妊娠中に食べてはいけないものまとめ

監修専門家 管理栄養士・フードコーディネーター 中村 美穂
中村 美穂 東京農業大学卒業。保育園栄養士として乳幼児の食事作り、食育活動、地域の子育て支援等に携わった経験を活かし、離乳食教室や子どもから大人まで楽しめる料理教室「おいしい楽しい食時間」を開催。書籍、雑誌等への... 監修記事一覧へ

妊娠中は食べるものに気をつけなくてはいけないと分かっていても、具体的に何がどうだめなのか意外に知らないことも多いものです。妊娠中に食べてはいけない食材や食品を知って、安心してマタニティライフを過ごしていきたいですよね。そこで今回は、妊娠中に食べてはいけないものと、その理由をご紹介します。

妊婦が食べてはいけないものとは?

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妊娠中に食べてはいけないものとは、母体や胎児に悪影響を及ぼす可能性がある食材や食品です。

これからご紹介する食べものは、「妊娠中に絶対に食べてはいけない」と禁止されているわけではありませんが、リスクとなる要因があるため、避けておいた方が無難です。

ママ自身と生まれてくる赤ちゃんのために、妊娠中は以下のものを食べるのは我慢しましょう。

妊娠中に食べてはいけない食材・食品

リスクとなる要因 食材・食品の例
リステリア 生ハム、ナチュラルチーズ、未殺菌乳、スモークサーモン、肉や魚のパテ など
トキソプラズマ 生ハム、レバ刺し、ユッケ、馬肉、レアステーキ、加熱不十分な肉 など
食中毒菌・食中毒ウイルス 生卵、加熱不十分な二枚貝や肉類、低温殺菌が行われていない乳製品 など
子宮収縮作用 アロエ(皮)、ハーブ類(ネトル、ラズベリーリーフ、パッションフラワー)など

妊娠中の過剰摂取に気をつけたい食材・食品

リスクとなる要因 食材・食品の例
水銀 本マグロ、インドマグロ、メバチマグ、クロカジキ、メカジキ、マカジキ、金目鯛、ムツ など
ヨウ素 ひじき・昆布・わかめ・のりなどの海草類、インスタントの昆布だし、外食やインスタントのみそ汁・うどん、合わせ調味料、昆布エキスや海藻エキスが入っている飲み物 など
レチノール レバー、うなぎ、あゆ、ホタルイカ など

妊娠中のOK・NGはパパと一緒に確認!

妊娠中の食事は、夫婦で気をつけることが大切です。もしかしたら、パパは注意すべき食材があることを知らないかもしれません。

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次からは、妊娠中に上記の食材・食品を食べてはいけない理由、過剰摂取してはいけない理由を、リスクとなる要因別に詳しくご紹介します。

妊娠中に食べてはいけないもの1. リステリア食中毒の恐れがある食べもの

チーズ

リステリア食中毒の原因となる食べもの

  • ナチュラルチーズや未殺菌乳などの加熱せずに製造された乳製品
  • 生ハムなどの食肉加工品
  • スモークサーモンなどの魚介類加工品
  • 肉や魚のパテ

リステリア食中毒とは?

リステリア食中毒とは、土壌や河川水、家畜などの動物、魚介類、昆虫などに分布しているリステリア菌による感染症です。

リステリア菌は4℃以下の低温や12%食塩濃度下でも耐えて増殖することができる非常に強い菌で、妊婦さんをはじめとした、免疫機能が低下している人は、特に感染しやすいとされています(※1)。

妊娠中にリステリア食中毒になるとどうなるの?

リステリア食中毒は発症しても軽症で、多くは自然に治まりますが、妊婦さんが感染すると、胎盤を通して胎児にも感染し、流産が起きたり、生まれてきた赤ちゃんに影響が出たりすることがあるので、注意が必要です(※1)。

リステリア菌への感染を予防するには、上記の食材を避ける他、消費期限が切れたものは食べない、野菜や果物などの生で食べる食材はよく洗う、食べる前に十分に加熱するなどの対策を行うことが大切です。

妊娠中に食べてはいけないもの2. トキソプラズマに感染する恐れのある食べもの

生ハム 生肉 

トキソプラズマの原因となる食べもの

  • レアステーキや生ハム、ユッケ、レバ刺しなどの加熱不十分な肉

トキソプラズマとは?

