小学生になるとお年玉の額も増え、「せっかくなら子どもにいい使い方をしてほしいけど、どう使わせるのがいいんだろう…」と迷う人もいますよね。
そこで今回は、親子向けの金融教育講座を多数実施している、キッズ・マネー・ステーション代表の八木陽子さんに、低学年向けの上手なお年玉の使い方を伺いました!
八木陽子さん
株式会社イー・カンパニー、キッズ・マネー・ステーション代表。一級ファイナンシャルプランナー技能士、CFP®キャリアカウンセラー(CDA)、キャリアコンサルタントなどの資格をもち、様々なメディアで執筆・監修を務める。子育て世代の方々が、お金とキャリアの知恵をつけて、幸せな将来に前進できることを願って活動中
金額が大きい場合は少額から始めてみよう!
家庭によって子どもがもらうお年玉の額は異なりますが、八木さんいわく「平均2〜3万」とのこと。
子どもにお年玉を使わせるといっても「全額はちょっと多すぎる…」といった場合は、親が一部を管理して、子どもは少額からはじめてみるのがおすすめです。少額の「額」は、家庭ごとの感覚で決めても良いでしょう。高学年以上になって、親子間でお金の話をしていれば、子どもに配分を決めさせてもいいですね。
少額といえど、せっかくならお金との付き合い方を学べる方法がいいですよね。次から、八木さんがおすすめする、低学年向きの方法を紹介します。
八木さん
親がすべて管理すると、子どもは小さいながらに「取られた」という気持ちを抱きやすいものです。まずは少額でも使わせてみることが大事ですよ。
1. 欲しかったものを買う
ずっと欲しかったものをこの機会に買うのもいいでしょう。お年玉を使って買ったという思い出にもなりますよ。
八木さんいわく、何かものを買うときは「ニーズ&ウォンツ」といって、「本当に必要なもの」か「思いつきで、本当に欲しいものではない」かを吟味することが大切なのだそう。
せっかくもらったお年玉なので、親子でしっかり話し合って何を買うかを決めましょう。
2. 寄付・募金をしてみる
自分のためだけでなく、人のためにお金を使うという体験ができます。
寄付先の団体や、寄付の使われ方を親子で一緒に調べることは、お金や世界についての見方を広げられますよ。
全額ではなく、一部など募金・寄付の枠を決めてやってみるのもおすすめです。
3.お小遣い制度を始めてみる
実際にお金を管理して、考えながら使うきっかけにお小遣い制度を始めてみるのはいかがでしょうか。お年玉の合計を12で割って、月のお小遣いとして渡すという方法もありますよ。
欲しい物が高額で買えない場合は、お小遣い制にしたお年玉を月々貯めるのも一つの方法。貯めている間は「本当にほしかったのか」を冷静に考えられる期間にもなります。
あまり高額だと手が届きにくく、長いスパンだと飽きてしまうので、「3〜6ヶ月ほど貯めたら親が半額は出す」などルールを決めるのもおすすめです。
4.投資を始めてみる
応援したい会社にお金を使うことや、経済の仕組みを学ばせたい場合は投資にチャレンジしてみるのも有効です。
最近は条件次第で子どもでも開ける証券口座もあるので、中〜高学年になって投資に興味をもったときのために、今からリサーチし始めてもいいですね。
投資の準備のために、子ども名義の銀行口座を作ってみるのも一つの経験。銀行の仕組みやお金を管理することから学ぶことができますよ。
お年玉を使う上で大切な3つのポイント
どんな使い方をするにしても、せっかくだから子どもにはしっかり学びにしてほしいですよね。
下の3つのポイントを大人が意識すると、より子どもの学びが深まりますよ。
①まずは使い方を親が提示する
「良い使い方をしてほしい」と思っても、子どもにはその方法がわかりません。上記のような方法を提示して、どういうことに役立つのかを伝えたり、どんな体験をしてみたいかを子どもに聞いてみたりしましょう。
② 使い方は子どもが決める
親が制限をすることで、子どもがお金について考える機会を奪ってしまうこともあります。使う、貯めるなど最終的な意思決定は子どもにさせましょう。
③ 失敗の機会を奪わない
親としては、子どものお金の使い方は心配ですよね。ですが、子どもが自分の意思で目的をもって決めた上での失敗は必ず身になりますよ。
また、小学校低学年時だからこそできる失敗でもあるので、子どもに「使わせる」と決めたら、最低限の注意だけして見守りましょう。
八木さん
親が「それにお金使うの!?」と思うようなことでも、子どもが決めたのなら使わせてみましょう。500〜1,000円の失敗で学べるなら良い機会になります。お金のことは時間をかけて培っていくものなので、こうした体験も大切ですよ。
お年玉をマネー教育のきっかけに!
キャッシュレスがすすみ、現金にふれる機会が減ってきている昨今、お年玉は、実際のお金に触れられるいい機会です。大人の目の届く範囲にある低学年時に、たくさん失敗して学んだことは、大きくなってからもきっと役に立ちますよ。
お年玉を機に、お金について家族で話し合う時間を作ってみましょう。