排卵出血とは?妊娠との関係は?期間や量、タイミングはいつ?

監修医師 産婦人科医 藤東 淳也
藤東 淳也 日本産科婦人科学会専門医、婦人科腫瘍専門医、細胞診専門医、がん治療認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医、日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医、日本内視鏡外科学会技術認定医で、現在は藤東クリニック院長... 監修記事一覧へ

「生理は終わったはずなのに、出血が…!」と不思議に思ったことはありませんか?実は、排卵日の前後に出血が起こる「排卵出血」というものを経験する女性もいます。排卵出血そのものは異常なことではありませんが、生理以外の不正出血には病気が隠れている可能性もあるため、判断のポイントを知っておきたいところ。今回は、排卵出血の原因や症状、タイミングや期間などをご説明します。

排卵とは?

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「排卵」とは、成熟した卵胞が卵巣の表面を突き破って破裂し、なかに入っている卵子が排出されることをいいます。

通常、排卵は生理開始日の約14日前に起こり、毎月1個ずつ排卵されます。

排卵後、卵子は卵管を通って運ばれますが、精子と受精しないか、もしくは受精しても受精卵が子宮内膜に着床しない限りは、妊娠が成立しません。

妊娠しなかった場合、不要になった子宮内膜が剥がれ落ち、血液と一緒に体外に流れ出ます。これが「生理(月経)」です。

排卵出血とは?排卵期出血・中間期出血とも呼ぶの?

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排卵出血とは、排卵に伴う出血のことで、「排卵期出血」とも呼ばれます。

また、生理と生理のちょうど間くらいの時期に見られることが多いため、「中間期出血」と呼ぶこともあります。

生理と違って、排卵の時期を特に意識していない女性も多いため、生理がとっくに終わった時期に排卵出血が起きると、「生理がまた始まるの?」「何かの病気?」と心配になる人もいるかもしれません。

しかし、排卵出血は生理のように長く続くものではなく、病気でもありません。それでは、なぜ排卵出血が起こるのでしょうか?

排卵出血の原因は?妊娠との関係は?

基礎体温表 グラフ 女性ホルモン エストロゲン プロゲステロン

排卵出血の原因は、次の2つが考えられます。

1つは、排卵のときに、卵胞が卵巣の表面を突き破ることによる出血です。

もう1つは、排卵直前に女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」の分泌が減り、子宮内膜が少し剝がれることによる出血です(※1)。

特に、2つ目の「ホルモンバランスの変化」が排卵出血の主な原因で、排卵を終え、またエストロゲンの分泌が増えてくると、子宮内膜の充実した状態が保たれ、出血は止まります(※1)。

妊娠を望む女性にとって、急な不正出血があると不安になってしまいますよね。しかし、排卵出血は生理的な現象であり、将来の妊娠に影響を与えるものではないので、量や期間に問題がなければ、特に気にする必要はありません。

排卵出血の症状は?量や期間は?

通常の排卵出血の場合、次のような特徴があります(※1,2)。

● 少量で、下着に少し付着する程度
● 排卵日前後に1~3日出血するだけ
● 必ずしも毎月あるわけではない

また、血の色は黒っぽい色、薄い赤、茶褐色、鮮血のように真っ赤、というように個人差があります。

人によっては「排卵痛」と呼ばれる下腹部の痛みを伴うこともあり、「生理が早まった?」と勘違いすることもあるかもしれませんが、その症状も排卵後は治まります。

排卵出血が起きるタイミングはいつ?

基礎体温表

排卵が起きる直前から排卵された直後まで、いわゆる「排卵期」のどこかで排卵出血が起きると考えられます。

排卵されてから次の生理までの期間、いわゆる「黄体期」は約14日間です。そのため、生理周期が安定している人の場合は、次回の生理開始予定日から14日を引くと、排卵出血が起きるタイミングをある程度予測することができます。

たとえば、生理周期が35日の人だと、前回の生理開始日から21日後くらいに排卵出血が起きる、という計算になります。

生理不順の人の場合、生理周期から排卵日を予測することが難しいため、基礎体温表をつけるなどしてタイミングを見極める必要があります。


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排卵出血で妊娠しやすい日を見極められる?

カップル

排卵日を予測し、それに合わせて妊娠しやすいタイミングで性交渉を行い、妊娠を目指すことを「タイミング法」といいます。

排卵出血は排卵日の前後に起こるため、出血が見られた時期を一つの目安にする女性もいます。ただし、排卵出血は毎月起こるわけではなく、不正出血と見分けるのも難しいため、あくまでも参考程度にしましょう。

ほかにも、おりものの変化や基礎体温、排卵検査薬、超音波検査など、排卵日を予測する方法は色々あります。それぞれにメリット・デメリットがあるので、詳しくは関連記事を参考にしてくださいね。

排卵出血ではない可能性もあるの?

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先述のとおり、出血が起こるのが排卵日前後の一時的なものであり、少量なのであれば、経過観察で良い場合がほとんどです(※2)。

ただし、「出血が1週間続く」「生理と同じくらいの量がある」といった場合は、婦人科を受診して相談しましょう。

また、排卵期ではないときに不正出血がある場合、卵巣機能不全や子宮頸管ポリープ、子宮体がんなど、婦人科系の病気が原因の可能性もあります。不妊につながる恐れもあるので、早めに検査を受けましょう。

ただし、ストレスなどによる一時的なホルモンバランスが原因で少量の出血が見られることもあります。不正出血があったときはまずは落ち着いて、病院で診てもらってくださいね。

排卵日を過ぎてからの出血は、妊娠兆候の可能性も?

明らかに排卵日を過ぎているのに出血があれば、もしかしたら着床出血かもしれません。

着床出血は妊娠兆候の一つで、受精卵が子宮内膜に着床したときに少量の出血があることもある、と考えられています。

量や色で見分けるのは難しいですが、排卵出血とは時期が異なります。排卵日を過ぎて1週間~10日ほどしてから出血があれば、妊娠による着床出血の可能性があります。

生理開始予定日から1週間が経っても生理が来ないときは、妊娠検査薬を試してみてくださいね。

排卵出血か判断がつかなければ婦人科へ

排卵出血は生理的な現象であり、異常なものではありません。ただし、量が多かったり期間が長かったりする場合は、病気が原因の不正出血である可能性もあります。

自分ではなかなか見分けがつきにくいこともあると思うので、判断に迷うときは婦人科医に相談し、適切な対応で大切な体を守りましょう。

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