桶谷式断乳とは?どんな方法やスケジュールで進めるの?

母乳育児を続けてきたママにとって、いつまで母乳を飲ませるかは大きな悩みの一つです。保育園の入園に合わせて断乳・卒乳する人もいれば、「赤ちゃんが飲まなくなるまでずっと飲ませたい」という人もいますよね。そこで今回は、断乳する方法の一つとして有名な「桶谷式断乳」の方法やスケジュールについてご紹介します。

桶谷式断乳とは?

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桶谷式とは、助産師の故・桶谷そとみさんによって考案された、独自の乳房マッサージ方法です。

桶谷式の勧める断乳方法は、赤ちゃんからおっぱいを取り上げてしまうのではなく、母と子が満足するまで授乳を行い、お互いの意思で卒業することです。断乳できる条件が整ったらママが断乳する日にちを決め、1週間前から赤ちゃんに伝えます。

桶谷式では「母乳育児を通して作り上げられた母子の強い絆があるからこそ、きっぱりと断乳することができ、子供が次のステップに進むことができる」と考えられています。

桶谷式では「卒乳」とはいわないの?

赤ちゃんが自然とおっぱいを飲まなくなることを、一般的に「卒乳」といいますが、桶谷式では卒乳ではなく断乳を推奨しています。

母乳は、赤ちゃんにおっぱいを吸われることで乳首が刺激されて分泌量が増加します(※1)。頻繁に授乳するほど母乳の出がよくなるため、授乳回数を減らすと母乳分泌が低下して質の悪い母乳になると考えられています。

最後まで美味しい母乳を与えるために、徐々に母乳を飲ませる回数を減らすのではなく、特定の日にきっぱり断乳するというのが、桶谷式の考えです。

桶谷式で断乳ができるのはいつごろ?

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桶谷式の断乳では、断乳できる時期について次のように決めています。

赤ちゃんが一人歩きできる

桶谷式では、赤ちゃんが一人で歩けるということは、体も心も自立していると考えます。また、歩けるようになる時期と食事から栄養を取り込めるようになる時期が重なっているのも理由です。

離乳食を3回食べている

断乳するとお腹が空くので、今まで食が進まなかった赤ちゃんでも、自然と量を食べられるようになります。赤ちゃんが離乳食を3回食べていて、ある程度の硬さのものを嚙めることが大切です。

ママのおっぱいにトラブルがない

断乳すると、乳腺が詰まったり胸が張ったりすることがあります。ママのおっぱいに乳腺炎やしこりといったトラブルがないことも断乳の条件です。

赤ちゃんもママも健康である

赤ちゃんやママが体調を崩している場合は、回復するのを待ってから断乳をしましょう。また、引っ越しや保育園入園などで環境が変わった直後の断乳も控えましょう。

断乳の覚悟ができている

ママが断乳に迷いがあるときは、まだおっぱいをやめるタイミングではありません。「赤ちゃんに満足のいくまで母乳を与えることができた」「これからは授乳をしなくても大丈夫」という決心ができてから断乳するようにしましょう。

桶谷式断乳の方法やスケジュールは?

スケジュール いつから カレンダー

桶谷式の断乳では、下記のようなステップを踏んで断乳していきます。

断乳1週間前

断乳をする1週間前から、「○月○日でおっぱいにバイバイしようね」と、赤ちゃんに伝えます。カレンダーに印をつけて、「この日までだよ」と見せながら伝えてもいいですね。

ただし、断乳することは赤ちゃんにとって悲しいことなので、あまり言い過ぎないようにして、1日1回だけ伝えるようにしましょう。

断乳前日

「明日でおっぱいにバイバイするよ。だからしっかり飲もうね」と赤ちゃんに伝え、おっぱいを欲しがるだけ与えます。

断乳後のおっぱいは温まると張ってしまうため、ママは数日間お風呂に入れなくなります。前日に、しっかりお風呂に入って洗髪などを済ませておきましょう。

断乳当日

断乳の当日は「これでおっぱいとバイバイだよ。しっかり飲んでね」と声をかけて、朝に母乳を飲ませます。授乳が終わったら、おっぱいに絵を描きます。へのへのもへじや、赤ちゃんが好きなキャラクターを描きましょう。

