精子凍結とは?費用や保存方法は?デメリットはあるの?

監修医師 泌尿器科 小堀 善友
小堀 善友 2001年金沢大学医学部卒業。日本泌尿器科学会専門医・指導医。日本性機能学会専門医。日本性科学会セックスセラピスト。日本性感染症学会認定医。米国イリノイ大学にてスマートフォン精液検査を研究し、現在商品... 監修記事一覧へ

夫婦で不妊治療を続けていたり、男性が抗がん剤治療を受けることになったりしたときに、医師から精子凍結を勧められることがあるかもしれません。精子凍結にはメリットがある一方で、デメリットや注意点もいくつかあるので、まずは基本的なことを知ってから検討することをおすすめします。そこで今回は、精子凍結の保存方法や費用、気をつけたい点などをご説明します。

精子凍結とは?

精子凍結

精子凍結とは、新しい精子を採取して保存液で処理した後に、冷却した液体窒素の中で凍結する技術です。一度凍結した精子は、液体窒素の中に入れてある限りは、半永久的に保存することができます。

日本では、1958年に凍結保存精子による非配偶者間人工授精での出産報告例があり、すでに60年ほど歴史がある技術です。

近年では配偶者間人工授精(IUI)や体外受精(IVF)、顕微授精を目的として精子凍結が行われることもあり、婦人科や泌尿器科、不妊専門のクリニックなどで相談することができます。

精子凍結はどんなときに行われるの?

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精子凍結保存は、主に次の2つの目的のために実施されます。

不妊治療のため

人工授精や体外受精、顕微授精を行う当日に、夫の出張や海外赴任などが理由で精子を採取できないとき、あらかじめ精子凍結しておくことがあります。

また、決められた日に精子を採るように医師から指示されることでプレッシャーを感じる男性もいます。そのため、不妊治療の「保険」として採精できるときに保存しておくケースも見られます。

そのほか、精子の運動率が低い場合、当日採取した精子と凍結保存してあった精子を複数本あわせて顕微授精などに使うことで、妊娠確率を高めることもあります。

病気の治療による精子形成障害に備えるため

未婚・既婚を問わず、精巣腫瘍や白血病などの治療で化学療法(抗がん剤の投与など)が必要になったとき、治療を受ける前に精子を採り、凍結保存しておくことがあります。

これは、放射線や抗がん剤などによる治療を受けることで、精子をつくる機能が低下し、精子減少症や無精子症などになる場合があるためです。

精子凍結は誰でもできるの?

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日本産科婦人科学会が2007年に出した「精子の凍結保存に関する見解」によると、保存を希望する本人が成人であれば、本人の同意によって凍結保存することができます。ただし、未成年者の場合は親権者の同意も必要です(※1)。

なお、「未婚の男性の場合、化学療法を受ける以外の理由では精子凍結を受け付けられない」など、医療機関によって精子凍結の条件や基準が異なるため、実施前によく確認しておくことが大切です。

精子凍結の手順・保存方法は?

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精子凍結と聞くと、大変な手続きを想像するかもしれませんが、実際には次のような手順で比較的簡単に行われます。

予約

精子凍結をしたい医療機関に、事前に予約を入れます。最近では、WEBでの予約を受け付けている病院も増えています。

採取

病院で精子凍結についての同意書に必要事項を記入し、採精室などで精子を採取します。病院によっては自宅での採精も可能なので、予約時に確認しましょう。

凍結保存

病院に提出された精子は、その精液の精子濃度と運動率を計測したあとに凍結されます。そのあと、凍結保護剤を使用して液体窒素内に保存します。

なお、採った精子の状態が悪く、凍結保存できないこともあります。

精子凍結はいつまで保存しておけるの?

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技術的には、凍結した精子は半永久的に保存しておくことが可能です。

しかし、既出の日本産科婦人科学会の見解では、「凍結精子は、本人から廃棄の意思が表明されるか、あるいは本人が死亡した場合、廃棄される」とされています(※1)。

また、精子凍結を行っている病院によっては「保存期間は原則として10年間」としていたり、「未婚者の場合は保存期間を延長できる」としていたりするところもあるので、事前に条件を調べて検討することをおすすめします。

精子凍結のデメリットは?

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精子凍結のデメリットは、凍結した精子を融解した場合、凍結前と比べて精子の運動率は下がってしまう、という点です(※2)。

ただし、人間の精子はほかの細胞と比べて凍結によるダメージを受けにくく、28年前に凍結保存された精子によって妊娠・出産した例も報告されています(※3)。

また、凍結精子による不妊治療の妊娠率は、女性の年齢や卵子の質などによっても左右されるため、一概に妊娠しやすい・しにくいとは言えません。

精子凍結の費用は?

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1回の精子凍結にかかる費用は病院によっても異なりますが、凍結のための「凍結手技料」と数ヶ月~1年間の「凍結保存料」を合わせると2~5万円程度かかります。

各病院の定める保存期間を過ぎたあとは、1年ごとの更新性になっている病院が多く、延長のたびに費用がかかることになります。

なお、精子凍結を使って人工授精や体外受精、顕微授精を行うためには、別途治療費が必要になります。

不妊治療を検討している人は特に、トータルでかかる見込みの金額や、助成金を受け取れる条件などについて調べておくと良いでしょう。

精子凍結には情報収集が必要

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不妊に悩んでいる夫婦や病気の治療を検討している男性にとって、精子凍結は将来の妊娠の希望をつないでくれる方法の一つです。

ただし、精子凍結にはデメリットがあるほか、費用もかかることなので、まずは婦人科や泌尿器科、不妊クリニックなどで相談のうえ、夫婦で凍結時期や保存期間、必要性などをじっくり話し合ってみてくださいね。

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