遊びながら身につけたい!アウトドアから学ぶ自然災害への備えと心構え

地震、ゲリラ豪雨、台風、洪水、竜巻など、自然災害が頻発している昨今。いつ我が身に起こらないとも限りません。赤ちゃんや幼児がいる家庭では、どんな備えをしたらいい? 親として日頃から心がけておきたいことは?

防災ファシリテーターのあんどうりすさんに教えていただきました。

あんどうりすさん

あんどうりすさん<br />

アウトドア流防災ファシリテーター。阪神・淡路大震災の被災経験とアウトドアの知識を活かし、2003年より全国で講演活動を展開。著作に「自然災害最新サバイバルBOOK」エイ出版社(共著)、「震災を生き延びる100の知恵」第7章 山と渓谷社など。http://andorisu.jimdo.com/

災害から家族を守る対策は
日常できることから始めよう

miku転載 自然災害への備えと心構え

大震災から数年が経ち、時間の経過とともに、防災の意識が薄れがちです。ただ、最近は、“想定外”の天候に見舞われることが増えているので、あらゆる災害に対する備えが必要です。まずはできることから、始めてみましょう。

内閣府では、巨大地震を想定して、「家庭での飲料水や食料の備蓄は最低3日分、できれば1週間分が望ましい」と呼びかけています。自宅が安全であれば避難しなくてもすみますから、自宅の耐震化、家具の固定を最優先に進めましょう。

備蓄も、長持ちする食品を多めに用意しておきましょう。

避難が必要なのは、自宅の倒壊や火事、津波といったケースです。いつどこで被災するかわからないので、日常使いの“マザースバック”を防災仕様にしておきましょう。子育てに役立つコンパクトなものと、防災に使うものを共用にすれば、カバンが重くなりません。

的確な判断と行動ができる知恵を身につける

防災グッズ

さまざまな防災グッズを用意しても、使用法を正しく理解していなければ意味がありません

例えば、防寒用シート(アルミ蒸着フィルム)は、体温の放射熱を利用して空気層に温かさを保つ原理。洋服が濡れた状態では、気化熱で体温が下がってしまいますから、シートを巻いても温かくなりません。

暑さ寒さの対策は、水と風と空気をコントロールするのがポイント。防寒用シートがなくても、「体に近いところに新聞紙を重ね(空気を蓄える)、一番外側に風を通さないビニールシートを持ってくる(風を防ぐ)」というように、その場にあるもので、空気と水と風対策をすれば対応できます。

自宅に防災グッズをそろえていても、いざという時、持っていなかったという事態もありえます。その時に役立つのは、知恵のある自分自身です。

台風情報を見て、「子どもは逃げるのに時間がかかるから、早めに行動しよう」、長く揺れる地震は海溝で起こるケースが多いため、「津波が起こりやすいから、早く避難を開始しよう」などと、知識があれば自分で判断し、適切に動くことができます。

日頃から天気図を見たり、災害の基礎的なことをインプットしておきましょう。親が学ぶ姿勢をみせると、子どもも一緒に学びたがり、自然と理科が好きになるかもしれません。

アウトドアを楽しみながらプチ防災体験!

川 遊び ライフジャケット 親子

親子一緒に自然の中で遊ぶことは、防災のプチ体験になり、同時に子どもの身体能力を高めます

海や川で遊ぶときに必須のライフジャケットの使い方、ひざより上に水がきたら簡単に流されやすいこと、沖に流される離岸流の場合は、「岸と水平に泳ぐ」という命を守る基本的スキルも教えられます

でこぼこの川原で歩くことで、体のバランスの取り方、岩ですべったときの体勢の立て直し方を、子どもは身をもって体験することができます。いざという時、自分の力が信じられることは、生きぬく強さにつながります。親子で外遊びを心がけましょう。

