよ。

小学校でのストレスを解消してあげる

小学校では決められた時間に集団で行動するため、子供が満足するまで取り組めずにストレスを感じる場合があります。そんなときは、家に帰ってきたら好きなことを満足するまでやらせてあげることも重要です。

子供の様子をじっくり見て、対処してあげてくださいね。

小1プロブレムには地域での連携が重要

風景 街 ビル 建物

社会の変化によって生じてきた「小1プロブレム」は、学校だけ、家庭だけ、では対処できません。幼稚園・保育園・小学校・家庭が地域として連携して、子供を育てていく必要があります。

最近では「幼保小連携」の強化によって、ギャップを埋めるプログラムを実施している自治体もあります。住んでいる自治体でどんな取り組みがされているか、ホームページなどでぜひ調べてみてくださいね。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう