小学生になると海や川、プールなど外で泳ぐ機会が増えます。しかし一方、水と触れ合うことは危険も伴います。
溺水は5~9歳の子どもの不慮の事故による死因の第2位(※1)。水と触れ合う最中は、決して気を抜いてはいけないのです。
そこで今回は、溺水が起きないようにするために知っておいて欲しいことをご紹介します。
溺水事故はどこでどれくらい起きているの?
2015〜2019年の5年間で、5〜9歳の子どもの溺水による死亡事故は104件です(※1)。
溺水による死亡事故の発生場所は以下のとおりです。
● 川や海などの自然水域 55件
● 浴槽 23件
● プール 5件
● その他 21件
水が鼻や口を覆う状況であれば、水かさが少なくても溺れることがあることを覚えておきましょう。
一人でお風呂に入るようになってからも、普段よりも静かだったり、入浴時間が長かったりする場合は、声をかけてみるようにしましょう。
溺水の原因と対処法は?
溺水の原因は大きく分けて6つです。対処法についても確認しておきましょう。
パニック状態になる
● パニック状態になる原因は?
子どもは、鼻や口に水が入るとパニック状態になりやすいです。あわてて大きく息を吸ったときに、更に肺や気管支に水が入って呼吸ができなくなることで溺れてしまいます。
● パニック状態にならないための対処法は?
水上で吸気する方法を覚えさせ、慣れるまでは足が届かない場所で泳がせないようにしてくださいね。「慢心」も溺水の原因となりやすいので注意しましょう。
こむらがえり
● こむらがえりが起こる原因は?
こむらがえりが起こると、足が付かないプールや自然環境では筋肉を伸ばせないためそのまま溺れてしまうことも。
● こむらがえりが起きないための対処法は?
泳ぐ前には必ずウォーミングアップをさせましょう。また、こむらがえりは脱水や電解質のバランスが崩れることで起きやすいです。イオン飲料やスポーツ飲料などで十分な水分と電解質補給をさせてくださいね。
潜水前に大きく息を吸っている
● 潜水前の大きな呼吸が悪い理由は?
潜水前に大きな呼吸を繰り返していると「息が苦しい」という感覚がおきず、そのまま酸素濃度が低下して意識が遠くなり溺水します。
● 潜水時の溺水を防ぐ方法は?
無理な潜水は絶対にさせないようにしましょう。「何度も大きく息を吸って潜ると溺れることがあって危ない」と教えてあげてくださいね。
急に冷たい水に浸かっている
● 急に冷たい水に浸かるのが悪い理由は?
急に冷たい水に浸かると迷走神経反射により、血圧と脈拍が低下して判断機能や身体機能が低下するため、意識を失い溺水しやすい状態になります。
● 冷たい水に浸かる前にすることは?
まずは水を浴びて、温度に慣れてから入水させるようにしましょう。
体調不良・基礎疾患がある
● 体調不良・基礎疾患があるとどうなる?
体調不良や、喘息・てんかんなどの持病がある場合、溺水する危険性が高まると言われています。
● 何をしておけば安心?
無理して泳がせないようにしましょう。基礎疾患がある場合は、事前に医師に相談しておくことが大切です。
川や海などの自然環境に慣れていない
● どうして川や海で溺れるの?
急に深くなってパニックになったり、低水温によって動けなくなったり、岸から離れてしまって溺水することも。
● 川や海で事故にあわないためには?
子どもは成長とともに「自分ならできるだろう」と過信しがち。小学校低学年のときは、川は海では絶対に子どもから目を離さないでください。
「プールとは違って水の流れがあり、深さも急に変わることがある」ということを伝え、必ずライフジャケットをつけさせるようにしましょう。
もし流された場合は、背中を下にして顔だけ水面に出した状態で救助を待つように教えてあげてくださいね。
もし溺れたら、どう対処すべき?
短時間の溺水で、子どもの呼吸や顔色が正常であれば、受診は不要な場合が多いです。ただ、以下のような応急処置の手順や救急車を呼ぶ目安などについても確認しておいてくださいね。
溺れたときに行うこと
②反応と呼吸がなければ、直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を開始
③周りの人に助けを求め、119番通報して救急車を呼ぶ
誰もいない場合にはまず胸骨圧迫と人工呼吸を2分間程度行ってから119番へ連絡しましょう。無理に水を吐かせるより、以下のような方法で胸骨圧迫を行う方が大切です。
救急車を呼ぶ目安は?
・呼吸がない、呼吸がおかしい
・意識がない、呼びかけに反応しない
・顔色が悪くぐったりとしている
上記の場合は、躊躇せずに速やかに救急車を呼びましょう。
受診をする目安は?
・大量の水を飲んでしまった
上記のような状態の場合は受診をしましょう。
溺水の危険性を知っておこう
溺水がどこでなぜ起きやすいのかを知って、子どもに教えてあげましょう。万が一子どもが溺れてしまったときにも、速やかに対処できるようになれるといいですね。