「子宮頚管が短いと切迫早産になりやすい」と聞いたことはありますか?実際に妊婦健診のエコー検査で子宮頚管が短いと指摘されて、子宮頚管の長さと出産の関係性を知った人もいると思います。そこで今回は、子宮頚管の平均的な長さ、子宮頚管が短いと切迫早産になりやすいのか、短くなる原因や対策などをご説明します。
子宮頚管とは?
子宮頚管とは、子宮の下部にあり、子宮腔と腟をつなぐ部分です。管状になっていて、子宮腔につながるほうを内子宮口、腟につながるほうを外子宮口といいます。
子宮頚管には適度な長さがあり、妊娠中は、赤ちゃんが下がってくるのを防ぐために固く閉じていて、簡単には開かないようになっています。
出産のときには子宮頚管は子宮口となって広がり、赤ちゃんの通り道ができあがります。
子宮頚管の平均の長さ・正常値は?
子宮頚管の平均的な長さは、以下の通りです(※1)。
●頚管長の平均
妊娠週数 | 子宮頚管の長さ |
妊娠30週未満 | 35〜40mm |
妊娠32〜40週 | 25〜32mm |
妊娠30週未満であれば、40mm以上だと安心していられる長さ、稀に70mmを超える長さの人もいます。子宮頚管の長さが30〜35mmの場合は要注意で、できるだけ安静にするように指示されます。
臨月に入る頃には、子宮頚管の長さは約25〜35mmほどになります。子宮頚管の長さは個人差が大きいので、20mmを切っている人もいれば、まだ40mm以上ある人もいます。
妊娠中は子宮頚管の長さがしっかり保たれているのが正常ですが、臨月に入ってからもずっと子宮頚管が長いと、なかなか出産に至らないことがあるかもしれません。
分娩予定日間際になっても陣痛がなかなか起きず、子宮頚管が長い人は、医師から「階段の上り下りやスクワットをしてね」と声をかけられることもありますよ。
子宮頚管の長さが短いと切迫早産になるの?
前述のように、子宮頚管は出産が近づいてくると少しずつ状態が変化し、短くなります。臨月に入った頃から子宮頚管は柔らかくなり、下がってきた赤ちゃんの頭の圧力で子宮の下側が伸びてきて、子宮頚管部分が短くなります。
●子宮頚管が短い場合
妊娠週数 | 子宮頚管の長さ | 対応 |
妊娠24週未満 | 25mm未満 | 入院管理 |
妊娠24週未満 | 30mm以下 | 要注意 |
しかし、まだお産の時期ではないにも関わらず、子宮頚管が短くなると、その分赤ちゃんが下がって子宮口も開き、早産のリスクが高くなります。
妊娠24週未満で子宮頚管の長さが30mm以下の場合、切迫早産になる可能性があるため、安静にしていることが必要です。
妊娠24週未満で子宮頚管の長さが25mm以下の場合、標準的な子宮頚管の長さの人に比べて早産の発症率が約6倍になるといわれます(※1)。そのためこの場合、病院によっては入院管理をすることもあります。
子宮頚管が短い原因は?
まだ臨月ではないのに子宮頚管が短くなる原因としては大きく2つあります。一つは「体質的に子宮の筋肉が弱い=子宮頚管無力症」で、もう一つが「細菌感染の影響」です。
子宮頚管無力症
子宮頚管無力症の場合、子宮頚管に十分は強度がないため、お腹の中の赤ちゃんが成長することで上昇する子宮内の圧に耐えられず、子宮口が開いて子宮頚管が短くなります。
子宮頚管無力症は体質的なもので予防が難しいのですが、妊婦健診を受けていれば早期に発見できます。子宮頚管無力症の可能性がある場合には、自宅安静にするか、管理入院をして点滴を打つなどで進行を抑えます。
細菌感染
「細菌性腟症」などの細菌感染を発症し、悪化すると「絨毛膜羊膜炎」を引き起こします。絨毛膜羊膜炎が進行すると、子宮頚管の長さが短くなり、早産になる可能性が高まります(※1)。
絨毛膜羊膜炎を発症した場合にはおりものが増える・匂いがきつくなる、下腹部痛といった自覚症状が現れるので、違和感があれば早めに医師に相談しましょう。
子宮頚管が短いときの対策は?入院が必要なの?
子宮頚管が短いときは、横になって安静にするのが最優先の対策です。医師からは、できれば仕事を休み、家事もやらない方が良いと言われるでしょう。
通勤や立ち仕事、ストレスなどで子宮が収縮しやすくなり、子宮頚管の長さがさらに短くなる可能性もあります。
先述のように、妊娠24週未満のとき子宮頚管の長さが25mm未満になったときは、入院管理が必要になることもあります。
子宮頚管が短いときの治療法は?
子宮頚管が短くなる原因が「子宮頚管無力症」の場合には、子宮口を縛る手術が行われることもあります。マクドナルド法やシロッカー法と呼ばれる方法で、短くなった子宮頚管を縛り、赤ちゃんが下りてくるのを防ぎます(※1)。
手術後も、なるべく安静にして過ごすことになります。そして、赤ちゃんが十分に成長した妊娠37週に入る前後で抜糸をして、お産の始まりを待ちます(※2)。
状況によっては手術をせず、入院による安静で経過を観察する場合もあります。
子宮頚管が短いと診断されても慌てないで
子宮頚管が短い、あるいは短くなっていると診断されたら、とても不安になるかもしれません。ただ、子宮頚管が短くても、赤ちゃんを無事に出産しているママはたくさんいます。赤ちゃんができるだけ長くお腹の中にいられるように、慌てず冷静に対処することが大切ですよ。
安静にすることが、子宮頚管が短くなり早産を引き起こすリスクを減らすことにつながるので、日々の生活や仕事など、周りの人に協力を求めて乗り切りましょう。