豊かな心を育む「基本的信頼感」とは?親子の信頼関係を築く3つのコツ

監修専門家 臨床心理士 帆足 暁子
帆足 暁子 公認心理師、臨床心理士、保育士資格、幼稚園教諭一種免許を取得。専門は乳幼児発達臨床心理学、保育臨床、子育て相談、子どものメンタルヘルス。ほあしこどもクリニック副院長として、約20年間子育て相談やこころ... 監修記事一覧へ

赤ちゃんの体の発達だけではなく、心の成長も促してあげたいと思っている人は多いのではないでしょうか。

心の発達には、0歳の頃の親子関係が大きく影響すると言われています。そこで今回は、0歳の赤ちゃんとの関わり方で大切なことをご紹介します。

「親子の信頼関係」が赤ちゃんの心を育てる

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子どもの心の基礎として最も大切なのは、「自分を取り巻く社会・周りの人を信頼し、自分自身を信頼できる」という確信です。

これは「基本的信頼感」と呼ばれ、親子の信頼関係を築いていくなかで培われていきます。他者を信頼するためには、まずは「親」を信頼できることが必要です。

毎日のお世話でママやパパに不快を取り除いてもらい、安心感を得ることを繰り返していくなかで、赤ちゃんは「自分は絶対に愛される存在である」という自信を獲得し、基本的信頼感を育んでいきます。

なおこの場合における「親」は、ママでもパパでも、祖父母でも保育園の先生でも構いません。常にお世話をしてくれる人であることが重要です。

0歳の親子関係が心の成長を左右する

親子 赤ちゃん 笑顔

基本的信頼感を獲得するのは、0歳〜1歳半の乳児期とされています。

基本的信頼感は豊かな心の原点であり土台となる部分なので、きちんと確立できているかどうかがその後の心の発達にも影響すると言われています。

「自分は絶対に愛される存在である」という自信は、将来育まれていく自己肯定感の基礎になり、自立する力を促します。

なにかあっても絶対に守ってくれる人がいる、泣いたらママやパパが自分の気持ちを受け止めてくれる、という基本的信頼感があるからこそ、子どもは外の世界に挑戦していけるようになります。

つまり赤ちゃんの心の成長には、0〜1歳半の時期の親子関係がとても大切なのです。

0歳のママがやるべき3つのこと

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では赤ちゃんと信頼関係を築くためには、ママはどのように接したらよいのでしょうか?

ここからは、ママが0歳の赤ちゃんと関わるときに大切にしてほしい3つのことをご紹介します。

①赤ちゃんの欲求や要求に対して敏感に対応する

0歳の赤ちゃんが泣く理由の多くは「お腹が空いた・眠い・おむつを替えてほしい」などの生理的な欲求です。そうした欲求に気づいたら、できるだけすぐに対応してあげてください。

不安になって泣いたり、ぐずったりしているときは、優しく抱きしめてなだめてあげましょう。

指さしや喃語でママになにかを伝えようとしていることもあるので、赤ちゃんの様子を気にかけてあげてください。

②心地よいスキンシップをする

大好きなママに優しく触られたり、抱っこされたりすると、愛情ホルモンや幸せホルモンとも呼ばれる「オキシトシン」が赤ちゃんの脳内で分泌され、赤ちゃんは心地よい気分になり安心感を得られます。

まだ言葉は分からなくても、ママからの愛情を受け取っているのです。

ただ、ママにゆとりがなくて心地よいスキンシップが難しい時は、無理をしなくて大丈夫ですよ。

③赤ちゃんとのやりとりを楽しむ

0歳の赤ちゃんとの関わりでは、赤ちゃんが何かをしたらそれにママが反応してあげることが大切です。

赤ちゃんが笑いかけたらママも笑い返す、「あー・うー」など喃語を話したら「これで遊びたいの?」など会話をしてあげる、お散歩をしながら「楽しいね」「お花がきれいだね」など声かけをしてみてあげてください。

そのときに大切なのが、「ママも」楽しみながらすること。「やらなきゃいけない」という気持ちでいると声も表情も硬くなり、赤ちゃんは不安になってしまうので、ママが楽しくできる範囲で取り組んでくださいね。

自己肯定感は0歳で決まってしまうの?

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自己肯定感とは、「自分はかけがえのない存在だ」という、いわゆる自尊感情のこと。自己肯定感が高いと、困難にぶつかっても前向きに解決していけると言われています。

自己肯定感の基本は、自分で自分の価値や存在意義を肯定できること。そのためには「どんな自分であっても愛してくれる人がいる」という基本的信頼感が必要になります。

ただし自己肯定感は、幼児期〜青年期にかけての他者との関わりも大きく関係してきます。

0歳の時点で自己肯定感の高い・低いが決まってしまうわけではありません。

0歳の赤ちゃんにやらないでほしい2つのこと

新生児 赤ちゃん 泣く

赤ちゃんと常に向き合い続けるのは大変だと思いますが、なるべく次の2つだけはやらないようにしましょう。

①泣いて近づいてきた赤ちゃんを嫌がる、否定的な反応をする
②毎日のお世話で気まぐれな対応をする

この2つの対応をされた赤ちゃんはママを信頼することが難しく、その後の対人関係にも影響すると言われています。

赤ちゃんを怒鳴ってしまったり、気分によって赤ちゃんへの態度が変わってしまったりする場合は、ママの心がいっぱいいっぱいなのかもしれません。

そんなときは、周りを頼って少し休んでくださいね。

0歳は赤ちゃんに寄り添って過ごそう

子どもの心の発達や性格は、赤ちゃんが生まれ持った個性も関係するため、ママやパパの対応だけが全てを決めるわけではありません。

ただ0歳の頃の親子の関わりが与える影響は大きいとも言われているので、0歳のうちはできる範囲で赤ちゃんに寄り添い、たくさん愛情を伝えてあげてくださいね。

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