子どもが通う保育園や学校、ママ・パパの勤め先などで麻疹(はしか・ましん)が流行っていると心配になりますよね。もし麻疹にかかった人と接触したことがわかったらどのような対応をとったらいいのでしょうか。
そこで今回は、麻疹の症状や予防法、潜伏期間の長さ、感染力の強さなどについて紹介します。
麻疹ってどんな症状が出るの?潜伏期間は?
麻疹とは、麻疹ウイルスに感染することで引き起こされる病気です。空気感染や飛沫感染、接触感染と感染経路も様々で、非常に感染力が強いです。
麻疹ウイルスに感染すると、10〜12日程度の潜伏期間を経て、発熱や咳などの症状で発症します(※1)。
38℃前後の発熱が2〜4日続き、咳、くしゃみ、結膜の充血、めやに、一度解熱した時点でコプリック斑(口の中にできる白い斑点)などの症状があらわれます。
その後、39℃以上の高熱と、顔面や首、ときには手足にまで発疹が出現します(※1, 2)。麻疹にかかると全身の免疫力が落ちるため、肺炎や中耳炎、場合によっては脳炎といった重い合併症を引き起こすことがあります。特に、合併症は5歳未満の子どもで起こる確率が高いとされています(※1)。
合併症がなければ、発症して10日前後で回復に向かいます。麻疹に対する特別な治療法や特効薬はないため、かからないように予防することが大切です。
麻疹の予防方法って?
麻疹は空気感染するため、手洗いやマスクでは予防できません。有効な予防法は、ワクチンを接種して麻疹に対する免疫をつけることです。ワクチンを2回接種することで95%程度の人が免疫を獲得できます(※1)。
麻疹ワクチンは「定期接種」と定められているので、1回目は1歳〜2歳未満、2回目は5〜7歳未満(小学校入学前の1年)の期間であれば無料で受けられます。
生後6ヶ月以上であれば、費用は自己負担となりますが「任意接種」として接種ができます。
ただし0歳で麻疹ワクチンを接種しても、免疫が十分に獲得できない可能性があります。1歳になった時に必ず1回目の定期予防接種を受けるようにしてくださいね(※3)。
麻疹にかかりやすい人って?
麻疹ワクチンが現在のように2回接種となったのは平成12年4月2日以降になります。
平成12年4月1日以前に生まれている人は、ワクチンを1回のみしか接種していない、もしくは接種の機会自体がなかったため、十分な免疫を獲得できておらず、麻疹にかかる可能性があります(※1)。
また、1歳未満の赤ちゃんの場合、ママのお腹の中にいるときに貰った免疫の効果が徐々に失われていくため、麻疹に感染するおそれがあります。
麻疹が流行っているときは、なるべく外出は控えて人混みを避けるようにしましょう。
麻疹の感染力ってどれくらいなの?
麻疹は、免疫がない集団のなかに発症者が1人いたとすると、12~14人が感染すると言われています。インフルエンザなどの感染症よりも、はるかに感染力が強いのが特徴です(※2)。
発疹が出る数日前から他人に感染させるおそれがあります(※3)。発疹がかさぶたになると、感染力はなくなるとされています。
ただ、麻疹の発疹が起こる時期は人それぞれで、いつ発症するかはわかりません。免疫がない状態で感染者と接触したときは、発症する可能性と人にうつす可能性が高いことを踏まえて行動するようにしてくださいね。
麻疹は潜伏期間中に治せるの?
麻疹ウイルスの感染者と接触したことが明らかであった場合は、潜伏期間中に以下のいずれかの治療を行うことがあります。
麻疹にかかった人と接触して3日以内であれば麻疹ワクチンを接種、4日以上6日以内であれば免疫グロブリンと呼ばれる注射薬を投与することで、麻疹の発症を予防できる可能性があります(※4)。
ただし、どちらも100%予防できるわけではありません。もし、麻疹にかかった人と接触したことがわかったときは、まずはかかりつけの病院へ電話で確認するようにしてくださいね。
1歳になったら麻疹ワクチンを受けよう
麻疹は感染力が強く、重症化してしまう可能性があります。ワクチンを接種することで予防できるので、1歳を過ぎたら必ず受けるようにしてくださいね。
もし麻疹にかかっている人と接触したときは、早めにかかりつけの病院に電話で相談するようにしましょう。