「紐銭(ひもせん)」という言葉をご存知でしょうか。紐銭は、関西方面の一部の地域で行われているお宮参りの習わしです。今回は、お宮参りの紐銭ついて、どういった風習なのか、祝い着への結びつけ方、どれくらいの金額を入れるのか、表書きの書き方をご紹介します。
そもそもお宮参りとは?
「お宮参り」とは、赤ちゃんが生まれて1ヶ月が経った頃に行われる行事です。住んでいる土地の守り神である産土神(うぶすながみ)に赤ちゃんが生まれたことを報告し、今後の健やかな成長を祈念します。
近所の神社に出向いて参拝するのが一般的ですが、遠方の有名な神社や家族の思い入れのある神社に行く人もいます。
昔からの習わしでは、男の子は生後30~32日頃、女の子は生後31~33日頃に参拝をしますが、最近では、赤ちゃんとママの体調や参列する祖父母や親戚のスケジュールにあわせて日取りを決める家庭が増えています。
お宮参りの赤ちゃんの伝統的な服装では、白羽二重(しろはぶたえ)の内着を着せて華やかな祝い着を覆いかけます。最近は、ベビードレスに祝い着をかけたり、祝い着は使わずに白いケープをかけたりするスタイルが多くみられます。
お宮参りの紐銭とは?
「紐銭」とは、お宮参りで赤ちゃんが着用する祝い着の紐にお祝い金を結びつける風習です。大阪を中心とした関西エリアで行われているもので、親族や近所の人たちからもらったお祝い金を「一生お金に困らないように」という願いを込めて結びつけます。
昔は、お宮参りで赤ちゃんのお披露目をかねて親戚や近所に挨拶回りをするのが一般的でした。そのときに、赤ちゃんの将来を願って穴の開いた硬貨を祝い着に結びつけたのが紐銭の始まりといわれています。
その後、時代の変化とともに、紙幣を入れた祝儀袋を結びつけるスタイルと変化しました。紐銭の数が多いほど縁起が良いとされています。
お宮参りの紐銭の金額はどれくらい?
紐銭で包む金額に決まりはありませんが、1,000~5,000円が相場です。お祝い金というよりも「赤ちゃんへの初めてのお小遣い」という意味合いが強く、出産祝いより少ない金額であることがほとんどです。
お宮参りの紐銭の表書きの書き方は?
紐銭を入れるのし袋の表書きには、水引の上に「紐銭」「御紐銭」、「ひも銭」、「おひもせん」、「御紐餞」などと書きます。
水引の下には贈り主の姓だけを書くか、同じ姓の親族が多い場合にはフルネームを書いておきましょう。
お宮参りの紐銭にお返しは必要なの?
お宮参りで紐銭をもらったときは、基本的にはお返しをする必要はありません。感謝の気持ちとしてお返しをしたい場合は、赤ちゃんのお宮参りの写真と一緒に簡単な菓子折りを贈るといいでしょう。
お宮参りの紐銭の祝い着への付け方は?
紐銭の付け方は、のし袋の上中央か左上に穴をあけて、そこに紅白か金銀の水引を通し、祝い着の紐の部分に結び付けます。水引がないときは、白や赤の紐で代用しても構いません。
お年玉を入れるポチ袋で紐銭をもらった場合は、ポチ袋に穴をあけて水引を通して祝い着に結び付けます。
現在は、お宮参りに挨拶回りをする習慣がなくなってきたこともあり、事前にお祝い金をもらって、お宮参り当日は、ご祝儀袋やポチ袋からお金を抜いて袋だけを結びつける家庭が多いようです。
お宮参りの紐銭をはじめとした地域の習わしを知ろう
地域によってお宮参りのしきたりに違いがあることを知ると、日本の伝統行事の奥深さを感じることができますね。紐銭は関西地方でみられる風習ですが、でんでん太鼓や扇子、狛犬といった装飾を祝い着に結びつけるところもあります。
どこの地域でも赤ちゃんの健やかな成長を願う気持ちは変わりません。住んでいる場所の風習に従いながら、家族で素敵なお宮参りを迎えられるといいですね。