TBSポッドキャスト「ベビーのいる生活~迷える子育て応援Podcast~」の中で行われた、育児休業を取得した先輩パパたちの座談会。。
「男性の育児休業」について語った前回に引き続き、今回は「育児中のパパが感じた孤独」について話した部分を抜粋してお届けします。
▼前回の記事はこちら
モデレータ
川島葵さん
4歳・1歳の2人の子どものママ。上智大学卒業後、アナウンサーとして東海ラジオ放送に入社。2012年に結婚を機にフリーアナウンサーとして活躍中。
座談会の参加者

TBSラジオ 記者
澤田 大樹さん
9歳・7歳・5歳の3人の子どものパパ。3回とも約1ヵ月の育児休業を取得。同社の男性で育児休業を取得したのは澤田さんが初。

ビジネス映像メディア『PIVOT』プロデューサー
国山 ハセンさん
1歳の子どものパパ。里帰り出産からママと赤ちゃんが帰ってきた生後2ヶ月の時点から、約3週間の育休を取得。元TBSアナウンサー。

『パパninaru』プロダクトオーナー
三木 悠輝さん
生後7ヶ月の子どものパパ。赤ちゃんが生まれた日から6ヶ月間の育休を取得。
職場復帰で不安は感じた?


川島さん
それぞれ皆さん育休を取られた期間に違いはあると思うんですが、その後仕事に復帰する際の不安みたいなものはあったんでしょうか?
私の場合は、当時TBSで担当していたレギュラー番組に育休後にまた戻れるという約束があったので、キャリアの不安はなかったです。ただそれを意識して、育休の期間を短くしてしまった面はありました。ただ戻ってから現場の雰囲気にネガティブな要素があったかというと、全くなく。むしろ「どうだった?」と聞かれたり、私から番組で発信する機会ももらえたので、結果的には取得して良かったと思います。

ハセンさん

川島さん
澤田さんはどうですか?

澤田さん
「子どもが生まれたら絶対に育休取る!」と強い意志で取得したので、不安はなかったですね。むしろ私の場合は、仕事上プラスになったことも多かったです。国会担当の記者なので、子どもを国会の中の保育園に連れて行っていたんです。登園風景を見た男性議員からはもちろん、女性議員や他社の女性記者からも話しかけられる機会が増えました。一般的な男性記者は飲み会で取材することも多いんですが、私はほぼ行かなくなったので記者としてのスキルは落ちていると思います。でも、私のなかではいい選択ができたと思います。

川島さん
おもしろいですね!仕事に対する考え方に変化はありました?

澤田さん
仕事を休むことを「しょうがない」と思えるようになりましたね。私の場合、3人子どもがいるので、病気の家庭内感染も多いんです。先日はインフルエンザで1週間仕事を休むことになってしまったんですが、それはもうしょうがないなと。
私も仕事を休むことへの抵抗感が薄くなったと思います。仕事も大好きですが、優先順位が変わったというか。私は今キャリアチェンジして、自分でスケジュールをコントロールしやすくなったので、家族の時間をちゃんと取れるように管理しています。3日連続で家族と夜過ごせないとなると、妻の負担が大きくなってしまうことは、育休を通じてわかっているので。

ハセンさん

川島さん
三木さんはどうでしょうか?
はい。仕事に使える時間が短くなったとすごく感じています。これまでは朝や夜の時間に仕事に関する本などを読んでいましたが、今ではそれも難しくなりました。18時に仕事から帰宅して、家事や育児をしていると、気づけば夜も深い時間になっていて。でも、子どもとの生活や家庭のことを考えたら、これはこれで幸せな生活を送れているのかもと思えています。

三木さん

川島さん
ハセンさんも大きくうなずいていらっしゃいますが。
すごくわかります。ドラマを2話以上連続で見ることはできなくなりましたよね(笑)。

ハセンさん
育休中に感じた「パパの孤独」

川島さん
育休中、「もっとこうしたら良かった」「これが難しかった」と思うことなどありますか?

澤田さん
お互いのストレス発散ですかね。今思えば妻が1人になれる時間を作ってあげれば良かったと思います。でもこれが思いのほか難しくて。妻に「子どもたち見ておくから1人で買い物行ってきていいよ」と提案したこともあったんですが、妻からしてみれば子どもたちのお世話を任せることは、それはそれで不安があって別のストレスになるみたいで…

川島さん
三木さんもハセンさんも深くうなずいていますが(笑)。

そうですね。僕も妻にストレス解消になると思って、美容院に行くことを勧めたりもしたんです。でも、今考えると、僕もストレスが溜まっていたんだと思います。もっと自分から自分だけの時間を作っておけば良かったと今は思いますね。

三木さん

川島さん
そうなんですね。
そんな心理状態をもっと深く知っておきたかったですよね。妊婦さん向けの育児学級みたいなものはたくさん開催されているので、そこでママ同士は友達を作ったり、講師にいろいろ教えてもらったり、情報交換もできますよね。でもパパ向けって全然ないんですよ。赤ちゃんが生まれてからのコミュニティも全然ない。だから、行政などがそういう場を提供してくれるとありがたいですよね。産後1年間で「メンタル不調のリスクあり」と判断されるパパは10人に1人以上もいるので(※1)。

三木さん

川島さん
ああ、なるほど。そういう「パパの孤独感」のようなものを赤ちゃんが生まれた後に感じることはありますか?
はい、私はすごくありますね。もちろん妻と話したり、SNSのパパアカウントと繋がることはできます。でも、同じ境遇でもっと身近な人と育児や家庭のもやもやを分かち合えたりしたら、ストレスも感じにくいのかなと。

三木さん

川島さん
赤ちゃんが生まれた後のパパ同士が繋がれたり、コミュニケーションを取ることができる場所って、少ないんですか?
ないですね。

三木さん
ないですよね。でも男性って育児トークするの、ちょっと抵抗感ありませんか?

ハセンさん

澤田さん
確かに。最近WebのCMになったくらいですからね。

澤田さん
公民館の子どもが遊べる場所に平日に行ったら、パパは私だけで不思議な空気になりましたね(笑)。そこにいたママたちにもなんだか話しかけづらくて。やっぱりパパたちが集まれる場があるといいですよね。


川島さん
パパも孤独感を感じているというのは、ママの立場の私からすると意外でした。
最近、「間違った男らしさ」という言葉があることを知ったんですが、「我慢することが美学」みたいな考えを男性は無意識に持ちがちなのかもしれません。

三木さん
そうですね。パートナーに伝えても、「私は私で大変な思いをして、今があるんだ」と言われたら、何も言えなくなりそうですし。その通りなので。

ハセンさん

澤田さん
だからこそ、パパたちが悩みを打ち明けられる場があるといいですよね。ただ、ストレスの原因が何かというのは、自分では気づきにくかったりするので難しい部分もある…。
そうなんですよね。でも同じ境遇の人や先輩パパと話したり、体験談を聞くことで原因がわかる場合もあるので、気軽にアクセスできてパパたちが集まれる、そういう場が本当に欲しいですね。

三木さん
先輩パパたちの座談会、いかがでしたか?この「ベビーのいる生活~迷える子育て応援Podcast~」はTBSポッドキャストで、毎週月曜午前10時配信しています。
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