陣痛の兆候は?始まりに下痢や腰痛も出る?臨月に現れる前兆を確認!

監修専門家 看護師・助産師 岡 美雪
岡 美雪 看護師・助産師を免許を取得後、未熟児病棟、脳神経外科病棟、産科病棟で医療業務に従事。その後、医療現場での経験を活かして、青年海外協力隊の看護職としてアフリカに2年間駐在し、現地の医療技術向上に貢献。日... 監修記事一覧へ

出産を間近に控えると「陣痛が来たらちゃんとわかるかな?」と心配になる人は多いのではないでしょうか。

そこで今回は、陣痛の始まりについて、痛みの間隔や起きやすい時間帯、陣痛の前に現れる兆候にはどんなものがあるか、下痢や便秘、腰痛なども前兆なのかをご説明します。

そもそも陣痛とは?

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陣痛とは、出産する際に赤ちゃんを押し出そうと、子宮筋が収縮する動き(陣痛発作)と、収縮の休止(陣痛間欠)を繰り返すことで、子宮筋が収縮するときに、痛みを伴います。

陣痛にもいくつか段階がありますが、一般的には「分娩陣痛」や「本陣痛」と呼ばれ、赤ちゃんを外に押し出そうとして強く、規則的に収縮することを指します。陣痛は自分の意志でコントロールできるものではなく、一度始まったら出産が終わるまで続きます。

陣痛の始まりはどんな痛み?間隔はどれくらい?

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陣痛は、始まったばかりはそれほどひどい痛みではないことが多いです。出産回数などによって個人差があるものの、痛みの間隔も10分以内で、痛みのないときには体を動かしたり、おしゃべりをしたりすることもできます。

陣痛の間隔が短くなると痛みも強くなります。陣痛が10分間隔のうちに、仮眠や食事をとり、破水がなければシャワーを浴びるなど、この後の長い陣痛に備えておくことが大切です。

陣痛が始まりやすい時間はあるの?

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陣痛がはじまるのは、夜間帯(午後6時から午前6時まで)に多いという研究結果があります(※1)。

夜間帯に陣痛が起こることが多いはっきりとした理由はわかっていませんが、人間が潜在的に持っている生体のリズムが関与しているのではないかと考えられています。

月の満ち欠けや気圧の変化でも陣痛が起こりやすくなるというジンクスを耳にしたことがある人がいるかもしれませんが、これらには医学的根拠はありませんよ。

陣痛が始まる前には兆候はあるの?

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出産が近づいてきたら、突然陣痛が始まるというものではなく、兆候が見られます。

以下から陣痛が起こる兆候を具体的にご紹介します。

陣痛の前兆1. おしるしがある

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子宮口が開いてくると、赤ちゃんを包んでいる卵膜と子宮壁の間にすき間ができ、少量の出血が起こり、ピンク色で血の混じったおりものが体外にでてきます。これをおしるしといい、医学用語では「産徴」と呼ばれています。

おしるしから陣痛までの時間は、一般的には数日以内の人が多いですが、1週間後という人もいます。妊婦さんの中には現れない人もいるようですが、おしるしが見られたら陣痛の始まりが近い証と考えましょう。

陣痛の前兆2. 破水する

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赤ちゃんが包まれている卵膜が破れ、なかの羊水が排出されることを破水といいます。大量の水が出ることもあれば、尿もれのような感じで少しずつ出ることもあります。

通常、陣痛がはじまってから破水しますが、子宮内圧の急激な上昇などが原因で陣痛の前に破水することもあります。これを「前期破水」といい、5〜10%の妊婦さんに現れます(※2)。

前期破水の起きた妊娠37週以降の妊婦さんの約80%が、24時間以内に陣痛が始まるといわれています(※2)。

破水すると胎児やママの子宮に細菌が感染するリスクが高まるため、破水後に陣痛が起きない場合は、医師と相談しながら陣痛促進剤などで陣痛を誘発することもあります。

陣痛の前兆3. 前駆陣痛(下腹部痛)がある

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前駆陣痛(偽陣痛)は、おしるし、破水と合わせて、よく見られる陣痛の前兆です。本陣痛と比べて痛みが少なく、普段とは違うお腹の張りを不規則に感じることが多いです。

前駆陣痛が起こることで子宮口が開き、ママの体は赤ちゃんが出て来やすい状態へと変化していきます。出産が近づくにつれて本陣痛へと移行していきますよ。時間の経過とともに規則的になり回数が増えてくるので、その変化に注意しておきましょう。