いざというときに役立つ!
テクニック&アイテム集

1. 布1枚でできる!抱っこ&おんぶの方法

もしも避難が必要になったら、子どもを抱っこするかおんぶするのがベスト。結び方の基本を覚えておけば、抱っこひもがなくても、カーテンやシーツをさいて使う応用ができます。子どもが動かないよう固定すると、軽くてラクちん。

miku転載 自然災害への備えと心構え 抱っこおんぶ方法1
布を半分に折って首にかけ、中央を背面の腰あたりまで垂らす


miku転載 自然災害への備えと心構え 抱っこおんぶ方法2
前に垂らした帯を胸の前で交差させ、背中の垂らした部分に両端を通す


miku転載 自然災害への備えと心構え 抱っこおんぶ方法3
端をお腹側へ回して軽く結んでおく


miku転載 自然災害への備えと心構え 抱っこおんぶ方法4
胸前の交差した布を広げて子どもを抱き入れ、布の重なる部分でお尻を支える状態にする


miku転載 自然災害への備えと心構え 抱っこおんぶ方法5
布を子どもの腰のあたりで結び直す
(しっかり固定すると軽く感じる)

2. 抱っこで試して!ものを軽く持つ方法

miku転載 自然災害への備えと心構え 軽く持つ方法

手を影絵のきつねの形にした状態で、子どもを抱き上げてみてください。腕の筋肉にかかる負担が軽減されるため、普通に抱き上げたときよりも軽く感じるはずですよ。重いものを持ち上げるときは、ぜひこの方法を試してくださいね。

3. 外出時は常に持ち歩こう!
命を守る必須アイテム

miku転載 自然災害への備えと心構え 常に携帯したいもの

マザーズバッグの中には、子どもに必要なものが入っていますよね。その中に、次のものを追加して、いつも持ち歩くようにしましょう。

① ホイッスル
大きな音で助けを呼ぶために。玉の入っていないタイプを選ぶこと。

② LEDライト
停電時の必須アイテム。LEDは電池の消耗が少なく、小型でも明るいのでおすすめ。

③ 携帯電話/スマートフォン
家族との連絡や情報を得るのに大事なアイテム。充電器や電池の準備も。

④ マルチツール
ミニカッター、爪切り、耳かき、ピンセットなどを収納。

\これもあると便利!/
miku転載 自然災害への備えと心構え 常に携帯したいもの2

両手があくLEDヘッドライトは、防災用の持ち出し袋に備えておくと安心です。また、コンパクトな防水バッグと携帯リュックもあると便利ですよ。

いざという時に役に立つ!
あんどうさんおすすめアプリ&サービス

災害時には、いち早く情報を得ることが大事。緊急地震速報など、災害発生の予報や警報を届けてくれるアプリは、ぜひスマートフォンに入れておきましょう。

アプリ
「Yahoo!防災速報」(Android/iPhone)
地震、豪雨予報、河川洪水、熱中症など、自然災害や防犯に関する情報がそろったアプリ。災害が起こる前に、地震・豪雨・津波などの情報をプッシュ通知でお知らせしてくれます。(無料)

「高台サーチ」(Android/iPhone)
津波避難のための高台をすぐに検索。沿岸部に住む方や、旅行で海や川に行く時などにあると便利です。(有料)

携帯電話
「緊急地震速報、緊急速報メール」
携帯電話で、気象庁が配信する地震速報などを受信できる無料サービス。あらかじめ受信設定をしておきましょう。

WEB
「地図上クリックで標高を調べる」
サイト上の地図をクリックすると、標高を簡単に調べることができます。
http://www.benricho.org/map_elevation_oneclick/

防災対策は必要な情報を集めることからはじめよう

何をどう備えるべきかわからないというママも多いはず。家の中の安全対策、災害時の行動、備蓄品や持出品の目安など、基本的な情報を得ることが第1ステップ。ウェブサイトやお住まいの自治体が発行する印刷物などで、情報を入手しましょう。

内閣府防災シミュレーター
http://www.bousai.go.jp/simulator/list.html
(各自治体の防災情報サイト一覧。お住まいの地域の情報をチェック!)

NHK for school 学ぼうBOSAI
http://www.nhk.or.jp/sougou/bosai/
(防災の基本を子ども向けの番組映像でわかりやすく解説)

竜巻から身を守る〜竜巻注意情報〜」
http://www.jma.go.jp/jma/kishou/books/tatsumaki
(竜巻発生時に出される情報や対策について詳しく説明)

出典:miku 37号 2016年夏号
絵本ナビ編集部
※掲載されている情報は2014年6月25日当時のものです。一部加筆修正をしています。

こそだてハックに「いいね!」して情報を受け取ろう