2022年10月1日から施行された「産後パパ育休(出生時育児休業)」という制度をご存知ですか?
2021年6月に改正された育児・介護休業法のなかで新設された制度で、報道では「男性版産休」と呼ばれることも。
今回は「産後パパ育休」がいつからいつまで取れるのか、対象者、給付金、社会保険料の免除などについて詳しくご説明します(※1)。
産後パパ育休の3つの特徴
「産後パパ育休(出生時育児休業)」とは、従来の育児休業とは別に、パパが赤ちゃんの出生日から8週間以内に4週間の育児休業を取得できる制度です。
産後パパ育休の特徴は、主に以下の3点です。
1. 取得の申請期限が原則2週間前に
従来の制度は育休取得の申請期限が1ヶ月前ですが、産後パパ育休は原則2週間前。
出産予定日が早まった場合でも、産後すぐから育休に入りやすくなります。
2. 2回に分割して取得可能
2回に分割して取得できるため、仕事の都合でまとめて4週間休めない場合でも、育休取得を諦めなくてよくなります。
ただし分割する場合は、出生後8週間のうち、どの期間で休業してどの期間で就業するのか、最初に産後パパ育休を申し出る際に伝える必要があります。
3. 休業中も一定量働いてOK
従来の育休制度では原則就業NGですが、産後パパ育休では労使協定をあらかじめ締結している場合に限り、定められた範囲内で仕事をして収入を得ることが認められます。
就業時間の上限については、後ほど詳しくご説明します。
なお、赤ちゃんの出生日から8週間以内に育児休業を取得した場合に、特別な事情がなくても再度育児休業が取得できる特例制度「パパ休暇」は、産後パパ育休制度の創設に伴い廃止されます。
育休情報はパパと一緒に確認!
育休取得は産後の生活に大きく影響することなので、各家庭ごとに最適な選択が異なります。育休について夫婦で情報を共有し、一緒に検討することが大切です。
この記事をぜひパートナーにも共有してご活用くださいね!
産後パパ育休を取得できる人は?
産後パパ育休は、基本的には、制度が施行される2022年10月1日以降に子どもが生まれたすべての労働者が対象となります。
制度の施行前に子どもが生まれた場合は?
施行日である2022年10月1日より前に子どもが生まれ、現行のパパ休暇または育休を取得している場合でも、生まれてから8週間以内であれば産後パパ育休を取得できます(※2)。
ただしパパ休暇と産後パパ育休で合計28日間の取得が上限なので、たとえば9月1日に出産し、パパが10日間のパパ休暇を取得していた場合、10月1日から取得できる産後パパ育休は18日間までとなります。
対象外となる労働者は?
有期雇用労働者については、赤ちゃんの出生日から8週間が経過する日の翌日から6ヶ月を経過する日までに、契約が満了することが明らかな場合は対象外となります。
また雇用形態を問わず、労使協定の締結により以下に当てはまる人は対象外となる場合があるので、就業規則などに下記の規定がないか職場に確認しておきましょう。
● 雇用された期間が1年未満
● 申出の日から8週間以内に雇用関係が終了する
● 週の所定労働日数が2日以下
産後パパ育休の給付金は?収入はどうなる?
前述したように、労使協定をあらかじめ締結している場合は、産後パパ育休中も働くことができます。
就業を希望する人は、産後パパ育休の開始予定日の前日までに、「就業可能日」と「就業可能な時間帯」などを申し出ましょう。その後事業主との合意のうえで、就業日数や時間を決定します。
ただし、産後パパ育休中の就業日数と時間には以下の上限があるので、注意しましょう。
● 休業期間中の所定労働日・所定労働時間の半分
● 休業開始・終了予定日を就業日とする場合は、当該日の所定労働時間数未満
例)週5日、1日8時間働いている男性が産後パパ育休を2週間取得する場合
→休業中に働ける日数は5日まで、時間は40時間までが上限。さらに休業開始・終了日の就業は8時間未満となります。
産後パパ育休中にもらえる給付金
産後パパ育休中は、以下の受給要件を満たしていれば「出生時育児休業給付金」を受け取ることができます(※3)。
① 休業開始前の2年間に、賃金支払の対象となった日が11日以上ある(ない場合は就業している時間数が80時間以上の)月が12ヶ月以上あること
② 産後パパ育休の取得日数を28日としたとき、休業中の就業日数が10日(10日を超える場合は80時間)以内であること
③ 28日より短い期間で取得する場合は、就業日数が②に比例した日数または時間数以内であること
出生時育児休業給付金として受け取れる金額の計算方法は、以下の通りです。
休業開始時の賃金 × 産後パパ育休の日数 × 67%
※休業開始時の賃金=休業開始前6ヶ月間の賃金から賞与を引いた額÷180
ただし、産後パパ育休中に就業して収入を得た場合、休業中の賃金額と出生時育児休業給付金の合計が「休業開始時の賃金日額 × 産後パパ育休の日数」の80%を超えるときは、超過分が出生時育児給付金から減額されます。
出生時育児休業給付金の申請期限
● 赤ちゃんの出生日から8週間後の翌日から数えた2ヶ月後の月末まで
例えば10月15日に赤ちゃんが生まれた場合、申請期限は翌年2月末日までとなります。
申請は事業主がハローワークへ行うことになっているので、必要書類などを職場に確認してみてくださいね。
なお産後パパ育休後に通常の育児休業を取得する場合は、別に「育児休業給付金」を受給できますよ。
産後パパ育休中は社会保険料が免除される?要件は?
以下のどちらかの要件を満たしていれば、産後パパ育休期間中の月給・賞与にかかる社会保険料が免除されます。
① その月の末日が育児休業期間中である場合
例)5月30日〜6月3日の5日間産後パパ育休を取得した場合
→5月分の保険料が免除となる
② 同一月内で育児休業を取得(開始・終了)し、その日数が14日以上の場合(産後パパ育休中に就業した日数は含まない)
※ただし、賞与にかかる保険料の免除は連続1ヶ月以上の産後パパ育休を取得した場合に限られます
パパが産後すぐから子育てできるように
パパが「産後パパ育休」を利用すれば、産後間もないママをサポートしながら、夫婦で赤ちゃんの成長を見守ることができますよ。育休についてパートナーと話し合い、家族にとって最良の選択ができるといいですね。
また2021年6月の改正育児・介護休業法では、産後パパ育休の新設以外にも、育休の分割取得や取得要件の緩和がされています。下記の記事で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてくださいね。
育休情報はパパと一緒に確認!
育休取得は産後の生活に大きく影響することなので、各家庭ごとに最適な選択が異なります。育休について夫婦で情報を共有し、一緒に検討することが大切です。
この記事をぜひパートナーにも共有してご活用くださいね!