産後の食事で摂りたい栄養素は?おすすめの食べ物や食生活のポイントは?

監修専門家 管理栄養士 渡辺 亜里夏
渡辺 亜里夏 神奈川県立保健福祉大学卒業後、予防医学に興味を持ちドラッグストアへ就職。その後独立し、現在はフリーランスの管理栄養士として特定保健指導、ダイエット指導、コラムの執筆、企業様での研修などを中心に活動。い... 監修記事一覧へ

産後しばらくは赤ちゃんのお世話に追われ、自分の食事のことはあまり気にしていられないものですよね。しかし、産後の食事は母体を妊娠前の体へと戻すために大切です。

そこで今回は、産後の食事で摂取したい栄養素をはじめ、おすすめの食べ物や食生活のポイントについて紹介します。

産後の食事で摂りたい栄養素は?

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産後は、出産という大仕事を終えて体力が低下しています。また、急激なホルモンバランスの変化により体がだるくなったり、昼夜問わずの育児で睡眠不足になったりします。

体力をつけるためにも、まずは体の回復を重視した食事を意識し、バランスよく栄養を摂ることが大切ですよ。

産後に必要なエネルギー量と積極的に取り入れたい主な栄養素について、以下をまとめたものを紹介します(※1,2,3,4)。

● 成人女性(18〜49歳)の1日の推奨量
● 授乳中のママがプラスして摂りたい必要量
● 各栄養素を多く含む食べ物

エネルギー(身体活動レベルIIの場合)

● 2,000〜2,050kcal/日
● 授乳婦:+350kcal/日

エネルギー必要量は身体活動レベルや年齢によって変わります。また、母乳を与えている場合は、通常時より350kcal多く摂取することが推奨されています。

カロリーを多く摂取するといっても、脂っこいものや甘いものを増やして良いわけではないので、栄養バランスを考えながらカロリーを摂れるといいですね。

鉄分

● 6.5mg/日(月経なし)、10.5mg/日(月経あり)
● 授乳婦:+2.5mg/日

鉄分は、動物性食品に含まれるヘム鉄と植物性食品に含まれる非ヘム鉄をバランスよく摂るのがおすすめです。非ヘム鉄の食品は、ビタミンCと一緒に摂ると吸収が良くなりますよ。

鉄分を多く含む主な食べ物

小松菜、そらまめ、さつまいも、だいこん葉、ほうれん草、チンゲンサイ(油いため)、かつお、さんま、レバー(鶏・牛)、さば味噌煮、コンビーフ、牛肉(もも・赤肉)、あさり など

カルシウム

● 650mg/日
● 授乳婦:+0mg/日

妊娠中はお腹のなかで赤ちゃんの体を作ったり、出産後は授乳したりすることから、カルシウムが失われている状態です。

カルシウムは、歯や骨の形成を助ける以外にも体の生理機能を調整する働きがある大切な栄養素なので、積極的に摂りましょう。

カルシウムを多く含む主な食べ物

牛乳、乳製品(プロセスチーズ、ヨーグルト、乳酸菌飲料など)、さばみそ煮、わかさぎ、焼き豆腐、ししゃも、生揚げ、小松菜、かぶ葉 など

たんぱく質

● 50g/日
● 授乳婦:+20g/日

たんぱく質は、人間の体に必要不可欠な栄養素です。肉や魚だけではなく、穀類、豆製品、卵などを組み合わせてバランスよく摂ってくださいね。

たんぱく質を多く含む主な食べ物

牛肉、豚肉、鶏肉(もも・むね)、凍り豆腐、大豆、木綿豆腐、納豆、らっかせい、青のり、あじ、いわし、かつお、さけ、ます、たら、ぶり、まぐろ、さば、ほたて、えび、いか、卵、ナチュラルチーズ、サラダチキン など

ビタミンB1

● 1.1mg/日
● 授乳婦:+0.2mg/日

ビタミンB1は、糖質の代謝をサポートしたり、神経の機能を正常に保つ働きがあります。ネギ類や、ニラ、にんにくなどと一緒に摂ると、ビタミンB1の体への吸収をサポートしてくれますよ。

