女性の避妊手術とは?方法や費用は?手術後でも妊娠できるの?

監修医師 産婦人科医 間瀬 徳光
間瀬 徳光 2005年 山梨医科大学(現 山梨大学)医学部卒。板橋中央総合病院、沖縄県立中部病院などを経て、現在は医療法人工藤医院院長。産婦人科専門医、周産期専門医として、産科・婦人科のいずれも幅広く診療を行って... 監修記事一覧へ

妊娠を望まない人のために、コンドームの装着など様々な避妊方法があります。そのなかでも、もっとも確実な方法が「避妊手術」を受けることで、「これ以上の妊娠・出産は体への負担が大きい」などの理由で検討する人もいます。今回は女性の避妊手術について、方法や費用、手術後の経過などをご説明します。

避妊手術とは?

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避妊手術とは、女性や男性の生殖機能をなくし、妊娠が起こらないようにすることを目的とした手術です。母体保護法のなかでは「不妊手術」という用語が使われています。

妊娠を望まない場合、コンドームやピルは継続して使う必要があり、避妊効果は一時的なものです。一方で、避妊手術を一度行うとほぼ100%、生涯にわたって避妊することができます。

経済状況や年齢などの理由で今後の妊娠を望まない人や、帝王切開での出産が続き、これ以上の妊娠は母体に危険が及ぶと判断された人などにとっては、最も確実な避妊方法といえます。

女性の避妊手術の方法は?

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女性の避妊手術は「卵管結紮(けっさつ)術」という方法がとられます。

基本的には、脊椎麻酔などの局所麻酔をかけてお腹を少し切開し、卵巣から卵子を運ぶための「卵管」を切断して糸で縛ります。

卵管を切断せずに、プラスチック製のバンドやクリップなどで留めたり、電気メスで焼いてふさいだりする方法もありますが、いずれの方法も卵子が子宮内へと運ばれて受精が起こるのを防ぐのが目的です。

なお、分娩(出産)後の入院中に行われたり、帝王切開手術のときに同時に避妊手術を実施したりすることもあります。

ちなみに男性の避妊手術は「精管結紮切除術」といい、「パイプカット」とも呼ばれます。精巣から精子を送り出す精管を切断して縛る方法で、こちらもほぼ100%の確率で避妊できます。

女性の避妊手術にリスクはあるの?

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避妊手術を受けると、ほぼ確実に妊娠を防ぐことができますが、ごくまれに卵管がつながり、妊娠が起こることもあります。避妊手術後に妊娠が起きる確率は、1年間で約0.5%といわれています(※1)。

避妊手術後に妊娠した場合、正常な妊娠ではなく、受精卵が子宮内膜以外のところに着床してしまう「異所性妊娠(子宮外妊娠)」となるリスクがあります。

また、医師は慎重に手術を行いますが、周りの臓器を傷つけるなどわずかなリスクはあります。

そのほかのデメリットとして、再び妊娠したいと望んだときに、卵管の状態を元に戻す手術はきわめて難しく、手術できたとしても妊娠できる確率が高くはないということが挙げられます。

避妊手術を受けるかどうかは、こうしたデメリットやリスクを踏まえたうえで、医師や家族とよく相談のうえ検討しましょう。

女性は避妊手術後に再び妊娠できる?

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避妊手術は永久的な処置で、今後「妊娠しなくてよい」という強い意志で行うことが前提です。

もし避妊手術の後で考えが変わったという場合には、切断した卵管をつなぎ合わせる「卵管再建術」という手術を受けることも可能ですが、そのあと自然妊娠できるとは限りません。

卵巣や子宮の機能に問題がない場合は、体外受精や顕微授精によって妊娠する方法もありますが、不妊治療による精神的・身体的負担だけでなく経済的負担もかかるので、医師や家族と十分に相談のうえで検討しましょう。

女性が避妊手術を受けられる条件は?

チェックリスト 注意

避妊手術は、誰でも受けられるというわけではありません。

母体保護法によって、次のいずれかの条件に当てはまる成人女性のみが、配偶者(事実婚のパートナーを含む)の同意を得たうえで受けられることになっています(※2)。

● 妊娠または出産が、母体の命に危険を及ぼす恐れがある
● すでに数人の子供がいて、出産するごとに母体の健康を損ねる恐れがある

女性がこの2つのいずれかを満たす場合、その配偶者やパートナーも母体保護法に基づいて避妊手術(パイプカット)を受けることができます。

女性の避妊手術にかかる費用は?

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出産とは関係なく、卵管結紮術だけを受ける場合は健康保険が適用されず、約20万円前後が自己負担となります。

手術費に加えて、検査や薬などの費用が加算されることもあるので、詳しくは手術を受ける予定の産婦人科で相談してみましょう。

女性の避妊手術はパートナーとよく相談を

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避妊手術は、これ以上の妊娠を希望しない女性にとっては、ほぼ確実に避妊できる選択肢の一つです。ただし、あくまでも女性の体を守るための手術であり、誰でも安易に受けられるものではありません。

実施するにあたって体への負担やリスクもあるので、医師の説明をよく聞き、本当に必要かどうかはパートナーとよく相談してくださいね。

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