赤ちゃんがおっぱいを欲しがり、ママの服をめくろうとしたら、絵が描かれたおっぱいを見せて「おっぱいはもういなくなったよ」「おっぱいは●●になっちゃたよ」と言います。赤ちゃんがおっぱいを飲もうとしたときは、服をおろしてください。

絵を描くことに抵抗がある場合は、おっぱいを見せずに「もうおっぱいとはバイバイだよ」と伝えましょう。

その日は、おっぱいから気をそらすために、赤ちゃんとたくさん遊んであげてください。遊び疲れると、おっぱいを飲まなくても夜しっかりと寝るようになります。パパにも協力してもらえるといいですね。

断乳後

断乳すると、ママはおっぱいが張って痛くなります。断乳後2日間は、できるだけ搾らずに我慢して、痛みがひどくなったときだけ手で軽く搾乳をしましょう。

断乳3日目には、すっきりする程度に搾乳をします。そのあとは断乳10日目、1ヶ月目、2ヶ月目に搾乳して終了です。

できれば、桶谷式母乳育児相談室に足を運んで搾乳してもらいましょう。教室や助産師さんによって搾乳のタイミングは異なるので、相談しながら進めていってください。

桶谷式で断乳した後の注意点は?

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断乳後は、赤ちゃんとママのケアが大切です。下記のポイントに注意しましょう。

絶対に母乳を与えない

桶谷式で断乳をした後は、赤ちゃんがどれだけおっぱいを欲しがったとしても、母乳を飲ませてはいけません。赤ちゃんが泣いても、断乳を実行してください。

かわいそうだからといって授乳をしてしまうと、赤ちゃんも混乱してしまい、次の機会に断乳をしようとしても難しくなります。断乳をするときは、覚悟を持って実行しましょう。

たっぷり甘えさせる

赤ちゃんにとって断乳は、それまで大切にしてきたものが、すっと消えてしまうようなことです。今まで以上に愛情表現やスキンシップを行って、「おっぱいとはバイバイしたけど、ママはずっと一緒だよ」と伝えましょう。

入浴や食べ物に注意する

断乳後は入浴すると血行がよくなりおっぱいが張ってしまうため、断乳3日目までは入浴を避け、タオルなどで体を拭くようにしましょう。

桶谷式母乳育児相談室では、高カロリーの食ベ物は乳腺をつまらせる原因になるため、できるだけ避けるようにとアドバイスをしています(※2)。断乳後しばらくの間も、脂肪分や糖分の多い食べ物は控えたほうがいいでしょう。

桶谷式母乳育児相談室へ行く

断乳後は、できるだけ桶谷式母乳育児相談室や桶谷式の認定助産師さんがいる助産院などへ行って、おっぱいの状態をチェックしてもらいましょう。プロの手で母乳を搾ってもらうことで、つまりやしこりが残るのを防ぐことができます。

また、断乳してから赤ちゃんの様子がおかしい、ママの体調がすぐれないといったときも、早めに桶谷式の認定助産師さんに相談するようにしてください。

桶谷式断乳で新しい一歩を踏み出そう

母乳育児を通して作り上げた母子の絆は、赤ちゃんの心に絶対的な信頼感となって残ります。断乳や卒乳をすることに対してママは寂しい気持ちを抱くかもしれませんが、赤ちゃんの自立に向けた、新しい一歩です。

そうはいっても、桶谷式断乳を行うときは、赤ちゃんとママの体調や気持ちを優先して、無理に進めるのはやめましょう。わからないことがあったら、桶谷式母乳育児相談室や認定助産師さんがいる助産院や母乳外来で相談してください。

また、断乳と卒乳のどちらがいいかについてはさまざまな意見があるので、ママがどうしたいのかよく考えて決めていくようにしましょう。

赤ちゃんとママにとってベストな方法でおっぱいにバイバイして、親子の新しい関係を築いていけるといいですね。

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