ビタミンB1を多く含む主な食べ物

大豆(枝豆)、えんどう豆、玄米、豚肉(特にヒレ肉)、魚 など

ビタミンB2

● 1.2mg/日
● 授乳婦:+0.6mg/日

ビタミンB2は、炭水化物や脂質、たんぱく質がエネルギーになるときに必要です。たんぱく質の合成を助ける作用もありますよ。

ビタミンB2を多く含む主な食べ物

レバー、チーズ、卵、青魚、納豆 など

ビタミンC

● 100mg/日
● 授乳婦:+45mg/日

ビタミンCは、ストレスの緩和や体の免疫力を高め、風邪予防にも効果的です。

ビタミンCを多く含む主な食べ物

柑橘の果物、パプリカ、ブロッコリー、菜の花、芽キャベツ、アセロラ、キウイフルーツ、ケール など

ビタミンA

● 650~700μgRAE/日
● 授乳婦:+450μgRAE/日

ビタミンAには、免疫力の向上や視覚機能の健康を保つといった働きがあります。ただし、過剰摂取は体によくありません。特にレバーはビタミンAの含有量が多いので、摂取量に注意しましょう。

植物性のビタミンAは油で炒めものなどにすると吸収がよくなりますよ。

ビタミンAを多く含む主な食べ物

緑黄色野菜、青のり、レバー(鶏・豚・牛)、卵黄 など

葉酸

● 240μg/日
● 授乳婦:+100μg/日

葉酸は細胞の再生を助けてくれる栄養素のため、産後は食事からも意識して摂りましょう。

水溶性ビタミンの一種なので水に溶けやすい性質です。電子レンジ加熱や少ないお湯で蒸し茹でにするなどして、新鮮なうちに食べましょう。ビタミンCと一緒に摂ると、より効果が期待できますよ。

葉酸を多く含む主な食べ物

レバー、アスパラガス、ブロッコリー、ほうれん草、納豆、枝豆、大豆、きな粉、モロヘイヤ、しいたけ、白菜、春菊、いちご、鮎 など

産後の食生活のポイントは?

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産後の体を回復するためには、主食+主菜+副菜をバランスよく摂ることが大切です(※5)。

主食
ご飯・パン・麺類など、主にエネルギー源になる炭水化物がメイン

主菜
肉・魚・卵・豆類など、主にたんぱく質がメイン

副菜
野菜・海藻・きのこ類など、ビタミン・ミネラル・食物繊維がメイン

とはいえ、長時間キッチンに立っていたりすると体に負担がかかるため、以下を参考に食事の準備はできるだけ簡単に済ませましょう。

食事の手間を省くポイント

● 宅配食やミールキットを利用する
● 余分に作って冷凍する
●「◯◯するだけ」レシピをストックする

産後のママ向けに宅配食やミールキットを届けてくれるサービスが充実してるので、ぜひ活用して見てくださいね。

自分で調理する場合は、赤ちゃんが眠っている間などに、食材を切ったり茹でたりと下処理だけして小分けしたものを冷凍しておくといいでしょう。必要なときにすぐに調理することができて便利です。

煮込むだけのスープや鍋、混ぜるだけのサラダ、焼くだけのソテーなど、手順が少ない料理のレシピをストックしておくのもおすすめですよ。

産後に体重が気になる場合は?

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産後太りなどを気にして、食事制限によるダイエットを考えることがあるかもしれませんが、産後は体の回復が第一優先です。

一般的に、出産すると妊娠中の体重から「赤ちゃん+羊水+胎盤の重さ」が減ります。その後3~4ヶ月ほどかけて自然に体重が減少していきます。

体重の減り方には個人差があるので、どうしても体重が気になる場合は以下の2点を意識してみましょう。

菓子類の間食はできるだけ控える

間食をするときは、蒸かしたさつまいもやフルーツ、具だくさんのおにぎりなど、脂質や糖質が低めで、不足しがちな栄養素が補えるものがおすすめです。

体が回復してきたらストレッチやヨガなど軽い運動をする

運動に関しては、産後1ヶ月健診のときに医師にどのくらい動いていいか確認してから行うと安心です。無理なダイエットは避けてくださいね。

産後の食事は体の回復を第一優先に考えよう

栄養バランスのとれた食事は、産後の体を回復させるためにとても大切なことです。

産後しばらくは体調がすぐれないこともあるので、食事を作るのが難しいときは無理をせず、パートナーや家族に相談したり、今回ご紹介したサービスや方法を試したりしましょう。

また、食事には気をつけているけど産後にお通じの悩みがあるという人は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

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