妊婦に頭痛が起きやすい原因は?妊娠中にできる対策は?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

妊娠中のトラブルでよく見られるものに「頭痛」があります。頭痛に悩まされる女性は少なくありませんが、妊娠中は痛み止めの薬をむやみに飲むわけにはいかず、対処法に困ってしまいますよね。そこで今回は、妊娠中に頭痛が起きやすい原因と、妊婦さんでもできる対処法についてご説明します。

頭痛には2つのタイプがある

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一口に「頭痛」といっても、実は2つのタイプがあります。それぞれで症状や対処法が異なるため、妊娠中の頭痛に対処する場合も、自分がどちらのタイプなのかを把握することが大切です。

以下の特徴を参考に、自分の頭痛のタイプを見極めてくださいね。

偏頭痛

偏頭痛は、脳内の血管が広がって血流量が増えることで起こります。目の周りがズキズキと痛んだり、体を動かしたときに痛んだりするのが特徴です。吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、脳への血流量が減少して酸素不足になり、脳周辺の筋肉がこわばることで現れます。後頭部から首筋にかけて頭全体が締め付けられるように痛むのが特徴です。

偏頭痛と違って吐き気や嘔吐は起こりませんが、めまいや体のだるさを感じることがあります。

妊娠中に頭痛が起きやすい原因は?

頭痛
妊娠中は偏頭痛と緊張型頭痛のどちらも起きる可能性があります。それぞれ原因が異なるので、自分の頭痛のタイプと体の状態をチェックしておきましょう。

偏頭痛の原因

妊娠すると体内のホルモンバランスが変化することが引き金になります。「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる女性ホルモンの分泌量が増えてバランスが乱れることで、脳の血管が広がりやすくなって偏頭痛が起こります。

緊張型頭痛の原因

妊娠すると運動不足気味になり、体の血行が悪くなります。血行不良で腰や肩、首が凝ってしまい、頭痛を引き起こします。妊娠中期を過ぎてお腹が大きくなってくると、疲れやすくなったり、寝不足気味になったりして、頭痛がさらに悪化することも。

また、妊娠中は鉄分の不足で鉄欠乏性貧血を起こしやすく、それが原因で緊張型頭痛になっている場合もあります。

妊婦もできる頭痛対策は?

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偏頭痛と緊張型頭痛は原因が違うので、対処法も違います。対処法を間違えるとかえって痛みがひどくなることがあるので、注意してください。

妊娠中の偏頭痛への対処法

偏頭痛の痛みの原因は脳の血管が広がっていることなので、脳の活動を安静にしてあげることが大切です。光や音などの刺激を避けて、暗く静かな部屋で目を閉じて横になりましょう。アイマスクや耳栓で物理的な刺激を遮るのもおすすめです。

そして、頭や首筋など痛む場所に冷たい濡れタオルを当てて冷やすと、広がった血管が収縮して痛みがやわらぎますよ。温めると痛みが増してしまうので、お風呂は湯船に浸かるのは避けてシャワーにしましょう。

また、カフェイン摂取も偏頭痛対策のひとつです。カフェインには血管を収縮させる効果があります。偏頭痛がひどい方は1日1杯程度であれば、コーヒーや紅茶、緑茶を楽しんでもいいかもしれません。ただし、カフェイン摂取の量には十分注意をし、不安がある方は無理をしないようにしてくださいね。

妊娠中の緊張型頭痛への対処法

緊張型頭痛の原因は血行不良なので、痛いところを温めてあげましょう。痛みを感じたら偏頭痛と同じように安静にして、後頭部や首、肩など痛みを感じる部分に蒸しタオルを当ててください。

直接温めるだけではなく、首や肩、腕の筋肉を動かすだけでも血行がよくなります。血行を良くする方法にはツボ押しも効果的です。

妊娠中の頭痛時に、薬を飲んでもいいの?

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妊娠前であれば頭痛が出たら頭痛薬を使って対処していた人も多いと思います。しかし妊娠中はお腹の赤ちゃんへの影響を考えると、気軽には使えませんよね。

頭痛薬にもいろいろ種類があり、妊娠中に飲めるものもあれば、飲んではいけないものもあります。そのため、妊娠前に使っていた頭痛薬を自己判断で使うのは止めましょう。

事前に必ず注意書きを確認し、「妊娠中に使えるかどうか」を確認してください。できれば、産婦人科医に相談した上で、問題ないといわれたときだけ使うようにしましょう。

頻繁に頭痛が出ている人は、市販薬に頼るよりも、病院で処方してもらった薬を服用したほうが安心です。

妊婦の頭痛は、妊娠高血圧症候群の可能性も?

診察 病院 聴診器

妊娠中にだけ高血圧を起こす「妊娠高血圧症候群」を発症すると、症状のひとつとして頭痛が現れることがあります。血圧の上昇で脳の血管が広がって偏頭痛を引き起こすからです。頭痛以外にめまいや倦怠感なども現れますが、自覚症状ではむくみが出やすいので、頭痛と一緒にむくみがないかを確認してください。

妊娠高血圧症候群による頭痛は、冷やせばある程度痛みはやわらぎますが、根本的には高血圧を改善する必要があります。ただ、妊婦健診に通っていれば、毎回血圧のチェックや尿蛋白の検査があるので、頭痛が起きるまで高血圧に気づかないケースはほとんどありません。

「血圧が高め」と注意を受けたら高血圧予防のために食事や生活習慣を見直しましょう。

妊娠中に頭痛が現れやすいタイミングを知ろう

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妊娠中に頭痛が頻繁に起きたら、どんなタイミングで痛みが現れるのかを把握できると対処がしやすくなります。「頭痛が起きる前に何をしていたか」を簡単に記録しておきましょう。

「蛍光灯の光が強い場所にいた」「食べ過ぎた後」「寝不足、もしくは寝過ぎ」「スマホやPCを見ていた」など、頭痛が現れやすい傾向がある程度つかめるかもしれません。頭痛が現れるタイミングを避けることで、頭痛が起きる頻度を抑えることができます。

また、個人差はありますが、つわりに悩まされやすく、ホルモンバランスが変化する妊娠初期は、特に頭痛が起きやすい時期です。

妊娠中は健康的な生活で頭痛を予防しよう

妊娠中の頭痛を防ぐには、普段から健康的な体を維持することも重要です。普段から体を動かして汗をかき、適度にストレス解消をしてリラックスできる時間を作りましょう。積極的に体を動かせば、適度に疲れて夜はしっかり睡眠が取れて、健康的な生活サイクルが生まれてきます。

ぜひ健康的な生活を過ごして、頭痛に悩まされないマタニティライフを目指してくださいね。

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