今年5月、民法などの改正案で、離婚後に父と母双方に親権を認める「共同親権」の導入が決まりました(※1)。
今回は、共同親権とはなにか簡単に紹介します。
共同親権とは?

共同親権とは、父と母の双方が子どもの親権をもつ制度です。
日本では、子どもの父母が結婚している間は原則として共同親権、離婚した場合は単独親権でした。
しかし今回の法改正により、離婚後は単独親権か共同親権かを父母の協議によって選択できるようになります。
共同親権に関する法改正は、2026年5月下旬までに施行される予定です。
共同親権と単独親権の違いは?

そもそも親権とは、「子どもの近くにいて、子どもの世話や教育、子どもの財産を管理するために父母に認められる権利と義務」です(※2)。
単独親権
単独親権は、父母のいずれかのみが親権をもつことです。
一般的に親権者となったほうの親にのみ、子どもと一緒に生活したり、教育方針を決定したりする権利があるということです(※2)。
現在、離婚後は父と母のどちらか一方しか子どもの親権を持つことができない「単独親権」が採用されています。
共同親権
共同親権は、父母双方が親権をもつことです。
今回の法改正による共同親権の導入で、離婚後は父・母の協議により、単独親権か共同親権か選択できるようになります(※3)。
合意に至らなかった場合は、単独親権か共同親権かを家庭裁判所が決定します。
共同親権の良い点と問題点

これまでは、離婚時に親権をめぐって争いになるケースが少なくありませんでした。
共同親権が施行されることで、以下のような良い点がありますが、問題点もあります。
共同親権の良い点
● 離婚後も両親で協力して子育てできる
● 面会交流や養育費の支払いがスムーズになりやすい
離婚後、共同親権を選択できるようになることで、親権に伴う争いを回避できることが期待されています。
離れて暮らすことになっても親子の関わりが保ちやすく、面会交流の機会が継続・養育費の支払い遅延の改善も考えられます。
共同親権の問題点
● 親権者の連携不足や方針の相違が子どもの負担につながる
共同親権が導入されたとしても、DVや虐待のおそれがある場合は、単独親権にしなければならないとされています。
しかし、DVや虐待の証明が難しいことも多く、仮に家庭裁判所が関与せず共同親権がスタートした場合に児童虐待やDVが継続する可能性もあります。
また、共同親権を選択しても父母の関係が良好ではない場合、考え方や意見の違う両親と関わるなかで、子どもに精神的な負担が生まれることも。
今後の情報をチェックしよう!
今回のご紹介した内容は、あくまで現在わかっていることです。まだ検討中の事項もあるので、今後の動きもチェックしておきましょう。