トキソプラズマは、幅3μm・長さ5~7μmの寄生虫で、多くの哺乳類や鳥類、猫の糞、土のなど中にいます(※2,3)。トキソプラズマに感染すると、「トキソプラズマ症」を発症します。

健康な成人であれば、トキソプラズマに感染しても症状が出ることは少なく、ごく稀にリンパ節が腫れたり、筋肉痛が数日続いたりすることがあります。

一度感染すると抗体ができるため、それ以降は基本的に感染することはありません。

妊娠中にトキソプラズマに感染するとどうなるの?

ただし、妊婦さんが初めてトキソプラズマに感染すると、6~80%の確率で胎盤を通して胎児に感染し、そのうち約10%に「先天性トキソプラズマ症」があらわれます(※3)。

先天性トキソプラズマ症になると、生まれてくる赤ちゃんに脳性麻痺や髄膜炎などの症状が見られる他、流産や死産のリスクも高まります。

妊娠中いつ感染するかによっても胎児への感染率が異なるため、トキソプラズマに感染したからといって必ずしも胎児に悪影響を与えるというわけではありませんが、予防するに越したことはありません。

妊娠中は上記の食品を避け、肉を食べるときは十分に加熱するようにしましょう。

その他にも、野菜や果物はよく洗って食べる、ガーデニングで土や砂に触れるときは手袋をする、猫の糞尿処理は避けるといったことなどが、トキソプラズマ感染の予防になります。

妊娠中に食べてはいけないもの3. 食中毒を引き起こす恐れのある食材

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食中毒に気をつけたほうがいい食べもの

  • 生卵
  • 加熱不十分な二枚貝や肉類
  • 低温殺菌が行われていない乳製品

妊娠中に食中毒になるとどうなるの?

食中毒は胎児に直接影響を及ぼすものではありませんが、食中毒の症状の1つである激しい下痢が起こると、子宮収縮を促し、流産や切迫早産につながるリスクが高くなります。

妊娠中の食中毒を予防するためには、上記の食材はできるだけ避けましょう。

肉や魚を食べるときは十分に加熱をし行い、生で食べる野菜や果物などはしっかり洗ってください。

調理中や食事の前にはこまめに手を洗い、タオルやふきんはできるだけすぐ清潔なものに交換することも大切です。

妊娠中に食べてはいけないもの4. 子宮収縮を促す作用のある食材

アロエ

子宮収縮作用のある食べもの

  • アロエの皮
  • ネトル、ラズベリーリーフ、パッションフラワーなどのハーブ

便秘解消に効果があるアロエの皮には、「アロイン」という子宮収縮作用がある成分が含まれています。アロエを食べるときは、身だけを取り出して、皮は食べないようにしてください。

また、子宮収縮の作用があるハーブにも注意が必要です。ネトル、ラズベリーリーフ、パッションフラワーといったハーブティーによく使われるハーブには子宮収縮作用があるため、妊娠中は避けるようにしましょう(※5)。

ただし、出産が近づいてきた頃にラズベリーリーフティーを飲むと分娩時間が短くなるというデータもあるため、妊娠8ヶ月以降は医師に相談して問題がなければ適度に飲んでもいいでしょう(※6)。

妊娠中の過剰摂取を控えたいもの1. メチル水銀を含む食材

マグロ まぐろ 刺身

メチル水銀を含む食べもの

  • 本マグロ、インドマグロ、メバチマグロ、クロカジキ、メカジキ、マカジキといったマグロ類の料理や加工食品
  • 金目鯛やムツなどの深海魚

メチル水銀とは?