前駆陣痛から本陣痛がくるまでの時間には個人差があり、1ヶ月後の人もいれば、前駆陣痛をまったく感じないまま本陣痛が来たという人もいます。

陣痛の前兆4. お腹の張りがある

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陣痛は、子宮収縮が起きては止まるのを規則的に繰り返すものです。

分娩が近づくと、前駆陣痛で子宮が不規則に収縮し、それにともなってお腹の張りを感じます。お腹の張りを繰り返すのは身体的につらいものですが、本格的な陣痛が始まる前兆だと前向きに捉えましょう。

お腹の張りを感じたときは、横になるか座るかして、リラックスするようにしてくださいね。

陣痛の前兆5. お腹のふくらみの位置が下がる

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分娩の準備として子宮内の赤ちゃんが下に降りていくため、お腹のふくらみも変化します。

それまではおっぱいのすぐ下から始まっていたお腹のふくらみがどんどん下がっていきます。おへそより下の下腹部がふっくらしてきたら陣痛が始まる前兆と考えられます。

また、赤ちゃんが下に降りると子宮に圧迫されていた胃などの消化器官が開放されて、食欲が出てきます。陣痛が始まる前兆として「たくさん食べられるようになる」というのもよく見られます。

陣痛の前兆6. 胎動の回数が減る

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胎動の感じ方には大きな個人差がありますが、胎動の数が減ったように感じるのも陣痛が始まる兆候の1つです。

赤ちゃんが下に降りてママの骨盤の中におさまると、子宮のなかを自由に動き回れなくなるため、出産が近づくにつれて胎動は減少すると言われています(※3, 4)。

ただ、出産間近でも胎動がまったくなくなるということはありません。急に胎動が弱くなった・極端に少なくなったと感じる場合は、速やかにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。

また、胎動がいつもと違う様子で違和感を感じた場合も、かかりつけの産婦人科へ相談することをおすすめします。

陣痛の前兆7. 下痢や便秘になる

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出産間近になると、大きくなった子宮が腸を圧迫して、物理的に便の排出を妨げることがあります。

そのため、陣痛の前兆として便秘気味になる人もいます。逆に、下痢になるのも陣痛の前兆の一つ。出産を控えて体内のホルモンバランスが変化し、腸が活発に動き始めるからです。

下痢と便秘のどちらも出産が近い証なので、それまでの自分のお腹の状態と比較しながら前兆かどうかを考えるようにしてください。

陣痛の前兆8. 腰痛になる

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陣痛が始まる前には、赤ちゃんがすっぽりと骨盤におさまっている状態になります。すると、骨盤への負担が大きくなるため、骨盤周辺の筋肉にも負荷がかかり、特に腰に痛みを感じるようになります。

妊娠中はそれほど腰痛に悩まされなかったという人も、この時期に腰痛が現れたときはそろそろ陣痛が始まるタイミングかもしれませんよ。

陣痛が始まってから出産を終えるまでの流れは?

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陣痛が始まると徐々に痛みが強くなり、出産まで続きます。出産は大きく3段階に分けられ、以下の流れで進みます。

第一期(開口期)

規則的な陣痛が始まってから子宮口が全開(約10cm)になるまでのことを指します。お産のほとんどの時間はこの第一期に当たります。

最初のうちは陣痛も弱く、動けないほどではありません。その後徐々に子宮口を広げるために子宮頚部が薄くなり、子宮の収縮も強くなります。

2~3時間で次の段階に進む人もいれば1日かかる人もいます。赤ちゃんが産道付近まで下がってきて、子宮口もほぼ全開大に開き、陣痛も2〜4分間隔くらいで、40〜60秒程度痛みが続くようになります(※5)。

第二期(娩出期)

子宮口が完全に開き、赤ちゃんが出てくる段階です。

陣痛の間隔はさらに短くなり、痛みはピークに達します。破水が起こり、いきんで赤ちゃんが生まれるのを促します。

第三期(後産期)

赤ちゃんを産み終えた後、少しの間陣痛が続きます。これは後産期陣痛といって、子宮内にある胎盤などの内容物を出しきるためのものです。

完全に排出されるまでの間は、わずかに陣痛のような波のある痛みが続きます。

陣痛の兆候が来たらリラックスして過ごそう

陣痛の兆候が見られても、すぐに陣痛が始まるとは限りません。早くから陣痛が来るかも…と緊張してしまうと疲れてしまうので、陣痛が始まるまでは心を落ち着けて、できるだけリラックスして過ごせるといいですね。

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