妊娠中のタバコは母体にもお腹の赤ちゃんにさまざまなリスクがあると聞いたことがある人が多いですよね。具体的にどのような影響があるのか気になっているのではないでしょうか。
そこで今回は、妊娠中の喫煙や受動喫煙が妊婦さんや赤ちゃんに及ぼす悪影響についてご説明します。
妊娠中の喫煙はどうしてNGなの?
妊娠中の経過や分娩、赤ちゃんの健康に影響を及ぼす可能性があるため、妊婦さんは妊娠初期からの禁煙が推奨されています(※1)。
妊娠中に喫煙をすると、タバコに含まれる有害物質によって子宮や胎盤への血液量が減少し、胎盤の老化・機能低下や赤ちゃんの低酸素状態などが引き起こされ、母体にも赤ちゃんにもさまざまなリスクを与えます(※2)。
妊娠がわかったら、一般的な紙巻きタバコだけでなく、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコなどの喫煙はやめるようにしてください。
妊娠中にタバコを吸うと母体にどんな影響を与えるの?
妊婦さんがタバコを吸うと、母体に次のようなトラブルが起こるリスクが高くなるとされています。
流産
ヘビースモーカーの妊婦さんはタバコを吸わない妊婦さんに比べて、流産率が約2倍という報告があります(※1)。
また、妊婦さん本人はタバコを吸わなくてもパートナーや家族、まわりの人などが吸っていて受動喫煙となる場合、流産率は非受動喫煙者の1.7倍になります(※1)。
早産
妊娠中に吸うタバコの本数が増えると早産率が上がることもわかっています。
タバコを吸わない妊婦さんの早産率が6%なのに対し、1日に11〜20本吸う妊婦さんだと13%、21〜30本だと25%、31本以上吸うヘビースモーカーだと33%となります(※3)。
そのほか、分娩前にママの子宮から胎盤が剥がれてしまう「常位胎盤早期剥離」や、胎盤の位置が低く子宮の出口を塞いでしまう「前置胎盤」の発症頻度も増えるとされています(※1,3)。
妊娠中の喫煙は胎児にどんな影響を与えるの?
妊娠中の喫煙は、妊婦さん自身だけでなく、お腹の赤ちゃんの健康にも次のような影響を及ぼすリスクがあります。
先天異常
妊娠中の喫煙によって、赤ちゃんが生まれる前から異常が発生するリスクが高まります。たとえば、口唇口蓋裂や先天性心疾患、手足の欠損、腹壁の破裂などが起こる確率が高くなることがわかっています(※1)。
低出生体重児
妊娠中の喫煙の頻度や本数が増えるほど、胎児発育不全の重症度が高くなります。
一般的に、喫煙している妊婦さんから生まれた赤ちゃんの体重は、そうでない赤ちゃんよりも約200g軽く、さらにヘビースモーカーの場合は約450g軽くなります(※3)。
妊娠中の喫煙は出産後の赤ちゃんにも悪影響を与える?
無事に出産できたとしても、妊娠中の喫煙が赤ちゃんに悪影響をもたらすことがあります。その一つが「乳幼児突然死症候群SIDS)」です(※1,2)。
SIDSは、何の予兆も病気もないまま、赤ちゃんが突然死してしまう疾患です。
厚生労働省は、妊娠中の喫煙はお腹の赤ちゃんの呼吸中枢に悪影響を及ぼしたり体重が増えにくくなったりするため、SIDSの発症率を低くするには、喫煙や受動喫煙をやめることが重要だとしています(※4)。
そのほか、将来的にADHD(注意欠如・多動性障害)や学習障害といった発達障害や肥満、糖尿病などを発症する確率が高まるという報告もあります(※1)。
妊娠中の喫煙は厳禁!受動喫煙にも注意しよう
タバコをやめないと、妊娠中の母体へのリスクが高まるだけでなく、お腹の赤ちゃんの健康や発育にも悪影響を及ぼします。赤ちゃんが無事に生まれてきても、新生児や乳児期に亡くなってしまったり、成長後の健康が損なわれたりするおそれもあります。
パートナーや同居する家族がタバコを吸う場合は禁煙してもらうか、すぐには難しければ近くでは絶対にタバコを吸わないようにしてもらってくださいね。