もしひとりで悩んでいたら…出産前からサポートを受けられる相談窓口まとめ

思いがけない妊娠、経済的な理由、10代での妊娠、心身の病気などで、出産やその後の育児に不安を抱えていたり、誰にも相談できずに悩んでいたりする妊婦さんが増えています。

こうした妊婦さんをサポートするために、国は「特定妊婦」と定義し、出産前からあらゆる支援が受けられるよう環境を整えてきました。

この記事では、支援を受けられる特定妊婦とはどんな妊婦さんなのか、どんな支援があるのか、どこに相談したらいいのか、ということについてご紹介します。

支援を受けられる特定妊婦とは?

「特定妊婦」とは、出産後の養育について出産前において支援を行うことが特に必要と認められる妊婦さんのこと。2009年に施行された改正児童福祉法で定義されました。

特定妊婦はさまざまな背景があり、明確な判断基準は現在設けられていません。例として、以下のような方が特定妊婦に該当する可能性があると厚生労働省が発表しています(※1)。

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厚生労働省の調査によると、2009年時点で確認された特定妊婦は994人。近年はさらに増えており、2018年には7,233人に上りました。これは妊婦さんの130人に1人の割合です。

この調査で確認されているのは、妊娠届出時の面談やアンケート、全国の相談窓口(下記にて紹介しています)や医療機関からの情報提供によって判断された特定妊婦の数です。

困難を抱えた人ほど社会との接点が薄くなってしまうことから、この数字は氷山の一角という見方もされています。本当に支援を必要とする人に適切な支援を届けるため、行政や支援団体などが積極的に働きかけています。

どんな支援が受けられる?

特定妊婦と判断されると、各自治体に設置される「要保護児童対策地域協議会」に登録され、支援を受けることができます。

例えば、病院の受診同行やメンタルケア、出産・子育てが安心して行える環境が整うまでの居場所の提供などです。本人の家庭状況や不安内容に応じた支援が用意されるため、支援内容はケースバイケースですが、厚生労働省が公開している実践事例集では下記のような取り組みが紹介されています。(※2)

●取り組みの一例

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このように、各関係機関が連携しながら適切なサポートを検討し、支援が受けられる仕組みとなっています。

継続的に支援していくためにも、早期把握が大事とも言われています。まずはいずれかの相談先につながることが大切です。

「私は特定妊婦かも…」と思ったら、まずは相談窓口へ

もしこの記事を読んでいるあなたが、経済的、周りのサポート的、体調的など、さまざまな面で大変な状況にあるのであれば、まずは相談してみることをおすすめします。

以下の窓口は、すべて無料で相談に乗ってもらうことができます。状況によっては、特定妊婦に該当する可能性があると判断してもらえるかもしれません。

にんしんSOS相談窓口

一般社団法人全国妊娠SOSネットワークのウェブサイトに掲載されている、全国にあるにんしんSOS相談窓口では、妊娠・出産に関するさまざまな悩みについて無料で相談することができます(通話料・通信料のみ負担)。

電話のほか、メールやLINEで相談できる窓口もあるので、希望の窓口に連絡してみましょう。

https://zenninnet-sos.org/contact-list

子育て世代包括支援センター

子育て世代包括支援センターは、母子保健法に基づき、全市区町村の9割の自治体に設置されている支援センターです。

相談事業はもちろん、妊娠・出産・育児のスケジュールに合わせて、必要なサービス等の利用スケジュールや、関係機関による支援について整理した「支援プラン」を作成し、妊娠〜育児期まで包括的にサポートします。

NPO法人など民間団体とも連携し、地域における継続的な支援ができるのが特徴です。お近くに支援センターがあれは、ぜひ活用してみてください。

女性健康支援センター

出産についての悩みをはじめ、女性の健康に関する身体的・精神的な悩みを保健師等に相談することができます。たとえば東京都では、「女性のための健康ホットライン」を設置。看護師などの専門職が電話やメールで相談に応じています。

こちらの女性健康支援センター一覧から、お近くの相談先をご確認ください。

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000698195.pdf

特定妊婦の支援を積極的に行っている団体も

以下にご紹介するのは、相談窓口はもちろん、関連機関との連携や、その先の居場所支援まで実際に提供している団体です。

特定非営利活動法人ピッコラーレ 

特定非営利活動法人ピッコラーレは、「継続して当事者を支える妊娠葛藤相談窓口が必要」との思いから、2015年に「にんしんSOS東京」を発足し、相談支援窓口を開設しています。現在は埼玉県、千葉県からも受託し、3つの相談窓口を運営しています。

毎月新規で100件以上の妊娠にまつわる相談を受け付けており、365日年中無休で電話とメールにて相談することが可能です。さらに、居場所のない妊婦さんに安心できる場を提供したいとの想いから、産前から利用できる「project HOME」の運営も手掛け、「医」「食・職」「住」を提供しています。

● project HOMEの支援内容
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https://piccolare.org/

認定NPO法人フローレンス

2016年に赤ちゃん縁組事業(妊娠相談・特別養子縁組あっせん事業)をスタートした、認定NPO法人フローレンス。電話、メールに加え、LINEで24時間いつでもチャットボットが応答する相談窓口があり、匿名ですぐに相談したい場合にも利用しやすい仕組みです。

妊婦健診の付添いや養育などのサポートをはじめ、緊急で住まいを必要とする方が無料で入居できる「母子のためのシェルター」の運営や、産後の養子縁組支援など、幅広いサポートを受けることができます。

https://engumi.florence.or.jp/ninshin

ひとりで抱え込まず、まずは相談を

今回ご紹介した相談窓口は、特定妊婦でなくても利用することができます。また、もしも特定妊婦だった場合は、1日も早く相談することで、その後速やかにサポートを受けることにつながります。

妊娠・出産・育児に関する悩みはつい女性がひとりで抱え込みがちですが、パートナーやかかりつけの医師に相談できなかったり、相談しづらかったりする場合には、まずはこうしたサポートを頼ってみてくださいね。

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