妊娠を希望している人は生理予定日が近づいてくると、妊娠の期待が募る一方で「生理が来てしまうかな」と気になりますよね。生理予定日のあたりに出血があった場合、「生理になった」と考えてしまいがちですが、「出血=生理」とは限らず、妊娠兆候の一つである「着床出血」の可能性もあります。そこで今回は、生理と着床出血の見分け方、子宮外妊娠の可能性もあるのかについてご説明します。
そもそも生理とは?

生理とは「生理的出血」の俗称で、女性特有の出血です。医学的には「月経」と呼ばれます。
女性の体内では、基本的に約1ヶ月ごとのペースで妊娠に備えた準備が繰り返されます。精子と受精するために卵子を排卵し、受精卵を迎えるために子宮内膜を厚くします。
しかし、受精しなかったり、受精しても子宮内膜に着床できなかったりすると妊娠は成立しないので、不要になった子宮内膜は剥がれ落ち、血液と一緒に体外に排出されます。これが、生理の出血の仕組みです。
生理予定日の前の出血は着床出血?

「着床出血」は、受精卵が子宮内膜に着床したときに起こる微量の出血を指します。着床出血の原因ははっきりとわかっていませんが、着床時に子宮内膜になんらかの変化が起こるためと考えられています。
「受精卵が子宮内膜に着床する=妊娠する」ということなので、着床出血は妊娠兆候の一つといわれることもあります。ただし、「着床出血」は一般的に使われる俗称であって、医学用語ではありません。
一般的に、生理周期が28日の場合、排卵日は生理予定日の2週間(14日)前で、受精から着床までには6~7日ほどかかるので、生理予定日の約1週間前に着床が起き、着床出血が現れると考えられます(※1)。
しかし、着床したあと血液が腟から排出されるまでに時間がかかることもあるので、生理予定日の数日前になってようやく着床出血に気づくことも。着床出血を「少し生理が早く来た」と勘違いする可能性は十分にあります。
生理と着床出血の違いは?1日で終わるときは?

着床出血が見られる時期は、生理予定日に近いので、生理か着床出血か自分で判断することはなかなか難しいですが、違いとして出血の様子や基礎体温の変化が挙げられます。
血の色や出血量
着床出血の場合、生理のような鮮血ではなく、おりもののような薄い茶色、薄いピンク色が一般的。出血量も少なく、1〜2日で終わる程度です。
しかし、過少月経の人はもともと生理の出血量が少ないなど、個人差があるものなので、色や量だけで着床出血だと見分けるのは難しいかもしれません。
基礎体温
着床出血の場合は、妊娠が成立しているので基礎体温が高いまま持続します(※2)。一方、生理が起きていれば体温はガクッと下がって低温期に入っていきます。
生理が来たと思っても高温期が続いているのであれば、着床出血を疑いましょう。
生理と着床出血を判別するためには、生理予定日を1週間過ぎてから妊娠検査薬を使うのが最も確実な方法です。検査薬を使う時期が早すぎると、正確な結果を得られないことがあるので、注意してくださいね。
生理のような出血は子宮外妊娠の可能性もある?

生理予定日のあたりに少量の出血があった場合、子宮外妊娠の兆候である可能性もあります。
子宮外妊娠とは?
子宮外妊娠とは、受精卵が本来着床するはずの子宮内膜ではなく、卵管など別の場所に着床してしまうことを指します。妊娠検査薬を使うと陽性反応を示しますが、残念ながら妊娠を継続することはできません。
子宮外妊娠を放置すると、最悪の場合は卵管破裂や卵管流産の恐れもあり、激しい腹痛や大量出血などを起こす危険性があるので、早期発見・治療が大切です。
子宮外妊娠の症状は?
子宮外妊娠は、初期症状が特にありません。しかし、生理予定日頃もしくはそれよりも少し早い時期に、薄いピンク色の血が少量出てくることがあります。また、下腹部痛を伴うこともあります(※3)。
子宮外妊娠を正確に診断するには、エコー検査で子宮内に胎嚢(赤ちゃんを包む袋)があるかどうかを確認する必要があります。妊娠検査薬で陽性反応が現れた場合でも、子宮外妊娠の可能性も考えて早めに産婦人科で診てもらうようにしましょう。
生理予定日の出血が1〜2日で終わると妊娠の可能性も

生理予定日前後に1〜2日ほどの出血があったとき、それを生理か、着床出血か、子宮外妊娠か自分で見分けるのは難しいものです。妊娠の可能性が少しでもあるときは、念のため生理予定日の1週間後に妊娠検査薬で調べましょう。
検査薬で陽性反応が出たとしても、子宮外妊娠だった場合、早めの対処が不可欠です。陽性反応が出たらすぐに産婦人科を受診してください。