子どもは毎日さまざまなことを吸収してどんどん成長します。その育ちの変化に合わせて、その時期にぴったりのおもちゃ遊びが手軽にできるのが手作りおもちゃ。
今回は、クリエイターの佐藤蕗さんに、実際に息子さんの成長を見守りながら作ってきたおもちゃ遊びを教えてもらいました。家遊びも外遊びも、子どもの想像力が加わって、無限に広がりますよ。
佐藤蕗さん
1982年愛知県生まれ、一児の母。多摩美術大学卒業後 店舗設計会社、建築設計事務所勤務を経て、第一子出産を機にフリーランスに。育児をしながら作っていたおもちゃが反響を呼び、デザイナー、イラストレーターの活動のかたわら、造形作家として、雑誌、web、テレビで活躍中。著書に『親子で笑顔になれる魔法の手作りおもちゃレシピ』(宝島社)。
発達や興味に合わせて与えられる
手作りおもちゃ
「子どもを観察することからおもちゃ作りが始まる」という佐藤蕗さん。観察をすることで、子どもの成長や発達に合わせた手作りのおもちゃができるとおっしゃいます。
さらに、子どもが興味や関心を持っている題材をおもちゃのアイディアに盛り込むこともできるので、身近なものを使った簡単なものでも、子どもはぐんぐんとそのおもちゃに惹かれ、夢中で遊びだします。
「私自身、子育てをしながら自分の作ったおもちゃに何度となく救われてきました。身近なもので子どもが笑顔になってくれたら、毎日の生活がちょっとハッピーになりますよね」。
今回教えてくださったおもちゃレシピも、折り紙や画用紙など手軽に入手できるものや、トイレットペーパー、紙コップといった生活の中にあるものを使った、簡単に作れるものばかりですよ。
実際に親子でおもちゃ作りをしてみました!
今回、3組の読者たちが「おもちゃ作り隊」として集まってくれました。たくさんあるおもちゃレシピのなかから、それぞれ子どもが興味のある題材を選んでもらい、親子に分かれて作ってみました。
さて、どんなおもちゃができるかな?
「私はお魚おもちゃがいい」「僕は虫!」と、さっそく作りたいものを選ぶ子どもたち。
「ハサミを使わせたことがないのに、大丈夫かなぁ……」というママの不安をよそに、子どもたちはどんどん作りはじめます。
とはいえ、そこは子どもです。最初から自分の思い描いた通りのものは作れません。「もっとここは大きくしてみよう」「ここはどうしたらもっと足らしくなる?」と何度もやり直し。その創意工夫こそが知恵となり、成長へと繋がります。
次の章から、「おもちゃ作り隊」が作ったおもちゃのレシピを紹介します。
【1】さかなマグネット
冷蔵庫などにぺたぺた貼って遊びましょう。マグネットの付くところ、付かないところの違いがあら不思議! 化学遊びの第一歩に。
▼作り方
① 魚の絵を自由に描く
② ハサミで切り抜く※手貼り用のラミネートフィルムで加工すると、劣化しにくいので長く遊べます。
③ 裏面に100円ショップでも買えるマグネットシートを貼り付ける
完成!
【2】キョロキョロ顔カップ
ニコニコ笑顔やびっくり、おとぼけ顔など、いろいろな顔の変化を楽しめちゃう。自分だけのオリジナルカップができあがるから、パーティーなどでマーキングカップとしても使えますよ。
▼作り方
① 目の形をくり抜き、眉、鼻、口など顔を描く(250ml紙コップ)
② くり抜いた目の位置に合わせていろいろな形の目を描く(250ml白い紙コップ)
③ 250mlの紙コップを一番内側に重ねてできあがり!一番上のカップを回すと、表情が変わってオモシロイですよ!
【3】トイレットペーパー芯で虫作り
折り紙を使って、切ったり貼ったり書いたりしながら、自由に好きな虫を作ります。
▼作り方
① 虫の裏側にトイレットペーパーの芯をテープで止めてできあがり!
【4】落ち葉クラッカー
落ち葉が飛び出すクラッカー。紙コップに落ち葉を入れて、スーパーボールを引いて手を放して紙コップにあてると、パーンと落ち葉が飛び出します。
子どもはちょっと驚きのある遊びが大好き。何度も何度も挑戦します。遠くに上手く飛ばせるかな?
