妊婦にカフェインは有害なの?1日に摂取してもいい量は?

監修専門家 助産師 佐藤 裕子
佐藤 裕子 日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 監修記事一覧へ

「妊娠中はコーヒーを飲んではいけない」とよくいわれますよね。それは、コーヒーには「カフェイン」が含まれているからなのですが、どうして妊娠中にカフェインを控えなくてはならないのでしょうか。今回は、妊婦さんにとってカフェインは有害なのか、赤ちゃんにはどのような影響があるのか、1日に摂ってもいいカフェインの量などについてご紹介します。

妊婦にカフェインは有害なの?

コーヒー 本

コーヒーなどのカフェイン入り飲料を飲むと、疲れがとれたように感じます。それは、カフェインに頭を冴えさせ、眠気を覚ます効果があるからです。仕事中や運転中、勉強中などにコーヒーを飲んでシャキッとさせたいと思うのは、このためなのですね。

また、カフェインには血管収縮効果があるとされ、脳の血管が拡張することで引き起こされる偏頭痛をやわらげる効果も期待できます。妊娠中は頭痛が出やすい人もいるので、そのような妊婦さんにとっては、カフェインは有益かもしれません。

しかし一方で、カフェインを摂りすぎると中枢神経系が刺激され、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症などを引き起こすことがあります。また、消化管系に興奮状態をもたらし、下痢や吐き気を引き起こすこともあります(※1)。

さらに、妊娠中にカフェインを摂取すると、胎盤を通過して、それがそのまま赤ちゃんへ移行してしまいます。

妊娠中はカフェインの分解に時間がかかるため、それだけ妊婦さんの体の中に長くカフェインがとどまることになってしまい、赤ちゃんにもカフェインが届きやすくなってしまいます。

赤ちゃんの代謝機能は大人に比べて未熟なので、赤ちゃんの体からカフェインが排出されづらい状態になり、結果として赤ちゃんにさまざまな影響が出ることもあります。

カフェインは適量であれば摂っても問題ありませんが、摂り過ぎは有害だといえるでしょう。

妊娠中のカフェインが胎児に与える影響は?

リスク

コーヒー1杯に含まれているカフェインの量は100mgほどですが、妊婦さんが毎日多量に摂取すると、低出生体重児の出産や流産、死産のリスクが上昇するという研究結果もあります(※2)。

内閣府の機関である食品安全委員会のレポートでは、肝機能が低下している人には高血圧のリスクが高まり、カルシウムの摂取量が少ない人は、骨粗しょう症の発症原因になることもあり、妊婦がカフェインを摂取すると胎児の発育を妨げる可能性があるとしています(※1)。

しかし、妊婦さんがカフェインを摂取することで、お腹の赤ちゃんの成長や出産後の健康にどのような影響があるかは、まだはっきりわかっていないというのが現状です。

妊婦は1日にどのくらいのカフェインを摂取していいの?

コーヒーカップ

先程の食品安全委員会の発表では、「WHOは、コーヒー1日3〜4杯を上限」「英国食品安全庁(FSA)は、コーヒー1日2杯を上限(マグカップ)」など、海外で定められている上限が紹介されていますが、日本における上限は定められていません。

ただし、カフェイン摂取量が1日100㎎を超えると、自然流産率が増加するという研究報告もあるので、念のため妊婦さんは1日あたりのカフェイン摂取量を100㎎までにしておきましょう(※2)。

また、カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶や日本茶にも含まれているので、飲み過ぎてしまわないように注意してくださいね。

ただし、妊娠中はストレスも大敵です。

妊娠前からコーヒーやカフェイン飲料を愛飲していて、無理にやめることでストレスが溜まってしまいそうなら、1日1回のリラックスタイムを設け、コーヒーなどのカフェイン飲料を楽しむ時間を作るのもいいかもしれません。

妊婦さんはカフェインの摂りすぎに注意し、適量を摂取するようにしましょうね。

カフェインが気になる妊婦さんにおすすめの方法は?

妊婦 コーヒー カップ

「コーヒーはやめられないけどカフェインは減らしたい」という妊婦さんには、カフェインレス(デカフェ)のコーヒーがおすすめです。

厳密には1mg程度のカフェインが含まれているカフェインレスコーヒーもありますが、味はほとんど変わりません。最近では街のコーヒーショップでも扱っているところが多いので、外出時に楽しむこともできますよ。

自宅でも楽しめるデカフェのコーヒー豆やインスタントコーヒーもあるので、活用するのもいいですね。

また、カフェインを含まない飲み物の中では、たんぽぽコーヒー、ルイボスティー、麦茶などが妊婦さんにおすすめです。ハーブティーもカフェインを含みませんが、子宮を収縮させる作用のあるハーブが入っていることもあるので、どんなハーブがブレンドされているかよく確認してから利用するようにしてくださいね。

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妊娠中はカフェインと上手に付き合いましょう

妊娠期間はおよそ10ヶ月間あります。妊娠前にコーヒーや紅茶を愛飲していた妊婦さんにとっては、長く感じるかもしれませんね。しかも、母乳育児をする場合、産後もカフェインの摂取に制限がかかります。

コーヒーや紅茶を絶ってしまえればいいのですが、無理やり我慢してストレスを溜めすぎるのも問題です。1日に紅茶を1杯まではOKとマイルールを決めたり、代わりになるお気に入りの飲み物を見つけたりして乗り切ってくださいね。

妊娠中は、「飲みすぎ」と「気にしすぎ」に注意して、カフェインと上手に付き合っていきましょう。

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