SNSやメディアなどで目にする機会が増えてきた「HSC」。子どものことだとはなんとなくわかっていても、内容や特徴について正しく理解している人は少ないのではないでしょうか。
そこで今回は、「HSC」の概念や「HSC」の子どもの特徴について詳しく紹介します。
「HSC」ってなに?
「HSC」はHighly Sensitive Childの略で、「ひといちばい敏感な子ども」という意味です。アメリカの心理学者であるエレイン・N・アーロン博士が提唱した概念です。
「HSC」の子どもは豊かな感性をもち、人の気持ちを思いやるやさしさがある一方で、ちょっとした刺激に大きな影響を受けやすく、集団の中にいると疲れやすいといった面があります。
5人に1人の子どもが「HSC」と言われていて、一般的に以下のような行動が見られることがあります。
・保育園、幼稚園、小学校への行き渋り
・登校拒否
・落ち込みやすい
・偏食または食に興味がなく食べない
・挨拶ができない
・こだわりが強い など
「上記のような行動=HSC」ではなく、さまざまな要素が重なったうえで見られる行動の一例として捉えてください。
内向的でおとなしい子どもが大部分を占めるなか、好奇心が強く新しい場所に行きたがったり、初めての出来事を楽しんだりする、外交的なタイプも約30%います(※1)。
「HSC」は病気ではなく気質(性格・個性)
「HSC」は病気や障がいと混同されやすいですが、生まれ持った気質(性格・個性)です(※1)。育て方でなるものでもありません。
病気ではないため専門医はおらず、確定診断や通院の必要も基本的にはありません。「HSC」の知識を増やし、子どもの個性を理解したうえで、接し方や環境を考えてあげることが大切です。
「HSC」の研究をしている専門家の話を聞いたり、数々ある本や信頼できるWebサイトからの情報収集は可能です。また、同じような子どもを持つ親との交流などもあります。
「HSC」の子どもは、大人になると敏感さが目立たなくなることもありますが、敏感な性質は基本的に変わりません。大人のひといちばい敏感な人を、「HSP」Highly Sensitive Personといいます。
「HSC」にみられる4つの特徴
「HSC」の子どもには、以下の4つの特徴があります(※2)。ひとつひとつ見てみましょう。
1. 深く考えて処理する
・人の気持ちを敏感に察知し周囲の空気を読む
・行動するのに時間がかかることがある など
先々のことに考えを巡らせて慎重になりやすいのが特徴です。例えば、買い物ではあらゆる可能性を考えて選ぶことに長い時間を要したり、初めての場所では行動を起こすまでに時間がかかったりします。
2. 過剰に刺激を受けやすく疲れやすい
・痛みを感じやすい
・大きな音やにおいにが苦手で反応しやすい
・ぬれた服やチクチクした肌触りの服が苦手 など
楽しいイベントでもすぐに疲れたり、興奮しすぎて眠れなくなったりします。また、発表会などで人の注目を浴びて疲れ、普段の力を発揮できないこともあります。
3. 感情の反応が大きく共感力が強い
・人の気持ちがよくわかる
・ささいな間違いに強く反応する
・つらいことに心を痛めやすい
・残酷なことが苦手
・不公平が許せない など
楽しそうにしていない子や怒られている子を見かけると、自分のことではないのにつらくなってしまう傾向にあります。逆に幸せそうな写真を見たりすると幸せを感じ取る力もあります。
4. ちょっとした変化や刺激に気づきやすい
・家具の配置の変化、あったものがなくなったことに気づく
・人の髪型や服装の変化に気づく
・人が自分に対して笑ったことやちょっとした励ましに気づく など
他人の機嫌を瞬時に察することができたり、匂いやかすかな音に気づけたりするなど、変化や刺激を感知するセンサーがとても精巧です。体内の刺激や変化にも敏感で、薬を飲んだときなどに作用をいち早く感じ取り「薬が効きやすい」という子もいるようです。
子どもの特性を理解して寄り添おう
「HSC」は敏感さをフォーカスされがちですが、笑顔や親切、楽しい、美しいなど、ポジティブなこともキャッチして幸せを噛みしめられる、素晴らしい面があります。そんな「HSC」の特性を理解して子どもの個性に寄り添いたいですね。