「高温期が長く続いていて、なかなか生理が来ないけれど妊娠検査薬は陰性」という状態を経験したことはありませんか?また、「生理が来たのにまだ高温期が続いている」ということもあるかもしれません。今回は、妊娠していないのに高温期が長く続く原因や病気との関係性についてご説明します。
「高温期が長い」のは何日以上?
上のグラフは、女性ホルモンが正常に分泌されており、排卵が起こっている場合の基礎体温グラフの例です。
次のような条件がそろっている場合、正常な基礎体温の状態といえます(※1,2)。
● 低温期から高温期への移行期間3日以内
● 低温期と高温期の差が0.3〜0.6度
● 高温期が12~16日(平均14日)続く
一般的に、高温期が17日以上続いている場合、妊娠している可能性が高いとされます(※1)。
しかし、妊娠していないにもかかわらず、高温期が17日以上持続し、低温期に入らないこともまれにあり、この場合は何らかの異常により高温期が長くなっている可能性があります。
高温期が長いのに妊娠検査薬は陰性…なぜ?
「高温期が17日以上続いているから妊娠検査薬を使ったのに、結果は陰性だった」と不思議に思っている人もいるかもしれません。
その理由のひとつとして、妊娠検査薬を使うタイミングが早すぎた可能性も考えられます。
一般的に、高温期が14日ほど続いたあとに生理がきます。そして、妊娠検査薬を使えるのは生理予定日の約1週間後とされています。
これを踏まえると、おおよそ高温期22日目以降でないと、妊娠検査薬で正しい判定結果が得られないことになります。
もし、それより早く検査薬を使って陰性が出たとしても、妊娠していないとは言い切れません。生理予定日から1週間経ってから、もう一度妊娠検査薬を使ってみてくださいね。
生理がきても高温期が続く原因は?黄体依存症(ハルバン症候群)なの?
生理がきて、妊娠していないことが明らかになったにもかかわらず、基礎体温がなかなか下がらない場合、ホルモン分泌がうまく行っていない可能性もあります。
排卵が起きると、排卵を終えた卵胞が黄体という組織に変わり、黄体から「黄体ホルモン(プロゲステロン)」が分泌されます。
黄体ホルモンは、妊娠に適した子宮内膜の状態を作り、基礎体温を上昇させる作用を持っているため、排卵後はしばらく高温期が続きます。
そのまま妊娠が成立すると、黄体ホルモンの分泌が持続するため、基礎体温は高温期のまま保たれるというわけです。
通常、妊娠しなければ黄体は小さくなって白体に変化します。白体からは黄体ホルモンが分泌されなくなるため、基礎体温はふたたび低温期となり、子宮内膜が剥がれ落ちて生理が来ます。
しかし、生理がきても高温期の状態が続く場合は、「本来少なくなるはずの黄体ホルモンが過剰に分泌されてしまっている」などの可能性が考えられます。
この状態は、一般的に「黄体依存症(存続症)」「ハルバン症候群」などと呼ばれることもありますが、これらは医学用語ではなく、原因も明らかになっていません。
また、生理のような出血が見られたあとも、基礎体温がはっきりと下がらない、日によってバラバラであるといった場合は、子宮外妊娠や流産の可能性も考えられます。
この場合、妊娠検査薬を試しても陰性が出るか、判定時間を大幅に過ぎてからうっすら陽性になるケースもあるので、自己判断は難しいかもしれません。
いずれにしても、生理がいつまでもだらだらと終わらない、生理が来たあとの基礎体温の動きがいつもと違う、腹痛があるなど気になる症状があるときは、基礎体温表を持って婦人科を受診し、一度検査を受けましょう。
高温期が長いのは何かの病気かも?
高温期が長く続き、なかなか下がらないという場合、もしかすると感染症にかかっていたり、自律神経が乱れていたり、甲状腺機能に異常があったりして、平熱そのものが上がっていることも考えられます。
基礎体温の変化だけでなく、動悸がする、体がだるい、手足が震えるといった体調不良があるときは、まず内科を受診し、検査を受けましょう。
高温期が長いときはリラックスした毎日を
高温期が長い場合、真っ先に妊娠の可能性を考える人が多いと思いますが、あまり早い時期に検査薬を使うと正しい判定結果が得られないので、生理予定日の1週間後まで落ち着いて待ちましょう。
妊娠しておらず、生理が来ても高温期が続く場合、ホルモンの過剰分泌が原因かもしれません。ただし、基礎体温は体調や環境の変化などによって不安定になることもあるので、他に身体的な症状がなければ、2~3周期ほど記録をつけて様子を見たうえで婦人科を受診することをおすすめします。
特に妊活中の人は、生理周期や基礎体温の変動に対して敏感になると思いますが、ストレスを溜めすぎないよう、できるだけリラックスして過ごせるといいですね。