「怒りすぎ」への後悔をなくすために。感情を整えるアンガーマネジメント:後編

子どもやパートナーに対して、忙しさやストレスでついカッとなってしまい、怒ったあとに自分を責めて落ち込んでしまうことはありませんか?

前編では「怒りのピークを乗り越える5つの方法」について紹介しました。今回は、怒りっぽい体質を変える方法について、日本アンガーマネジメント協会理事の戸田久実先生に伺いました。

▼前編はこちらから

「怒りすぎ」への後悔をなくすために。感情を整えるアンガーマネジメント:前編

「怒りすぎ」への後悔をなくすために。感情を整えるアンガーマネジメント:前編


戸田久実先生

戸田久実先生

日本アンガーマネジメント協会理事、アドット・コミュニケーション株式会社代表取締役。アンガーマネジメントをはじめ、伝わるコミュニケーションをテーマに講演・研修を多数行う。著書に『「つい怒ってしまう」がなくなる子育てのアンガーマネジメント』(青春出版社)がある。

怒りにくい体質にする3つの方法とは?

ノート 鉛筆 書く 女性

「怒りにくい自分」に“体質改善”する方法は、以下の3つです。

  1. 怒りを記録する
  2. 「○○べき」を洗い出す
  3. 「良かった」と感じることを書き出す

下記を参照に、自分なりの方法でできることから始めてみましょう。

1:怒りを記録する

怒りを感じたら、直後、もしくはその日のうちにノートや手帳にそのときの出来事、思ったこと、怒りの強さなどを書き出してみましょう。

怒りと冷静に向き合うことができ、自分はどんなことに怒りを感じやすいかがわかってきます。

2:「○○べき」を洗い出してみる

「遊んだオモチャは片づけるべき」「朝は自分で起きるべき」「子どもは9時までに寝るべき」…など、あなた自身の価値観=「べき」を書き出し、それぞれの重要度を1から10までの数字で表してみましょう。

どんなことに、どれくらい怒りを感じやすいかが客観的にわかります。

3:「良かった」と感じることを書き出す

「天気が良くて気分がよかった」「パートナーがお茶を入れてくれた」「お気に入りの靴を買えた」など、「よかった!」「幸せ!」と感じたことをノートや手帳に書き続けましょう。

日々の当たり前のことに幸せを感じるようになり、イラッとすることが減ります。

怒りでカッとなったら
「べき」の境界線を意識!

パパ 男性 イライラ

怒りとうまく向き合うために、もうひとつ心がけておきたいことは、「怒ること」と「怒らないこと」の境界線を決めておくことです。

たとえば「遊び終わったオモチャはすぐに片づけてほしい」とパパが思っていて、すぐに片づけないという場合。

自分の機嫌がいいときは、子どもが遊んだまま散らかしっぱなしにしたオモチャを「しょうがないな」と笑顔で片づけるのに、機嫌が悪いときは「全くもう!いつもオモチャ出しっぱなしなんだから!」などとどなりつけたりしていませんか?

相手がした“同じ行動”(この場合は「オモチャをすぐに片づけないこと」)に対して、そのときの気分で怒ったり怒らなかったりすると、自分が本当に子どもにして欲しいこと(この場合は「遊んだオモチャはすぐに片づけてほしいこと」)が伝わらなくなってしまいます。

気分によって怒ったり怒らなかったりを改善するためには、「遊んだオモチャはすぐに片づけるべき」といった自分の価値観=「べき」を、下記のイラストのような三重丸に当てはめて考えてみることをおすすめします。


アンガーマネジメント

許容ゾーンをひろげ、自分の中で「『いっしょに片づけよう』と言えば片づけるならOKにしよう」などという基準ができると頭の中が整理され、“いつもガミガミ”から解放されるのではないでしょうか。

叱るときは、「こら!」「何やってるの!」などと感情をあらわにするのでなく、「玄関で脱いだ靴はすぐにそろえようね」など、相手にどうしてほしいかを具体的に伝えましょう。

「きみが約束を守ってくれなくて、パパは悲しいな」「パパはこう思うよ」など、自分の感情を素直に伝えることも大切です。

「怒り」は自然な感情です。ついカッとなってしまって「またやっちゃった……」と、自分を責めるのでなく、怒りの感情と上手に向き合いながら言葉のキャッチボールを重ね、家族の絆を深めていきましょう。

イラスト/犬塚円香 取材・文/長島ともこ
出典:miku 51号 2018年春号
※掲載されている情報は2018年3月25日当時のものです。一部加筆修正しています。
絵本ナビ編集部

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