麻疹(はしか)の潜伏期間は?長期休暇など、人が動く時期は特に注意!

監修医師 小児科 武井 智昭
武井 智昭 日本小児科学会専門医。2002年、慶応義塾大学医学部卒。神奈川県内の病院・クリニックで小児科医としての経験を積み、現在は神奈川県横浜市のなごみクリニックに院長として勤務。内科・小児科・アレルギー科を担... 監修記事一覧へ

子供が通う保育園や学校、ママ・パパの勤め先などで麻疹(はしか)が流行っていると心配ですよね。麻疹は感染力が強く、脳炎などの重い合併症にかかる場合もあります。まだ症状は出てないけれど、もしかしてすでに感染しているのでは、と不安になってしまうことでしょう。そこで今回は、麻疹の潜伏期間に着目し、その長さや潜伏期間中の感染力の強さなどについて紹介します。

麻疹とはどんな病気?

熱 日本人 子供

麻疹とは、麻疹ウイルスの感染が原因で引き起こされる病気です。感染力がとても強いうえに、空気感染や飛沫感染、接触感染と感染経路も様々で、厄介な病気と言えるでしょう。

潜伏期間について触れる前に、まず麻疹とはどんな病気かについて簡単にご紹介します。

麻疹にかかりやすい年齢は?

麻疹は、年齢性別を問わず感染します。しかしなかでも注意が必要なのは、平成2年4月2日より前に生まれている大人と、1歳未満の赤ちゃんです。

平成2年4月2日以降に生まれた人は、麻疹の定期接種が2回行われているものの、それ以前は1回接種となっていたため、免疫が十分に備わっていない場合があります(※2)。

また現在の定期接種は1歳以降で受けることが定められているため、1歳未満の赤ちゃんは麻疹の免疫を持っていないことがほとんどです。

なお、妊娠中に麻疹ウイルスに感染すると、早産や自然流産、低体重児出産のリスクが高まるとされています。麻疹は健康な妊娠と出産のために注意すべき感染症の一つです(※1)。

麻疹の症状と治療法は?

麻疹にかかると、まず、38℃程度の熱や咳、くしゃみが出始めます。熱が2~4日ほど続いた後に一度解熱しますが、すぐに39℃以上の高熱と一緒に発疹が出ます。発疹が出る前後1~2日間に、口のなかの頬の裏側あたりに小さな白い斑点(コップリック班)が現れることもあります(※3)。

麻疹で注意が必要なのは合併症です。

麻疹にかかると全身の免疫力が落ちるため、肺炎や中耳炎、場合によっては脳炎といった重い病気を引き起こすことがあります。合併症は、5歳未満の子供と成人で起こる確率が高いとされています(※1)。

またごく稀にですが、麻疹にかかってから7~10年後に成績低下にはじまり、知能障害、運動障害が徐々に進行し、その後平均6~9ヶ月で死に至る亜急性硬化性全脳炎を発症することがあります(※3)。

麻疹は合併症がなければ7~10日で回復します。麻疹に対する特別な治療法はなく、熱や頭痛を和らげる対症療法が中心となります(※3)。

ただし麻疹の症状が治まったあとも免疫力の回復には1ヶ月以上かかるので、その間は他の感染症にかからないように気をつけなければなりません。

麻疹の予防法は?

麻疹は空気感染するため、手洗いやマスクでは予防ができません。有効な予防法はワクチン接種によって麻疹に対する免疫をつけることです。そのため、麻疹は予防接種法の対象疾患に定められており、市区町村が2回の予防接種を実施しています。

麻疹の定期予防接種は、1回目が生後12ヶ月以上24ヶ月未満、2回目が5歳以上7歳未満(小学校入学前の1年間)です(※3)。子供がこの時期になったら、必ず予防接種を受けさせましょう。

もし何らかの理由で定期予防接種を受けていなかったとしても、麻疹ワクチンは接種できます。ただし費用は自己負担となります(※5)。

0歳の赤ちゃんは、生後6ヶ月以上1歳未満であれば、麻疹流行時の緊急避難的な場合に限り、接種が可能です。ただし0歳で麻疹ワクチンを接種しても、1歳になった時に必ず1回目の定期予防接種を受けてください(※5)。

これは、0歳での接種は免疫が十分に獲得できず、そのまま2回目の定期予防接種までワクチン接種をせずにいると、途中で麻疹にかかってしまう可能性があるからです。

麻疹の潜伏期間は何日くらい?

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麻疹ウイルスに感染してから麻疹の症状が出始めるまでの潜伏期間は、多くの場合10~12日で、7~14日の場合もあります(※1)。麻疹の免疫を全く持たない人が麻疹ウイルスに感染すると、ほとんどの人が潜伏期間を経た後に発症します。

なお、ワクチンを1回しか接種していない子供など、麻疹に対する免疫が不十分な人が感染すると、潜伏期間が14日以上に延びることがあります(※4)。

麻疹の潜伏期間中の感染力は?

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麻疹は、免疫がない集団のなかに発症者が1人いたとすると、12~14人が感染すると言われています。インフルエンザなどの感染症よりも、はるかに感染力が強いのが特徴です(※3)。

ただし潜伏期間中に他人にうつすことはあまりなく、感染力があるのは症状が出る1日前(発疹が出る3~5日前)からです(※3)。

そうはいっても、潜伏期間は人それぞれで、いつ発症するかはわかりません。感染者と接触したなどで感染が疑われる場合は、発症する可能性と人にうつす可能性が高いことを踏まえて行動する必要があります。

麻疹は潜伏期間中に治せる?

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麻疹ウイルスの感染者と接触したことが明らかであった場合は、潜伏期間中に治療を行うことで麻疹の発症を抑えられるかもしれません。それには二つの方法があります。

一つ目の方法は、麻疹患者と接触後72時間以内にワクチンを接種することです(※4)。これにより、発症を防げる可能性があります。

またもう一つの方法は、感染後6日以内に「人免疫グロブリン」と呼ばれる薬を注射することです。この注射により一時的に免疫をつくり、麻疹の予防や症状を軽くできる可能性があります。

ただし、注射後5ヶ月でこの効果は消えてしまうので、効果消失後にワクチンを接種するのが望ましいとされています(※1)。

子供の保育園や学校、ママやパパの勤め先で麻疹が発生した場合、症状が出ていなくても、かかりつけ医に相談するのが良いでしょう。

麻疹は潜伏期間中の対応が大事!

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ひと昔前まで、麻疹は「誰でも一度はかかる病気」「子供のありふれた病気」などと思われていたものの、ワクチンの高い接種率により流行することは少なくなっています。

とはいえ、「麻疹にかかることはない」と安心してはいけません。麻疹は感染力が強く、症状も重くなってしまう可能性がある、注意すべき病気です。今後は、海外から持ち込まれて流行するパターンが増加すると考えられています。

ただし、もし麻疹の患者と接触したことが明らかであった場合は、潜伏期間中に発症を防いだり、症状を軽くするための対策を取ったりすることもできます。

もし、子供が通う学校で麻疹が流行していたり、家族に麻疹患者がいるのにまだ予防接種を受けていないという人がいたりしたら、できるだけ早く医師に相談してください。

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