▼作り方
① 割りばしの先を4cm切る。ハサミを入れてから折ると簡単に切れます。
② 切った割りばしに写真のように輪ゴムを通す
③ 紙コップを2つ重ねて底に穴を開け、2の割りばしがコップの中にかかるように、輪ゴムを紙コップに通す。
④ 輪ゴムにガムテープでスーパーボールをつける。外れにくいように、ガムテープはしっかりとつけましょう。スーパーボールにアルミホイルを巻き付けて、カップに顔を施して完成!
【5】着せ替えカード
ハートやダイヤ、リボン、星形など、好きな形にカッターやハサミでくり抜き、カーテンや壁、花や葉っぱ、看板などいろいろなところにあてて柄の変化を楽しみます。
▼作り方
① 子どもの絵を描いて洋服の部分を切り抜くと、着せ替え人形カードにもなります。かさばらないので外出先にも持っていけるのがうれしい♪子どもの観察力も高まりそうですね!
【6】ぺたぺた水スタンプ遊び
ご近所迷惑を気にしてチョーク遊びを控えるママもいますが、水を使ったお絵描きなら消えるから安心ですよね!
▼作り方
① 食器洗い用スポンジをはさみやカッターで好きな形にカットしたら、できあがり!
スポンジを水で濡らして、地面にぺたぺたぺたぺた。スタンプのように使ってもいいし、好きな絵を描いてもよし!
「おもちゃ作り隊」に参加した皆さんの声
勇翔くん(4歳)&未久ママ
帰宅してからも家族に「これ自分で作ったの!」と自慢しながらうれしそう。小学生の兄も今度作ると張り切っていました。買って与えるおもちゃとは違った愛着があるようで、虫の目が取れると自分で貼りなおしたりして大切にしています。
友梨亜ちゃん(3歳)&真紀子ママ
お寿司が大好きで日頃から魚の種類をいろいろ覚えているのですが、今回選んだおもちゃも、お気に入りの魚を実際に絵に描くのがとても楽しかったようです。親にとっても子どもが捉えている魚の形や特徴を観ることができて新しい発見でした。
愛未ちゃん(5歳)&悦子ママ
100円ショップで揃えられる身近なもので、作り方も簡単!それなのに子どもはこんなによろこぶのだなぁ、と目からウロコでした。着せ替えカードは、家や公園、いろいろな場所で遊べていいですね。帰宅後も、お花クラッカー作って~♪とおねだりされています(笑)。
シーンが変わると無限に広がる遊び方
作ったおもちゃは、家の中だけでなく、外出先や公園など、シーンが変わることで遊びの幅も広がります。
例えば、「着せ替えカード」は、家の中でも十分楽しいのですが、公園で草木や花々をあててみたり、いろいろな壁やブロックなどを使って柄を楽しむなど、遊びが無限に広がります。
「こうしてみたらどう?」と、ちょっとしたヒントを投げかけるだけで、ときに大人以上の想像力を発揮して、思いもよらぬ遊び方をすることもあるでしょう。
そんなときは、安全を見守りながら、子どもの意見を優先してみましょう。それこそがクリエイティブです。今回の手作りおもちゃ遊びに、「こうあるべき」といった決まりはありません。
「おもちゃ作りや遊び方のアイディアを膨らませながら、“考えること”“工夫すること”の楽しさを知ったら、これから子どもが成長していくうえでも、将来子どもがどんな分野に進むときにも、役に立つのでは?」と佐藤さん。
今回のレシピを参考にしながら、親子遊びを楽しんでみてはいかがでしょうか。
子どもの成長やできることにあわせて
おもちゃ作りの作業を分担しよう
「おもちゃ作り隊」のみんなは3歳以上なので親子で一緒に制作しましたが、子どもが制作をするのが難しい2歳ごろまでは大人が作り、与えましょう。
例えば今回紹介している「お魚マグネット」は、佐藤さんの息子さんが1歳になって指先を少しずつ上手く使えるようになり、カードやシールをつまんだり、貼ったりすることに楽しさを覚える時期に思いついたものなのだそう。
3歳以上になって親子で一緒に作る際も、子どもの成長やできることにあわせて作業を分担するといいですね。
出典/miku 51号 2018年春号
絵本ナビ編集部
※掲載されている情報は2018年3月25日当時のものです。一部加筆修正しています。