魚には、たんぱく質やDHA、カルシウムなど妊婦さんが摂りたい栄養素が含まれているので妊娠中の食事に取り入れたい食材ですが、魚の種類によっては、「メチル水銀」という有害物質が含まれており、注意が必要です。

妊娠中にメチル水銀を摂取するとどうなるの?

妊婦さんがメチル水銀を大量に摂取すると、胎盤から胎児に伝わって、発育に悪影響をもたらす危険があります(※4)。

上記の魚は、妊娠中に絶対に食べてはいけないというわけではなく、量や頻度に気をつければ食べても問題ありません。

水銀の量は魚によっても異なるため、どれくらいの量なら食べてもいいのかより詳しく知りたい場合は、厚生労働省のホームページなどで確認してください。

妊娠中の過剰摂取を控えたいもの2. ヨウ素を含む食べもの

わかめ 海藻

ヨウ素を含む食べもの

  • ひじき・昆布・わかめ・のりなどの海草類
  • インスタントの昆布だし
  • 外食やインスタントのみそ汁、うどん
  • 合わせ調味料
  • 昆布エキスや海藻エキスが入っている飲み物

ヨウ素とは?

ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料として、胎児の骨や脳の成長を促進する働きがあるため、妊娠中も摂りたい栄養素です(※7)。

ヨウ素を多く含む食材として代表的なものは、海藻類です。

妊娠中にヨウ素を過剰摂取するとどうなるの?

しかし、妊娠中にヨウ素を過剰に摂取し続けると、赤ちゃんの甲状腺機能を低下させてしまう恐れがあるので注意が必要です(※7)。

厚生労働省は、妊娠中のヨードの推奨摂取量を240μg/日、耐容上限量(過剰摂取によって健康に影響が出る可能性がある量)を2,000μg/日としています(※8)。

例えば、一般的な刻み昆布には5gあたり12,000μg、昆布だしには5gあたり270μgものヨウ素が含まれているので、適度な摂取を心がけましょう(※9)。

妊娠中の過剰摂取を控えたいもの3. ビタミンA(レチノール)を含む動物性の食べ物

鶏 レバー

レチノールを含む食べもの

  • レバー
  • うなぎ
  • あなご
  • ホタルイカ

動物性のビタミンA(レチノール)とは?

ビタミンAは、脂溶性のビタミンの一種で、動物性食品に含まれる「レチノール」と、植物性食品に含まれる「βカロテン」の2種類があります。ビタミンAには、体の抵抗力を高めたり、粘膜を強く保ったりする効果があります。

妊娠中に動物性のビタミンA(レチノール)を過剰摂取するとどうなる?

しかし、妊娠中に「レチノール」を過剰に摂取すると、胎児が奇形になるリスクが高まります(※10)。

妊娠中の1日のビタミンAの食事摂取基準量(プロビタミンAを含む)は、650~780μgRE(年齢や妊娠週数によって異なる)で、耐容上限量(レチノール当量)は2,700μgREです(※10)。

レバーは鉄分を多く含むことから貧血対策として積極的に摂取したくなるかもしれませんが、生の鶏レバーには100gあたり14,000μgRAE、生の牛レバーには1,100μgRAEものレチノールが含まれています(※9)。食べ過ぎには注意しましょう。

妊婦が食べてはいけないものを知って妊娠中の食事を楽しもう

お腹の中の赤ちゃんは、ママが食べたものからから栄養をもらって成長していきます。

今回ご紹介した食べてはいけないもの以外の食材・食品であれば、基本的には妊娠前と同じように食べても問題はないといわれています。栄養素の偏りがないように、様々な食べものをバランスよく食べることを心がけてくださいね。

妊娠中に食べてはいけないものを知って、安心して妊婦生活を送ることができるといいですね。

妊娠中のOK・NGはパパと一緒に確認!

妊娠中の食事は、夫婦で気をつけることが大切です。もしかしたら、パパは注意すべき食材があることを知らないかもしれません。

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