赤ちゃんが生まれてしばらくすると、クーイングという動物の鳴き声のような声を発し、その後、自発的に声を出す「喃語(なんご)」を話しはじめます。しかし、クーイングと喃語の区別がつかず、ママやパパは赤ちゃんがいつ喃語を話し始めるのか不安に思うことも多いようです。そこで今回は、赤ちゃんの喃語とは何なのか、いつから始めるのか、おしゃべりの多い・少ないは発達に影響しているのかなどをご紹介します。
赤ちゃんの喃語とは?
喃語とは、意味のある言葉を発する前に、赤ちゃんがまるでおしゃべりをしているような声を出すことです。「ダァダァ」「バブバブ」と、2文字以上の言葉を発するのが喃語です。月齢が上がるにつれて喃語のバリエーションが増え、意味を込めた喃語を発することもあります。
赤ちゃんが単語を発するのは早くても1歳頃からですが、生後数ヶ月頃から喃語を発し、話すための練習を始めます。ただし、最初は喃語ではなく、「クーイング」といって、生後2ヶ月くらいから「アッアッ」「うー」といった母音だけを発します。これは、喃語とは区別されています。
クーイングを経て、少しずつママやパパへ訴えるように喃語を発してくれるようになります。赤ちゃんが喃語で何を伝えたいのか理解するように心がけ、気持ちを代弁してあげるなどで、赤ちゃんに言葉を返してあげてくださいね。
赤ちゃんの喃語はいつからいつまで?
赤ちゃんの喃語は、一般的には生後4ヶ月頃から少しずつ始まります。そして次第に、赤ちゃんに話しかけると喃語を返してくるようになります(※1)。
しかし、赤ちゃんが喃語を発し始める時期には個人差があり、生後4ヶ月よりも早く喃語を発したり、生後6ヶ月以降に喃語を発し始めることも珍しくありません。上の子がいる場合は、上の子がママやパパと会話している姿を見て、必死に真似をしようと早くから喃語を発することもあります。
その後、早い子だと生後8~9ヶ月くらいから、ママの顔をみながら「マンマ」といったり、何かを指差しながら「アッ」といったり、自分の意思を伝えるための喃語の発声が増えていきます(※2)。
赤ちゃんの機嫌が良いときや、話をしたそうに顔を向けてきたときには、優しく声をかけてあげましょう。赤ちゃんが発音しやすい言葉を使った、絵本などを呼んであげると、喃語を誘いやすくなりますよ。
赤ちゃんはどんな喃語でおしゃべりするの?
赤ちゃんの喃語は、いくつか種類があります。喃語の意味がはっきりと理解できなくても、赤ちゃんは喃語を使って何かを訴えているということもあります。注意しながら何度も聞くうちに、何となく喃語の意味を理解できるようになりますよ。
成長とともに少しずつ発声が変化し、喃語から大人と同じような言葉になっていきます。大人の言葉を理解できないと思われる時期でも、赤ちゃんにあまり真似されたくない言葉は使わないよう、喃語の時期から意識すると良いかもしれません。
母音の喃語
クーイング後に最初に現れる喃語で、はっきりとした母音の「アーアー」「アーウー」といった声を発します。
子音を含む喃語
生後5ヶ月頃から発せられる喃語で、「ブー」「ダッ」「バー」といった子音が含まれます。
音を連続でつなげる喃語
生後7ヶ月くらいから「ダァダァ」「マンマンマン」「マーマーマー」など、連続した音の喃語を発するようになります。赤ちゃんによって好みの喃語があり、好きな喃語を繰り返すようになります。
赤ちゃんの喃語が多い・少ないは発達に関係ある?
「生後10ヶ月になったのにうちの子はほとんど喃語を話さない…」と心配するママやパパもいるかもしれませんね。しかし、赤ちゃんの喃語が多いか、少ないかは、個人差によるところが大きいものです。
たくさん喃語を話す赤ちゃんもいれば、ほとんど話さない赤ちゃんもいます。また、大人が話している内容を理解してはいても、喃語を発することが苦手な子もいます。
赤ちゃんの喃語が多い・少ないだけで、過剰に心配する必要はありません。あまり喃語を話さない子でも、ある程度大人が話しかけることを聞いたり、理解したりしているようであれば様子をみましょう。
ただし生後8ヶ月頃になっても、ママが話す簡単な言葉をあまり理解していない、話しかけても振り返らない、顔を見ないなど、コミュニケーションをとる仕草がない場合や、1人ごとのように喃語を発し続けている場合は、自閉症の疑いがあるかもしれません。
しかし、これはあくまで目安の一つに過ぎず、2~3歳頃までは確実な判断ができません。
赤ちゃんがもう少し成長したときに、目が合わない、他の子に関心がない、指さしをしない、人の真似をしない、表情が乏しい、かんしゃくが強い、といった様子が同時に気になるようであれば、かかりつけの医師に相談してみましょう(※3)。
赤ちゃんと喃語でのコミュニケーションを楽しもう
赤ちゃんの喃語は、ママやパパは理解できない言葉かもしれませんが、状況や表情から喃語の意味を汲み取り、コミュニケーションを楽しむことが大切です。
喃語を通して、いつも以上に赤ちゃんを理解しようと意識すると、ちょっとした成長の変化にも気づくことができるようになりますよ。
赤ちゃんが喃語を話し始めるまでは気を揉んでしまいますが、話し始めると一気に饒舌になるものです。かわいらしい喃語を聞けるのは赤ちゃんの時期だけなので、ママやパパが楽しく語りかけ、喃語を促してこの先の発語につなげてあげられるといいですね。